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ツンデレにこれって間接キスだよなっていったら0.9 [無断転載禁止]©2ch.net
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0001ほんわか名無しさん2016/12/04(日) 12:19:10.280
◆このスレは何?
ツンデレの妄想でひたすら萌え続ける場です。どんな形でもいいのでアナタのツンデレ妄想を垂れ流してください。
◆前スレ
ツンデレにこれって間接キスだよなっていったら0.8
http://tamae.2ch.net/test/read.cgi/honobono/1420015047/
◆過去ログ置き場
http://www.tndr.info/
◆Wiki(過去ログ置き場以前の過去ログ・更新停止中のまとめ等もwiki参照)
http://www45.atwiki.jp/viptndr/pages/1.html
◆ツンデレにこれって間接キスだよなって言ったら 専用掲示板
http://jbbs.livedoor.jp/computer/21510/
◆うpろだ
http://tunder.ktkr.net/up/
http://www.pic.to/ (携帯用)
◆お題作成機
http://masa.s23.xrea.com/
http://maboshi.yh.land.to/tundere/
◆規制中の人向け、レス代行依頼スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/21510/1275069975/
0002ほんわか名無しさん2016/12/04(日) 12:19:52.630
◆ツンデレって何?
「普段はツンツン、二人っきりの時は急にしおらしくなってデレデレといちゃつく」ようなタイプのキャラクターのこと。
◆このスレでよく使われる人物設定
男:デフォルトネームは別府タカシ。ツンデレに色々したりされたりする。
アッパー:デフォルトネームは椎水かなみ。感情表現豊かな基本形。
ダウナー:デフォルトネームはちなみ。ローテンションで「……」を多用して喋る。
お嬢:デフォルトネームは神野りな。お嬢様口調。というかお嬢様。
老成:デフォはまつり。「纏」と書く。わしは?じゃのう等、古風かつジジ臭い言い回しをする。
尊大:デフォはみこと。「尊」と書く。自信に満ちあふれたような、偉ぶった言い回しをする。
関西:デフォはいずみ。関西弁で喋る。
ボクっ娘:ボクっ娘ツンデレ。一人称「ボク」。デフォルトネームは決まっていない。
勝気:気の強い男勝りツンデレ。デフォルトネームは決まってい(ry
無表情:無表情ツンデレ。デフォルトネームは決まっ(ry
中華:中華系ツンデレ。「??アル」といった言い回しをする。デフォルトネームは決(ry
幽霊:幽霊ツンデレ。憑依したりする。アッパーだったりダウナーだったりする。デフォルトネームは(ry

山田:クラスメイトとして使われることが多い。いわゆる友人A。なぜかVIPPER口調で描かれがち。
友子:クラスメイトとして使われる事が多い友人B。好奇心が強かったり世話好きだったりいろいろ。

※名前の由来などについてはまとめサイト参照

・上記の名前や設定はあくまでデフォルト。
・投下許可は求めなくていいですが、長編SSについては、投下前に宣言をしていただけると他のSSとのごちゃ混ぜ防止になるのでスレに優しいです。
・書き上がってから一斉投下してね。 書きながら投下はイクナイ。
・感想レスは励みになるので大歓迎。
・投下のタイミングは自分で見計らおう。投下直前にはリロードを心がけよう。
・もしスルーされても泣かないこと。
・投下後に殊更に感想を求めたり、レスが付かないからって自虐したりすると、ツンデレに嫌われます。
・みんなも多少のことは大目に見てスルーしよう
0008ほんわか名無しさん2016/12/14(水) 09:01:00.650
・カッサカサな男の手を見かねてハンドクリームを塗ってくれるツンデレ
・ぬりゅぬりゅ
0009ほんわか名無しさん2016/12/16(金) 01:00:23.670
新スレおつ
物凄く久々に長編保管庫とか見てたら
もう本当に懐かしくて懐かしくて泣きそうになったわ
0010ほんわか名無しさん2016/12/18(日) 13:20:47.210
もうあの頃の勢いには戻らないんだなぁ…
0011ほんわか名無しさん2016/12/18(日) 19:52:21.900
もはやその頃高校生でも三十路の見えるおっさんだからしゃーない
…なんだかんだで10年もそろそろ見えてきたスレなんだな
0012ほんわか名無しさん2016/12/19(月) 00:16:23.800
むしろまだこうしてツンデレ好きが残ってることが嬉しいです
0013ほんわか名無しさん2016/12/19(月) 00:21:28.430
キャラ固定されちゃうから名前は云々とか色々あったけど、結局このスレで作った脳内ツンデレが一番好きになっちゃったよ。
あれ? これツンデレか? って自分でも思うことが多々あったけど。
0014ほんわか名無しさん2016/12/19(月) 01:03:05.670
もう既にデレッデレの状態で書かれていてもツンツンしてた時期を妄想で補完できるようにツンデレスレに調教されたわ
0015ほんわか名無しさん2016/12/19(月) 23:46:17.480
クリスマスまで一週間切ったのに約束を取り付けられないツンデレ
0016ほんわか名無しさん2016/12/22(木) 15:49:39.830
>>13
このスレにいるうちに自分がツンデレだと思えれば全部ツンデレなんだという悟りを開いたわ
0018ほんわか名無しさん2016/12/22(木) 22:08:06.370
クリスマスプレゼントを忘れていたタカシが、苦し紛れに「俺自身がプレゼントだ!」って言ったら
0019ほんわか名無しさん2016/12/22(木) 23:52:14.030
5年経って、10年経って、俺がおっさんになっても
俺の脳中の椎水かなみと愉快な仲間達はあの頃と変わらない姿のまま
一緒に泣いたり笑ったり怒ったり照れたりしながら
永遠に終わることのない青春を駆け抜けていくんやな…(郷愁)
0020ほんわか名無しさん2016/12/24(土) 11:54:18.310
クリスマスイヴになったのにタカシと一緒に過ごす約束を取り付けられず、部屋でゴロゴロと1人で言い訳ばっかり言っているツンデレと
毎年なんやかんや一緒に過ごしてるので、特に約束はしてないもののツンデレの家に迎えにいくタカシ
0021ほんわか名無しさん2016/12/25(日) 22:08:07.820
クリスマスもう終わりだけど、せっかくなので鉄板ネタで5レスの妄想を垂れ流します
00221/42016/12/25(日) 22:08:32.160
・毎年友達同士みんなでクリスマスパーティーをしていたのに、今年に限って何故かみんな用事が入っていて、暇なのがツンデレと男だけだったら

『ええーっ!? 友子もダメなの?』
[ごっめーん。その日はどうしてもバイトのシフトが外せなくなっちゃってさ。私として
も稼ぎたいところだし……ってことで、みんなで楽しんでよ]
『みんなでって言っても、一美も双葉も用事あるって言ってんのよ? これで友子まで来
れないってなったら……』
[あらら。そーなんだ。っても今更しょうがないしなあ。まあ、そういうことで]
『そういうことでって、ちょっと!! もしもし? 切るなあっ!!』
『はあ……さすがに女子一人じゃなあ…… まあ、タカシも山田も荒巻も別に今更緊張す
るわけじゃないけど、なんかなあ…… さすがに今年は中止かなあ…… でもそうなると、
ぼっちのクリスマスになるんだよなー…… それもちょっと寂しいかぁ……』
 〜♪
『あれ? タカシからだ。はい。もしもし?』
「ああ。かなみか。あのさ。今年のクリスマスパーティーなんだけどさ――」
『ちょっと聞いてよ!! 友子たち、今年ダメだって言うのよ』
「えっ!? マジで? 友子たち……ってことは、一美とかもか?」
『そーなのよ。あたし以外の女子が全滅でさ。ちょうど、どうしようかなーって思ってたとこ』
「うっそ!? 実はさ。山田と荒巻も今年は何か用事が入っちゃってて…… 山田は親と
一緒に23日から田舎に帰って、荒巻は……何だ。ねーちゃんの結婚相手が来るから、家族
で食事だとかなんとかで……」
『じゃあ、空いてるのってあたしとタカシだけってこと?』
「そうなるよな。ハァ…… さすがに今年はパーティーも中止だな。こりゃ」
『だよね…… 高1からずっと続けて来たのになぁ……』
「まあ。大学入ってバラバラになると、そういう事もあるよな。仕方ねーよ」
『大学入ってって……でも、去年はやったじゃん』
「そりゃまあ、スケジュールが合ったからだろ。つか、今年だって最初はやるつもりだっ
たんだし」
00232/42016/12/25(日) 22:09:02.410
『でも何かな〜 こうして違う人生が積み重なっていって、だんだん離れ離れになるのっ
て、やっぱ寂しいよ。しかも何か、あたしだけ取り残されたような感じでさー』
「そんな、これで終わりみたいなこと言うなよ。そりゃまあ、全員が集まるのって難しい
かもしれないけど、まだこれからだって集まるだろ。クリスマスに限らず」
『でも、こうやって少しずつ何かが変わって行っちゃって、何年か経ったら本当に会うの
もまれになっちゃうのかなって……』
「ま、社会人にもなればな。仕事だったり勤め先が遠くになったり、結婚したりってなる
だろうし」
『だよねー…… あーあ。大人になるってヤダなあ……』
「とりあえず、先のことよりも今年のイブだろ。かなみはどうするんだ?」
『さすがに二人だけじゃ中止よね。は〜あ…… うちはこれがあったから、家族のパーティー
はクリスマス当日とか前倒しにしてたけど、今年はイブで、って言おうかな。でもお父さ
んとか用事入れちゃってないかな〜』
「俺なんてぼっちだぜ。ぼっち。だって俺らのパーティーってウチを会場にしてたじゃん。
だから親もそれだったらって、その日は夫婦二人で外食にしちゃってるからさ」
『確か、あたしらが気兼ねなく騒げるようにってしてくれたのよね。あはは。でもイブの
日にぼっちって、本来のアンタのキャラらしくっていいじゃん』
「どんなキャラなんだよ俺って。つか、今までが今までだっただけに寂しいぜこれは」
『お? なんか下には下がいるって思ったらちょっと楽になってきた』
「うるせーよ。てかさ。じゃあかなみも特別用事があるとかじゃないんだよな?」
『そりゃまあ……パーティーの予定が流れちゃったわけだし。今はまだ特には何もないわよ?』
「じゃあさ。その…………うち。こねー?」
『はあ? ちょ、ちょっと待ってよ。何でパーティーも中止なのに、アンタんちに行くわ
け? 意味わかんないんだけど』
「いやその……意味とかあるわけじゃなくて…… 俺も一人だし……かなみも用あるわけ
じゃないんならさって……一人で過ごすなら、まだ二人の方がいいかなって……」
『うー…… なんかさ。その……ちょっと……』
「イヤか?」
00243/42016/12/25(日) 22:09:48.160
『え!? い、いやその……イヤってわけじゃないけど…… でもその……二人っきりで
何するわけ?』
「べ、別に何するってわけじゃ…… まあ、飯食って、酒飲んでケーキ食べて……テレビ
見たりゲームしたり……かな? そんな選択肢多いわけじゃないし」
『なにそれ? 女の子誘うのに全く味も素っ気もないメニューじゃない。もうちょっとロ
マンティックなメニューとかないの? くっだらないわね。そんなので行く気になると思っ
てんの?』
「うわ。ダメ出しすげーな…… って言ってもさ。毎年のクリスマスパーティーってこん
なもんじゃね? あとはせいぜいプレゼント交換ってくらいでさ」
『そりゃ、大人数でやる時はそういうもんでしょ? みんなでわいわい騒ぐんだから。で
も分かってんの? アンタ今、クリスマスに女の子を誘ってるのよ? それともまさか、
あたしじゃ女として見れないとか考えてんじゃないでしょうね?』
「いや。そんなことはないけど…… つか、お前は何だよ。その……恋人みたいなもてな
しとか、されたいのかよ?」
『ばっ……!? ななな、何考えてんのよ!! ちちち、違うってば!! あたしはさ。
その……えっと、なんて言うかその……そう!! アンタに男としての心構えを説いただ
けで、別にあたしはそういうおもてなしをされたいなんて、一ミリグラムだって思っちゃ
いないわよ。かかか……勘違いしないでよね。このバカ!!』
「いやいやいや。単にかなみのダメ出しが厳しいからさ。ちょっと疑問に思った……つか、
半分からかってやろうと思っただけで、まさか本気でそんなこと思ってないし」
『うわ。ムカつく…… アンタにからからわれるとかホント最悪だわ。確かに、ちょっと
ムキになって食いつきすぎたわ。別にその……あたしには関係ないことなのに』
「で、どうすんだよ? 来るか? それとも、俺と二人ぼっちは遠慮しとくか?」
『うー…… どうしよっかな…… ていうか、アンタはあたしに来て欲しいの?』
「そりゃそうだろ。でなきゃ誘わないって」
『そっか…… まあ……来て欲しいって言うなら、行ってあげなくもないかな?』
「なんだその微妙な言い回しは。要は来てくれるってことでいいのか?」
00254/42016/12/25(日) 22:10:28.100
『まあ……ね。親とはどっちみち25日にはするわけだし、寂しい寂しいタカシ君のために、
ちょっと付き合ってあげてもいいかなって』
「その恩着せがましい言い方…… 何か条件付ける気じゃないだろうな?」
『大したことじゃないわよ。ケーキの準備よろしくってのと、あとプレゼントはあたしよ
り高いの用意しとくこと。で、ちゃんとあたしのニーズに応えられるような物じゃなきゃ
ダメよ。今回はサシでの交換なんだから』
「まあ、そんな程度なら大丈夫かな。てか、他の食い物はどうするんだ? いつもは人数
いるから色々作ってるけど、さすがにピザとかで済ますか?」
『大丈夫でしょ。逆にアンタとあたしだけなんだから。まあ、チキンとかは出来合いのも
のを買うとしても、サラダとかパスタくらいなら作れるわよ。アンタもちゃんと手伝うのよ』
「分かった。じゃあ集合はいつもみたく駅前のスーパーで集まって、食材買出ししてから
俺んちって感じでいいな?」
『うん。時間とかはまた前日とかにメールして』
「了解。じゃあな」
『はいはい。またね』


『ハア……思わぬ展開になっちゃったな。タカシと二人っきりでクリスマスだなんて…… 
ま、タカシだからなぁ…… どーせ、ご飯食べてお酒飲んでケーキ食べてゲームして、って
感じなんだろうけど。でもなんか、ふとしたきっかけで進んだり……なんて。あーっ!!
あたしなに考えてんだろ。バッカみたい。でも……エヘヘ……』
0026おまけ2016/12/25(日) 22:10:53.830
〜イブ当日。某所居酒屋店内にて〜

〔あ。来た来た。友ちゃん。来たお〕
[マジで。ちょっと見せなさいってば]
【友子〜。ハイボール、あんただっけ】
[うん。置いといて。お? マジでー。かなみ手料理じゃん。やっる〜]
【ウソ? ホントに? ちょっとあたしにも見せてよ。てか山田はのけ】
〔ひどいお一美ちゃん…… 人を物みたいに……ていうか、隠しカメラのセッティングと
か全部ボクなのに……〕
[うるさい、山田。あんたが一番タカシんちに行ってるんだから仕方ないでしょうが。文
句言わない]
《あのさ。追加で注文取るけど、食べたいものある? とりあえず厚切りベーコンと北海
道じゃがいものバター炒めは頼むけど》
【あ。じゃああたしはこの、もっちもちチーズのきのこグラタン食べたい】
《了解。つか、荒巻も働け!! なに一人でがつがつ食ってんのよ》
〈え? なんかみんな画像に夢中みたいだし、冷めたらもったいないかなって。ていうか、
何で僕ら、ウソの理由まで作ってクリスマスパーティー中止にして、こんな居酒屋でイブ
過ごしてんの?〉
〔うるさいわね。こーでもしないとあの二人は進展しないのよ。傍から見てりゃあ、かな
いがタカシを好きってのバレバレだってのに、一向に素直になろうとしないんだから、こ
うやって背中を押してあげるのも友達ってもんなの〕
[そーかなあ…… 単にネタにして面白がってるだけじゃ……]
【山田うるさい。そんなこと言う奴は飲め!! ジョッキ一気で】
〔一美ちゃん。なみなみ一杯はさすがに辛いお……〕
《ま。あとは二人が適当に盛り上がったところを狙ってあたしらが乱入。一気に既成事実
化しちゃおうってわけよね。ふっふーん。かなみの言い訳が楽しみだわ》
〔どーせどもりまくるわよ。あの子、ウソつく時って絶対そうなんだから〕
[はぁ…… タカシ。ご愁傷様だお]
〈ホント、ご愁傷様だねえ……〉
0027ほんわか名無しさん2016/12/25(日) 22:15:03.310
GJ!
00301/32016/12/31(土) 14:40:50.930
・ゴロゴロ旦那と生真面目なツンデレ妻

『ちょっと。邪魔ですタカシさん。そこどいてください。掃除機かける邪魔です』
 ゴツッ!! ゴツッ!!
「あいてっ!! いててて。掃除機のヘッドぶつけるなって、敬子。つか年末最終日まで
終電帰りの旦那にもう少し優しく出来ないのかって」
『どうせ会社の納会で昼から夕方まで飲んでて、それから少し片付けの仕事してただけで
しょう? それでエラそうに忙しい自慢しないでください』
「うぐっ…… ぐうの音も出ないほどの的確な読みだな…… つか、見てきたのかよって
ぐらいだ」
『去年までは同じ会社にいたんですから、そのくらいのことは余裕で想像つきます。とい
うか、いい加減少しは手伝おうという気は見せないのですか? 私が朝から忙しく掃除し
ているというのに、タカシさんと来たら寝る場所を変えるだけで』
「いやー…… 気持ちはなくもないんだけどさ。どうにも体が動かなくて…… 疲労とア
ルコールのせいだな。きっと」
『午前中は勘弁してあげましたけどね。もうお昼ですよ? 窓拭きとお風呂のカビ取り掃
除はタカシさんの役目ですからね』
「マジすか!? 聞いてないけどな。そんな話」
『この間の日曜日にそう割り振ったじゃないですか。そうしたらまかせとけって。その程
度なら簡単に出来るって言ってましたよね』
「あー…… 言ったかなー…… 記憶にないな……」
『そうですか…… そんな数日前のことすら記憶にないと。では、私へのプロポーズの言
葉なんて、とっくに頭の隅からも消え失せてますよね? 私はなかったことにしても、ぜ
んっぜん構わないんですよ?』
「わあっ!? 悪かった。ゴメン。そう言われれば、言ったような記憶もあったかも。今
思い出した。つか、プロポーズの言葉はちゃんと覚えてるよ。敬子をこの先もずっと笑顔
にさせて行きたいから、一緒にいてくれないか?だろ。つか、すぐに離婚を臭わせること
言うのはやめてくれ。怖いから」
00312/32016/12/31(土) 14:42:28.630
『はぁ…… まだ本気では考えていませんけどね。こういうだらしない人だってのは、最
初から承知の上で一緒になってますから。とはいえ、お仕事時代の事務処理同様、ちゃん
とやってもらわないと困るんです』
「でもまあ、年末は31日まであるんだしさ。今日でなくたっていいだろ。明日から頑張る
よ。うん」
『明日一日で終わらせられる自信があるんですか? 明後日からは私の実家に行くんです
よ? その準備もあるというのに、大丈夫なんですか?』
「わ、分かった分かった。じゃあさ。そろそろ昼飯だろ? それ食べ終わったらやるよ。
午後半日あれば窓拭きくらい終わるって」
『まだ冬至から大して経ってないから日は短いんですよ? 日没までに出来ますか?』
「半分やって、あと風呂掃除する。で、残りの半分を明日の午前中にすればいいだろ? ど
うだ。この完璧な計画は」
『ハァ…… というか、明日はちゃんと起きれるんですか? また疲れたとか言って、寝
坊するんじゃないんですか? タカシさんってば……その……つ、疲れてるときほど甘え
てくるし…… それに、今日は二人で過ごす年内最終日だし』
「あれ? もしかして、そういうの期待してるのか? ん〜っ?」
『きっ…… 期待なんてしてません!! 危惧してるだけですっ!!』
「そかそか。まあ、そういう展開もあるよな。夫婦なんだし。つか、敬子こそ大丈夫か?
この間みたいに、寝て起きても足腰立たなくなったりしないよな?」
『あれはタカシさんが悪いんじゃないんですかっ!! あ……あんなに激しくしたりする
から…… というか思い出させないでください!! まだお昼なんですよ!! 何てこと
言わせるんですかっ!!』
「自分から振ったくせに」
『私はあくまで心配を口にしただけですっ!! 別にこんなことまで言うつもりはなかっ
たのに…… あううっ……』
「余計なとこまでしゃべっちゃうのが、敬子の可愛いところだよな。ま、そういうご褒美
があるなら、午後からマジで頑張っちゃうかな」
『そんなご褒美約束できません。ていうか、あろうがなかろうがちゃんとやってもらわな
いと困りますから。私一人じゃ、とても手が回りませんから』
00323/32016/12/31(土) 14:44:13.640
「分かってる。敬子にウソはつきたくないからな」
『……なにちょっとカッコいい風なこと言ってるんですか。バカ』


「ごちそうさま。敬子のうどんで大分元気も出てきたよ。よし…… やるかなっと」
『今日は少しやる気になってくれてるんですね。いつもだと、ここでおなか一杯だって横
になって、私が叩き起こすパターンだったりするのに』
「……だってさ。ホント、嬉しいなって思ってるから」
『は? 何なんですか急に。気持ち悪い』
「いや。だってさ。去年まではワンルームに一人で暮らしててさ。めんどくせえ、やりた
くないって思ってても誰も掃除してくれるわけでもなくてさ。ダラダラするだけした挙句
に、仕方ねえってちょっと部屋の片づけして流しとかキレイにして、でもおわんねえって
なって、そんな感じだったからさ。こうして一緒に掃除してくれたり、俺の尻叩いて動か
してくれる人がいるのはいいなって、幸せかみ締めてた」
『……なに言ってるんですか。その、やり残した掃除って、私がやりましたよね。なんか、
バスルームとかカビがあったりして』
「うぐっ!! たださ。年末は来れなかったじゃん。忙しくて。それに付き合う前はホン
ト、次の連休まで放置だったりしてたから…… だから、こうして一緒に暮らしてくれる
人に迷惑かけちゃいけないよなって」
『そう思うなら、普段から真面目にやってください。こういう時だけじゃなくて。タカシ
さんっていつも、口と行動が伴ってないんですよ』
「はいはい。じゃ、ま。ご褒美目指して頑張るとしますか」
『だからご褒美なんてありませんってば!! バカッ!!』


ツンデレな嫁とこんな年末が送りたいと真剣に願ってはや11年。
皆もツンデレさんと良いお年を!!
0034ほんわか名無しさん2016/12/31(土) 21:51:58.590
年の瀬に相応しい素晴らしい妄想だ!GJ!

皆良いお年を!
0037ほんわか名無しさん2017/01/01(日) 10:37:49.180
あけましておめでとうございます。

今年もツンデレといちゃいちゃ出来ますように!!
0038ほんわか名無しさん2017/01/02(月) 21:13:43.950
なんだかんだ言ってツンデレだよなぁ
今脳内ツンデレ彼女と新年一発目デートを満喫中だぜ!

なお、現実では1人でアニメートにいく模様
0039ほんわか名無しさん2017/01/04(水) 18:43:17.940
みなさま明けましておめでとう
携帯からだと書き込めなくて遅くなったけど、やっとツンデレさんにも挨拶が出来たぜ
00401/22017/01/04(水) 19:55:29.730
・ツンデレとこたつの場所取り合戦

『……お兄……足……邪魔……伸ばせない……』
「なんだよ。俺だって曲げてるんだ。我慢しろよな」
『……ど真ん中……占領してるくせに……エラそうに…… 少しは……はじに……寄せて
……あったまれない……』
「そんなこともないだろ。ちなみの足だったら細いから、俺のをよけても十分スペースあるだろ」
『……お兄が……ムダに……スペース取り過ぎなの…… 少しは……遠慮しろ……』
「いいじゃん、たまになんだし。普段は一人で広々と使ってるんだろ? 帰省した時くら
い、優遇させてもらったってさ」
『……お正月……お兄……ゴロゴロ……してばかり…… 私は……お母さんの手伝いとか
で……疲れてる…… こたつの場所を求める権利は……あると思うけど……』
「手伝いっつったって、料理作ったりとかしてた訳じゃないじゃん。盛り付けと運ぶのく
らいでさ。ちなみは相変わらず、僅かな功を大げさに語るよな。お母さんが出かけててツッ
コミ役がいないからって、通用すると思ったら大間違いだぞ」
『……むぅ…… それはともかく……場所……空けて…… 半分で……いいから……』
「お断りだな。こたつの場所取りとはすなわち戦場。取りたくば実力で来い」
『……そうまで言うなら…… えい、えい……』
 ゲシゲシ……
「いてっ!! いきなりけっ飛ばしてくるかよ。よし、ちなみがその気なら……」
 コショコショコショ……
『……ふにゃ!? やめっ……くすぐっ……たっ!!』
「ククク…… 忘れたかちなみ。俺がまだ実家暮らしの頃、散々お前にいたずらした足指
テクニックを」
『ううう…… 足の指で……足裏くすぐりされた……忘れてたわけじゃないけど……』
「大学入って以来やってなかったからなー とはいえ、ちなみの弱点はまだまだ、しっか
りと覚えてるぞ」
『……じゃあ……こっちからなら…… ひゃうんっ!?』
00412/22017/01/04(水) 19:56:31.320
「甘い、甘いぞちなみ。この狭いコタツの中、逃げ場があると思ったか? こうなったら、
徹底的に追い詰めて、こたつから出るまでやったろうか? 大人しく降参すれば話は別だが」
『……まだ……ここで……撤退したら……お兄が……ますます……調子に乗ってくるし……』
「安心しろよ。降参しても、ちゃんとちなみの場所は空けておくから。ま、端っこだけどな」
『……冗談を…… じゃあ……こっちからなら』
「甘いぜ。ここだな? こしょこしょこしょこしょ……」
『ふぁっ!? あ……やんっ……!!』
「あれ? なんか、感触が……?」
『……お兄……バカ……』
「え? どうかしたのか、ちなみ」
『……バカ兄……今……私の……触っちゃいけない場所……くすぐった……』
「うっそ!? マジでか。ゴメン。そんな奥の方まで足伸ばした覚えなかったはずなのに……」
『お兄……ヒドい……』
「いや、ホントにすまなかったって。事故だから。事故。まさかちなみがそこまで体入れ
てるとか思ってなくて――いてえっ!!」
『……ふふふ……お兄の足……つかまえた』
「いてててて……つか、足で足首キメてくるのかよ。お前の足関節技使い、上達してねーか?」
『……お兄との……再戦もあるかと思って……練習しといた』
「ギブギブギブ!! わかった、降参するよ。ってか、さっきのアレ、演技か。きたねーな」
『スカートの中……足入れられたのは……事実…… 触られたのは……太ももだけど…… 
勝利のためなら……多少の犠牲は……付きもの……』
「分かったよ。ほら、ちなみ。真ん中空けたからさ。つか、今のでまどろみから覚めちまっ
たよ。よいしょっと」
『……ぬふふ……勝利のぬくもり……ぶい……』
「全く……満足そうな顔してからに……」
『(……お兄と……久々に……足合戦……足絡め合って……楽しかった……)』


しかし、この後すぐに母親が帰ってきて、ちなみの勝利は儚いものになったという。


まずは軽く、年明けの妄想を垂れ流してみる
0045ほんわか名無しさん2017/01/08(日) 10:49:04.670
時代が進んでSAOみたいな世界になったら、VRの世界から帰って来れなくなりそうだな
0046ほんわか名無しさん2017/01/14(土) 02:20:24.700
かなみんを横に寝かせて、重なったおっぱいの上にみかんを乗せて『かなみもち』をやりたかった
0047ほんわか名無しさん2017/01/14(土) 02:57:12.930
ちなみんのおっぱいに蜜柑を重ねてちなみ餅……あれおっぱいがない
0048ほんわか名無しさん2017/01/15(日) 11:03:17.190
前スレで投下しようと思ったけど、明らかに途中で容量オーバーになるので溜めてた妄想行きます
00491/62017/01/15(日) 11:04:27.250
お題作成機より:先輩・神社・お尻

「……んぱい…… 先輩っ!!」
『ふぇっ!? や、やだ……っ!! 別府君じゃないの。びっくりさせないでよ、もう……』
「すみません。驚かせるつもりはなかったんですが…… 意外と足、速いですね。結構急
な坂道なのに」
『私は歩き慣れてるから。そもそも何で別府君がこんなところにいるわけ?』
「こっちがそれを聞こうと思って追いかけて来たんですよ。先輩こそ、何でこんな森の中
の獣道みたいな細い脇道に入ってるんですか? ちょうど道に入っていく先輩を見かけた
ので、気になったんですよ」
『……それでわざわざ追いかけてくるって……別府君って、もしかしてストーカー気質が
あるとか?』
「それならわざわざ声掛けたりしませんって。そうじゃなくて、ちょっと、ほら。心配に
なると言うか…… だってこんな、人一人通らないような道に分け入って行くなんて、も
しかしたらってこともあるじゃないですか」
『……まさか、私が死に場所を探してるとか、そんな想像したの?』
「えーと…… まあ。もちろん、そんなことないだろうとは思いましたけど、人って分か
らないじゃないですか。先輩ってあんまり悩み事とか人に相談するタイプじゃないし、自
分の中で抱え込み過ぎちゃって、とか」
『なるほどね。別府君にとっては私って、悩みを抱え込み過ぎてて自殺しちゃうような、
そういう暗いイメージの女の子に見えるんだ』
「いやいやいや。暗いとか言ってないですし。一見、社交的で明るい人だって内側にすご
い闇を抱えてる人も結構いたりするじゃないですか。だからその、見栄えは関係ないですって」
『いいわよ。地味で目立たなくて人付き合いの悪い根暗な女だって正直に言ってもらって
も。別に別府君に言われたところで何とも思わないし』
「一言もそんなこと言ってませんよ。ただ、一言いわせてもらえば、先輩って感情とか自
分の気持ちとかあまり表に出さないから何を考えているのかよく分からないところあるし、
それで、まさかとは思うけどそういう事も、もしかしたらあるかなって考えただけで」
『なるほど、確かに見栄えはともかく、だわ。性格が暗いっていうのは貴方もそう感じて
いるっていうことね。良く分かったわ。フォローになってないフォロー、ありがとう』
00502/62017/01/15(日) 11:05:04.580
「うぐ…… というか先輩、もしかして怒ってませんか? さっきは何とも思わないとか
言ってましたけど」
『怒ってないわよ。別に。全然。全く』
「その言い方が怒ってるように聞こえるんですが。というかむしろ逆で、先輩はもう少し
オシャレとかして感情を表に出せば全然可愛くなると思うんですけど。まあ、そうなった
らそれはそれで少し困りますけど」
『何よその言い方。まるで私に可愛くなってもらいたくないみたいね。別に貴方の言葉に
乗って可愛くなる努力をする気なんてないけど。ただ、何が困るのかだけは教えてもらえ
るかしら?』
「そりゃ、先輩がモテるようになったら、話せる機会が激減しますからね。こうやって偶
然の出会いがあっても、横に男がいたんじゃシャレにならないですし」
『バカバカしいわ。私は別に、別府君と話す機会なんて持ちたくもないし。あなたが勝手
にしゃべりかけてくるだけで。もっとも、仮にオシャレしたり愛想良くしたからって、他
の男子からモテるとかありえないけど』
「もう少し自信持ってくださいって。むしろ人付き合いが苦手だから自然と地味を装って
るんでしょうけど、本当は先輩、美人なんですから」
『いい加減にしなさいよ。付き合ってられないわ本当に。こんなところで時間を無駄にし
たくないから、もう私は行くわよ。それじゃ』
「待ってくださいって。あ、いや。待たなくてもいいですけど、最初の質問にはちゃんと
答えてくださいって」
『最初の質問? そんなのあったかしら?』
「ありましたよ。何でこんな、人が誰も立ち入らないような細い脇道に入って行くのかっ
て。そこから自殺だなんだのって話になって脱線したんじゃないですか」
『一応言っておくけど、人が誰も立ち入らないなんてことはないわよ。それだったら、こ
んなはっきりとした道が残る訳ないじゃない。ちゃんと毎日通る人がいるから、道になっ
ているのよ。そもそも道の入り口はちゃんと階段になってたでしょ』
「こんな場所に毎日分け入って行く人、いるんですか? てか、一体この先に何があるん
ですか? まさかこの先に、謎の空間に繋がる入り口があって、そこから別世界にいけるとか?」
『それならそれで面白いけどね。世の中、そこまで不思議には出来てないわ』
00513/62017/01/15(日) 11:05:49.910
「あれ? てっきりバカにされるかと思ってたけど、そんなふうに乗ってくるなんて意外
ですね。先輩ってもしかして中二設定好きですか?」
『中二って言わないでよ。確かにファンタジーの類は好きだけどね。だからこそ、そうい
う揶揄はあまり好きじゃないの』
「今時、結構当たり前に使ってると思いますけどね。まあ、いいや。ムキになって議論す
るほどじゃないし。で、先輩はどこに向かってるんですか? 単なる近道だ、なんてこと
だったら逆に拍子抜けですけど」
『ムダ話してる間に、もう答えが見えてきちゃったわよ。あれ、分かる?』
「あれって……鳥居ですよね。てことは、この先神社とかですか」
『正解よ。ここまで来たら、引き返すほうが神様に失礼でしょうし、別府君もお参りして
いきなさい』
「俺、無心論者だから神頼みとかあんましないんだけどな。でもまあ、先輩とデートだと
思えば、楽しくもなるか」
『ばっ……!? 誰が別府君なんかとデートするのよ!! 冗談言わないでってば!!』
「へえ。クールな先輩も動揺とかするんですね。今の、かなり可愛かったですよ」
『ふざけないで。誰が動揺なんてしたのよ。今のは単に嫌がっただけだってば』
「そうですか? ただ嫌がるだけだったら多分先輩なら、一人で勝手にそう思っていなさ
い。私は微塵もそんなつもりはないけど、って冷静にぶった切りそうですけど」
『うるさいわね。人の声真似して言わないで。別府君の声だと、より頭に来るわ』
「上手でしょう? 先輩の真似。結構周りからもウケるんですよ。先輩の前では初披露ですけど」
『なるほどね。そうやって人をダシにして、他の女子からモテようってしてるわけ。最低
ね。別府君って』
「何言ってるんですか。一言もそんなこと言ってないでしょう。そりゃ、ウケるのは嬉し
いですけど、別に女子の気を引きたいからってわけじゃないですよ。むしろ、それだけ私
のこと見てくれてるんだ、ってポジティブにとらえて欲しいものですけど」
『そんなこと思うわけないでしょう。それのどこがポジティブなのよ。気持ち悪い。むし
ろ本当にそうだとしたら、ストーカーとして告発するわ』
「手厳しいな先輩は。でもまあ、安心してください。そんな先輩に気持ち悪がられるよう
なことはしてませんよ。まだ、先輩の家も知りませんし」
00524/62017/01/15(日) 11:06:18.930
『まだ!? これから知ろうとするつもりでもあるの?』
「それは、先輩から家に誘ってもらったら分かるかなっていうことですけど」
『ハァ…… バカバカしい。そんな日は永遠に来ないわよ』
「さて。どうですかね?」
『来ないに決まってるでしょ!! 意味ありげな目で人の顔を窺わないでよね。付き合っ
てられないわ。本当に』
「ああ。待ってください。せっかくのお誘いだし、俺も一緒にお参りしていきますよ」
『一応言っとくけどね。貴方を誘ったのは、神様の面前まで来て素通りで帰らせるのも失
礼かと思ったからで、それ以上の他意は何もないわ。別府君と一緒にお参りしたいなんて、
心の片隅にも思ったことないから、誤解しないようにね』
「そこまで思い上がってはいませんよ。そうありたいとは思ってますけどね。むしろ、そ
こまで否定されると逆に何かあんのかなーって期待しちゃったり」
『んなっ!? 何もないってば!! 正直、過剰なポジティブは聞いていても気持ち悪い
だけよ。こっちはまるで楽しくないんだからね。ただただ迷惑なだけ』
「俺としては、先輩には逆に少しでも前向きな考えを持って欲しいなって思いますけどねっ、
ととと。危うく素通りするところだった。ヤバいヤバい」
 ペコリ。
『へえ…… 意外だわ』
「はい? 何がですか?』
『別府君が鳥居の前でお辞儀してたから。貴方がそんな作法知ってるとは思ってなくて。
そもそも貴方、自分で無神論者だって言ってたし』
「うち、ばーちゃんがそういうの詳しくて。子供の頃から初詣とか行くと色々うるさく言
われたんですよ。手水とか、拝礼の仕方とかね。まあ俺は出来る範囲で適当にやってますけど」
『そうなんだ。おばあ様ってまだ元気なの』
「ええ。今でも年に一度は伊勢に行ってますし、御朱印帳持ってお参りに行っては集めて
回ったりしてるけどな」
『そっか。じゃあまだまだ元気ね』
「ええ。ありゃ、百歳までは確実に生きるなって感じですね。体動かすことが健康の源だっ
て、運動も欠かしませんし。けど、それが何か?」
00535/62017/01/15(日) 11:06:42.250
『え? ううん。なんでもない。故人の思い出話とかさせちゃったんだったら、ちょっと
申し訳ないなって思っただけ』
「なんだ。そんなことなら全然気にしなくていいですよ。別にばーちゃんっ子って訳でも
ないですし。まあ、仮に亡くなった後だとしても、こうして思い出話してくれる方がいい
んじゃないですかね」
『亡くなった人を他人が話のネタとして振るのは、無意識とはいえ一般的な尺度で考えて
失礼じゃないかなって思っただけよ。べ、別にそこまで気にしてたわけじゃないし』
「何をムキになって否定してるんですか? ちょっとよく分からないんですが……」
『な、なんでもないわよ。ほら。さっさと手水済ませて参拝するわよ。別府君といつまで
もムダ話してるほど暇じゃないんだから』
「あれ? 先輩、この後なにか用事あるんですか。残念だな。もし良かったら一緒にお茶
でも飲みに行こうかと思ってたのに」
『えっ!?』
「どうしたんですか? そんな驚いた顔して」
『ななな……なんでもないわよ。別府君が私を誘うなんて意外だったからってだけで……
だって今までそんなことなかったし』
「二人きりになる機会自体がそんななかったじゃないですか。部室には大抵他の子もいる
し、二人だけになりそうになると、先輩も用があるとかでどっか行っちゃうし」
『実際に用があったのよ。3年生ともなると色々と忙しいの。まあ、用がなくても貴方から
の誘いなんて受けないけど』
「またそんなつれないことを。後輩とお茶飲むくらいいいじゃないですか。もう二十歳も
超えてるのに男に免疫つけとかないと、社会に出てから色々と苦労しますよ」
『うるさいわね!! 貴方にそんな説教されたくないわ』
 パシャッ!!
「ところで、大丈夫なんですか? この手水舎の水。誰もいないみたいですけど、溜めっ
ぱなしで放置されてるとかじゃないですよね?」
『大丈夫よ。一応、ちゃんと宮司さんもいる神社だから手入れはされてるわ。もっとも、
他に神主さんとか巫女さん雇ってるほどじゃないし、宮司さん自体、何か副業でもやって
るのか、いないことも多いけどね。だからお守り買ったり、御朱印帳つけたりってのは期
待しないほうがいいわ』
00546/62017/01/15(日) 11:09:20.190
 パシャパシャ……
「なるほど。しかし、なんだって先輩はこんな誰も参拝しないような神社に来ようなんて
思ったんですか?」
『誰もってことはないわよ。たまに地元のお年寄りとか見かけるし。隣町にもっと大きな
神社があるせいで、お祭り以外でわざわざ来る人はいないけどね。でも、こういう静かな
ところの方が、落ち着いてお参りできるでしょ』
「まあ、人がいっぱい来る神社よりか願いが叶いそうな気はしますね。こんな末社まで参
拝に来るなんて感心な娘だなって」
『そ……そんな現金な理由で来てないわよ。あとね。ここ、穂乃神社っていって平安時代
からある由緒正しい神社だから、末社なんて言ったら神様に怒られるわよ』
「げっ!? お参りついでにちゃんと謝っとかないとな。ばーちゃん言ってたけど、神様
と相性が悪いと神域に入っただけで具合悪くなることもあるって」
『それが賢明ね。まあ、私には関係ないけれどね』
「俺は困りますよ。こうやってまた、先輩と参拝に来れなくなるのは残念ですからね」
『なっ……バ、バカなこと言わないでよ。私は別府君なんて誘う気は全くないんだから。
今回たまたまだったってだけで』
「誘われなくても一人で来ようかなと。そうすれば、こうして偶然先輩と会えるかもしれ
ませんし」
『やっ……やっぱり貴方、ストーカーじゃない。この変態』
「厳しいなあ。それじゃ、偶然にならないでしょ。それに俺は、こっそり後つけるなんて
真似は絶対出来ませんよ。先輩見かけた瞬間、声掛けちゃいますからね。それに会うだけ
なら毎日部室で会えますし。たまたま……ってのがいいかなって」
『私はむしろ迷惑よ。今だってこうして、お参りの邪魔されてるし』
「別に邪魔をしてるつもりはないですよ。じゃあ、まずは先輩からどうぞ」


多分あと2回ほど続く


今年はもうちょっとスレの書き込みが増えて欲しいです
SSとか絵は無理でも、アニメやマンガやリアルっぽいネタなんかの雑談とか懐かしいので
0055ほんわか名無しさん2017/01/15(日) 11:22:17.350
おつおつ!先輩かなみんええなぁ……ここからのデレに期待

リアツン懐かしいね。みんな今でも健やかなツンデレライフを送ってるのかな
0057ほんわか名無しさん2017/01/21(土) 10:57:09.930
ちょっと気分が落ち込んでる時は、尊さんに罵られつつ頭を抱え込まれてなでなでされたい
00591/72017/01/22(日) 10:14:36.840
お題作成機より:先輩・神社・お尻〜その2〜

『言われなくたってするわよ。けど、何で貴方が隣に並ぶわけ? これじゃあまるで、一
緒にお参りしてるみたいじゃない』
「いいじゃないですか。さあ、ほら。鈴を鳴らして」
『私の方が作法くらい知ってるわよ。鈴を鳴らす前に軽くお辞儀するのがちゃんとしたや
り方だってのもね』
 ガラン……ガラン……
 パン、パン……
「じゃ、まあ俺も……」
 ガラン……ガラン……
 パン、パン……
「よし、と。先輩は何をお祈りしたんですか?」
『終わるなり聞かないでよ。教えるわけないでしょう』
「そうですか? ちなみに俺のお祈りは、先輩がもう少し俺に心を開いてくれますようにって」
『んなっ!? ななな……何でそんなバカなお祈りしてるのよ!! 神様に対してくだら
なさすぎると思わないの?』
「全然思いません。むしろ、大真面目です。先輩と仲良くなれるよう色々と努力はしてる
んですけどね。最後のところは先輩次第なんで、これは神頼みしかないかなと」
『バカバカしい。冗談じゃないわ。なんで私が別府君に心を開かなくちゃならないのよ。
それでなくても十分うっとうしいくらいに相手させられてるのに』
「別に、開かなくちゃならないわけじゃないですよ。俺が勝手にそう願っているだけで、
強制力なんて全然ないですから」
『そんなの当たり前でしょう。ハァ…… 横でまさかそんなお願いされてるなんてね。そ
うと知っていたなら、今日のお祈りは、別府君と会話をする機会が出来る限り減りますよ
うに、とでもしておけばよかったわ。もう済ませちゃったけど』
「ひどいな、先輩は。普通、後輩に慕われるって喜ぶべきことだと思うんですけど」
『普通の後輩なら、ね。別府君は別。うっとうしいから』
「じゃあ、話しかけても先輩にうっとうしがられないように頑張って改善します」
00602/72017/01/22(日) 10:15:14.030
『一番いいのは、話しかけてこないことだと思うけど。そうすれば私も心穏やかに一日が
過ごせるのに』
「それじゃあつまらないでしょう。お互いに」
『バカ言わないでよ。何でお互いに、なのよ。私は別府君に話しかけられなくとも全然平気だわ』
「なるほど。まあそれはそうとして、先輩。今日は何をお願いしたんですか?」
『……何なの? その余裕ぶった態度。ちょっと気に入らないわね』
「だって、今の先輩からはそれ以上の好意は引き出せそうにありませんし。それよりも俺
は、俺との会話の機会を減らして欲しいという以外の、先輩のお願いに興味がありますね」
『さっきも言ったでしょう。教えるわけないって』
「俺は教えましたけど?」
『それは貴方が勝手に言ったことじゃない。私の知ったことじゃないわ』
「なるほど。じゃあ、先輩のお願いは、男の後輩に対しては聞かれても教えられないよう
な内容だと。そう解釈していいですね?」
『なんでそうなるのよ。それじゃあ私がまるで、人に言えない恥ずかしいお願いをしたみ
たいじゃない』
「だって、少なくとも俺には言えないわけでしょう? てことは、先輩にとっては口に出
すのが嫌な内容なのかなって」
『そっ……そんな恥ずかしいお願いなんてしてないわよ!! それはその、内容の問題じゃ
なくて、ただ私は個人的なお祈りを人に言う必要はないかなって思っただけで』
「自発的には、まあそうでしょうけど。ただ、聞かれても頑なに拒むほどの理由があると
すれば、どうしても内容に起因するのかなって考えてしまうわけで」
『だから内容は違うってば!! 私じゃなかったら……そんな……隠すほどでもない、普
通の内容よ』
「だったら、別にもう、言っちゃっても良くないですか? これ以上は隠せば隠すほど、
ドツボにはまっていくだけだと思いますけど」
『う…… ここまで来ると、隠してた分だけ内容聞いたらガッカリ、なんてことになるん
じゃないの?』
「気にすることないですよ。先輩から得られた言葉は、全部美味しくいただくことにして
ますから」
『そういうこと言わないでってば!! また言いにくくなるじゃない』
00613/72017/01/22(日) 10:16:07.640
「ということは、ようやく教える気持ちの方が強くなってきたってことですね。大丈夫で
すよ。ガッカリもしないし、バカにしたりネタにしたりもしませんから。ほら」
『……本当に、ごくごく普通の、お願いよ。えっと……その……就職活動頑張りますから、
私にとって良い企業に巡り合えますようにって……』
「なんでそんな、途切れ途切れなんですか。まるで、後から取ってつけたようにも聞こえ
るんですけど。本当にしたお願いは言えないからって」
『そっ……そんなわけないでしょ!! なんでそこで疑うのよ!! い、意味わかんない!!』
「いや。なんか考えながら言ってるように聞こえたので。ただ、半分は俺の願望も混じっ
てますけど」
『言葉にするのに、簡潔な言い回しを選んだからだけよ!! あと、半分は願望交じりっ
て何!? ちょっと気持ち悪いんだけど』
「いや。願望といっても、俺に都合のいいことじゃなくて、先輩がこんなお願いこっそり
してたら可愛いなって想像してたのがあって。まあさすがにそれは言えませんけど」
『言わなくていいわよそんなの!! ああもう!! とにかく、言うだけは言ったから義
務は果たしたわよ。もう、さっさとおみくじ引いて帰るから』
「おみくじですか。ここは、百円入れて箱に手を入れて引くだけのですよね。俺、巫女さ
んが持った木の入れ物に入った棒を引くのが好きなんですけど」
『いやらしいわね。どうせ目当ては巫女さんでしょ? 神様の目の前でアルバイトとはい
えお仕えしてる巫女さんを不埒な視線で穢したりしたら、バチが当たるわよ』
「そうですね。でも、先輩が巫女服着ておみくじやってくれたりしたら、バチなんていく
ら当たっても構わないかも」
『バッ…… バカじゃないのホントに。何で私なのよ。意味が全く分からないわ。私なん
かが巫女服着たって……その……地味で暗いイメージにしかならないわよ』
「今の先輩の取り乱しっぷり見てたら、全くそんなことはないと思いますけどね。照れて
る姿に巫女服を合わせて想像するだけでめっちゃ可愛いですよ」
『からかわないでよ。貴方のそういうところが一番嫌いなの。私が大人しいからイジりや
すいと思って。大体、取り乱してなんかいないわよ。怒ってはいるけどね』
00624/72017/01/22(日) 10:16:58.540
「大人しいから、じゃなくて反応が可愛いから、なんですけどね。先輩ってめっちゃ磨け
ば光ると思うんですけど」
『そんなことないってば!! 勘違いさせて笑う気なら勘弁だわ。もう構わないで』
 ゴトン。
「先輩。おみくじどうでした?」
『まだお金入れただけよ。引くのはこれから。大体構わないでって言ったのになんで絡ん
でくるのよ』
「そりゃあ、先輩が引いたおみくじがなんだったのか気になるからですよ」
『貴方には絶対に見せないから。私は向こうのベンチで座って見るけどついて来ないでね。
後ろから覗き込むとか、絶対にしないで』
「そんなコソコソするような真似はしませんけど、それより先輩……」
『もう構わないでって言ってるでしょ? これ以上貴方とは口を利きたくないの』
 ガサガサ……
『よしっ……と。それじゃあね、別府君。貴方は引いたらさっさと帰りなさい。お疲れ様』


「意固地な人だなあ…… まあそれが可愛いんだけど。それより、大丈夫かな? 昨べ結
構雨が降ったけど、ベンチって濡れてるんじゃ…… まあ普通は気付くと思うけど……」
「さてと。俺も引くか…… えいっ、と。どれどれ……お? 中吉だ。恋愛運は……強く
行かないほうが吉、か。なるほど……」
『ひゃんっっっ!? つめたっ!!』
「――っと!! 先輩どうしました!?」
『やだ、もう…… なんで濡れてるのよ?』
「なんでって、明け方まで雨、降ってたじゃないですか。木のベンチならまだ乾いてなく
て当然だと思うんですけど……気付かなかったんですか?」
『う、あ…… 考え事してたから……』
「周りの状況に気付かないくらい没頭してたんですか? 普段落ち着いてる先輩からすれ
ば珍しいですね」
『うるさいわね!! そもそも別府君のせいでこんなことになってるのに、冷静にコメン
トしないでよ』
00635/72017/01/22(日) 10:17:40.300
「え? 俺のせいって……なんでですか?」
『え……? な、なんでってことは……えっと、その……貴方がさっきから私を苛立たせ
てばかりいるから……というか、私の身に不幸がかかる時は全部貴方が悪いの!!』
「むちゃくちゃな理論だなぁ…… 先輩って俺絡みの時だけ急に理不尽な発言増えたりしません?」
『理不尽なんかじゃないわ。貴方のせいであることに間違いはないの。例え貴方が身に覚
えがないとしてもね』
「そういうのを理不尽って言うんじゃないんですか? せめて何で俺のせいなのか、その
理由を言ってくれないと」
『い……言えるわけないでしょ。そこは深く追求しないでよ。お願いだから』
「そんな怒ってるんだか泣きそうなんだかわからない顔で懇願しないでくださいよ。全く
……それじゃ、聞きたくても聞けないって」
『ダメだってば!! 聞いちゃ!!』
「分かりましたよ。ここで聞いたら本当に意地悪になりそうだからやめておきます。それ
より、大丈夫なんですか? お尻、濡れちゃって」
『全然大丈夫じゃないわよ。下着まで染みちゃって…… 別府君のせいなんだから何とか
してよね』
「俺のせいって言われてもなあ…… タオルならありますけど、拭きます?」
『んなっ……!? なにドサクサに紛れて人のお尻触ろうとしているのよ!! 変態!!』
「いやいやいや。拭くのは先輩が自分でに決まってるじゃないですか。そこ、普通誤解しますか?」
『うっ…… べ、別府君って存在自体がイヤらしいから勘違いしたって仕方ないじゃない。
そこはちゃんと貸しますからって言ってくれないと』
「はいはい。おみくじで凶が出るのも神様にバチを当てられるのもみんな俺のせいですか。
やれやれ……」
『何で知ってるの!? 私のおみくじの結果が凶だったって』
「あれ? ガチでそうだったんですか? いや。良くないことを神社的な例えで言ってみ
ただけなんですけど」
『えっ!? あ、あれ? そうなの…… 私てっきり……って、それじゃ完全に余計なこ
と言っちゃったんじゃない!!』
「そっかー 先輩、凶だったんですか。意外だなあ。先輩のイメージからだと地味に吉と
かだと思ってたんだけど。一体どんな内容だったんですか?」
00646/72017/01/22(日) 10:18:31.360
『教えるわけないでしょ!! 何でわざわざ悪い結果を伝えて恥晒すような真似しなくちゃ
いけないのよ。あと地味って言わないで!! 自分から振ってないのに言われるのは何か
傷つくから!!』
「普通、友達とかとお参り行ったらおみくじ見せ合ってネタにしますよ。大体、くじなん
だから凶が出ても先輩の恥とか関係ないですって。ほら、俺のおみくじ見ます? 俺もま
あ、日頃の行いのせいか、大概良くはないですけど」
『別府君も凶だったの? ちょっと見せてよ』
「はい。ま、こんなもんだろうとは思ってましたけどね」
『どれ……? って、中吉じゃないのこれ!? ズルい!! 私より全然いいじゃない。
だましたのね?』
「だましてなんてませんよ。ほら。恋愛のところを見てください。無理強いすると逃げる。
時期を待つべしって。俺、こういうの苦手なんですよね」
『貴方の性格を神様もちゃんと見ていて忠告してくれてるのよ。待ち人は来るし失せ物は
出るし、全然いいじゃない。学問だって努力すれば成果は実るって…… ウソつき。散々
だったような顔してたくせに』
「乗っかっちゃった先輩が悪いんですよ。はい。おみくじ、見せてください」
『こんなの反則だわ。この卑怯者。そもそも、貴方は勝手に見せたんじゃない。私、見せ
るなんて一言も言ってないわ』
「このタオルあげますから、俺が先輩のおみくじ見てる間にお尻、拭いてください。でな
いと俺、我慢出来ずに先輩がお尻拭いてる姿を見ちゃいそうで」
『今度はのぞきを予告して脅迫するつもりなの? どこまで悪人なのよ、貴方って』
「そこまで大げさなことじゃないと思うんですけど…… リスク回避だとでも思っておけ
ばいいんですよ。おみくじで気をそらしておけば、変態の視線から免れられるって」
『自分で自分のことを変態だって自覚してるところが始末に終えないわね。こういう開き
直ってる人が一番危険なのよ』
「いえ。今のは先輩の思考レベルで例えただけで、別に俺自身はそこまで堕ちたとは思っ
てないんですが……」
00657/72017/01/22(日) 10:19:51.330
『もういいわよ。あんまり意固地になって見せない見せないってやってたら、どんだけ酷
い内容のおみくじ引いたんだろうって部内で噂されても困るし、それに私はハンカチしか
持ってないから、タオル貸してもらわないと、どうしようもないしね。だから、ほら。い
いから好きに見なさい』
「最後は意外とあっさり引きましたね。たかがおみくじの結果くらいでムキになるのがバ
カバカしいってやっと気付きましたか」
『バカバカしい……って…… まあいいわ。どのみち、下の入り口で貴方に会ったことで、
すでに私の運命は決まっていたのよ。天災だと思って諦めるしかないわ』
「俺は貧乏神か何かかよ……」
『じゃあ、私は社務所の裏側で拭いてくるから、別府君はここにいてね』
「了解です。それじゃ、先輩が今どれだけ悪い運勢の元にあるのか、しっかりと見ておきますよ」
『やめてよそんなの。そんなじっくり見るものでもないでしょ>さらっと流し見してくれ
ればそれでいいんだから』


あと一回続きます。
00671/42017/01/29(日) 10:34:46.090
お題作成機より:先輩・神社・お尻〜その3〜

「いやー。確かにこりゃ、凶だわ。嵐の中を彷徨っていて周囲に見える光はない、と。失
せ物も出ず。病気は長く患う。待ち人来ない。転居控えるべし、か。先輩の恋愛運は……
と。時期悪し。焦らず待てば意外な出会いの可能性も、か。その意外な出会いが俺ってこ
とは……ないかなぁ……」
『なに、人のおみくじ読みながらブツブツ呟いているのよ。気持ち悪い』
「わあっ!? せ、先輩。今の、聞いてました?」
『何か呟いてるのは聞こえたけどね。意味までは聞き取れてないわよ。どうせ、聞いたと
ころでいい気分になるものでもないでしょうし』
「確かにそうですね。見事なまでに凶だなあ、と感心していたところで」
『悪かったわね。どうせ私は大荒れの風雨の中、死ぬ運命を待つしかないだけの身なのよ』
「まあまあ。そこまで悪く考えなくても。おみくじにだって、神の声にじっと耳を傾け正
しい行いをすれば日の差す方向も見えてくるって書いてあるじゃないですか」
『どうも私はその逆を行ってるようだわ。お尻だって濡れちゃったし』
「それは先輩の不注意で、不運とは関係ないでしょ。で、どうでした? 少しは拭いてマ
シになりました?」
『悪かったわね。不注意な間抜け女で。ええ。機転の効く貴方のおかげで、大分マシになっ
たわよ。ありがとう』
「ひがみ成分が多過ぎて、感謝してるって感じじゃないですね。まあ、役に立ったのなら
それに越したことはないですけど」
『でも、まだやっぱり濡れてて、ちょっとした動作でも張り付いて気持ち悪いし、それに
スカートの染みが目立ってるんじゃないかって気になって……』
「どれ? 俺が確認してみましょうか?」
『えっ!? やっ……やだ!! じっくり見るつもりじゃないでしょうね?』
「通りすがりの人が見て気にするかどうかのレベルでしょう。パッと確認するだけですよ。
じっくり見なきゃ分からないレベルなら、大して気にする必要もないってことですし」
『そ、そうね。乾くまでここで待つわけにもいかないし…… じゃあ、ちょっとだけ振り
向いてみるから』
00682/42017/01/29(日) 10:35:51.750
 クルッ……
『……っと……ど、どう?』
「ああ。やっぱりまだ濡れてるのは分かりますね。横からだとそうでもないと思いますけ
ど、真後ろからならはっきりと分かっちゃうくらい」
『やっ……やっぱり!? どうしよう……こんなんじゃ恥ずかしく歩けないわよ。どうし
てくれるの?』
「へ……? いや。どうしてくれるのって言われても……」
『だってこうなったのって貴方のせいじゃない。何とかしてくれてないと困るわ』
「俺のせいですか? さすがにこれは、どう考えても先輩の自爆じゃないかと思うんですが……」
『う、うるさいわね。そもそも参道の入り口で別府君が声掛けなければ、こんな事態にな
らなかったもの。だから別府君のせいなの!!』
「そこまでムキになって主張することですか? あそこで会ったのは偶然だし、先輩に会っ
た以上は声を掛けないという選択肢はないし、これは俺のせいというより巡り会わせみた
いなもので。そもそも先輩、凶だし」
『それを言わないでよ!! 私が凶を引いたのだって貴方のせいでしょ? 絶対あそこで
運命が変わったのよきっと!!』
「うーん…… 自分からこうは言いたくないですけど、そもそも運勢が悪いから、偶然俺
に会ったっていう考えもあるかと思うんですが……」
『ううっ…… い、いいわよ。どうせ私は不幸を背中に背負って歩いてるような女だって
言いたいんでしょ? 確かに性格も暗いし見た目も地味だし、他の人からはそう見えるっ
ていうのは自覚してるわよ。悪かったわね。不幸な女のクセに、それを人のせいにして』
「ヤケにならないでくださいってば。先輩の悪いところは、そういうネガティブ思考に陥
りやすいことで、性格は物静かですけどよく笑顔は見せてるじゃないですか。それに、見
た目だって地味可愛い系ですし」
『別府君にフォローされたって嬉しくないわよ。お調子者だから、すぐ女子にお世辞言う
し。今のだってうわべだけだってすぐ分かっちゃうし』
「俺、お世辞なんて言ったことないですよ。見た感想そのまま伝えてるだけで。そもそも、
暗い性格だったら俺相手にこんなにムキになって怒ったりしないし、可愛いって他の女子
だって言ってるじゃないですか」
00693/42017/01/29(日) 10:37:02.990
『……同性なのに言うのはあれだけど、女子の可愛いって言うのは当てにならないわよ。
それで勘違いなんてしたら、絶対陰で笑われるだけだし』
「先輩はもうちょっと信じたほうがいいですって。それこそ陰で言われてることです。た
またま凶を引いたからって、そこまでネガティブになる必要はないでしょうに」
『じゃあ、やっぱり別府君のせいなんだわ。もともとの運勢が悪くないんなら、貴方がそ
の元凶よ』
「俺が関係無い、っていう選択肢はないんですね。でも、責任取れって言われてもなあ…… 
替えのスカートでも買ってきますか? でも俺、先輩のサイズ分かりませんけど」
『そんなことしてたら、ゼミに間に合わなくなっちゃうじゃない。って、もうこんな時間
なの!? そろそろ学校行かないと間に合わないわ』
「じゃあもう、バッグで隠すとかしかないんじゃないですか? すぐに行かなくちゃなら
ないなら、乾くまで待つっていうのも当然無理でしょうし」
『こんなトートバッグでお尻隠してたら却って目立つじゃない…… 絶対変に思われるわ』
「他に隠す方法ねえ…… うーん………… あとは、そうですねえ…… 俺が先輩の後ろ
に立って視界をさえぎるっていうのは?」
『そっ……そんなのダメに決まってるでしょう!! 背後に貴方みたいなのがピッタリくっ
ついてたらそれこそ変に思われるわ。バッグなんかの比じゃないわよ。何考えてるの!?』
「いやいや。後ろからの視界をさえぎる程度でいいんですから、2〜3メートルは離れますって」
『……でもそれじゃあ、横から見たら分かっちゃうじゃない。意味ないわよ』
「確かに、万全とは言えませんね。けど、歩道は狭いから後ろをずっとついて歩いてるん
じゃなきゃ、そうそうは気付かれないと思いますけど。追い抜いていく人が抜き際にわざ
わざ先輩のお尻を見るんじゃなきゃ。それだって、ちょっと肩にかけたバッグをちょっと
後ろ目に下げておけば少しはさえぎれるでしょうし」
『でも、キャンパスに入ったら周りから見えるじゃない。知り合いにでも見られたら死ぬわ』
「真横からじゃそんなに目立たないから大丈夫ですよ。その頃までには多少乾くでしょうし」
00704/42017/01/29(日) 10:38:52.440
『何か他に方法ないの? 絶対誰にもばれないっていう…… 別府君の言う方法だと確か
に他のもので隠すよりは目立たないし、後ろ歩いてる人に気付いて変に思われるってこと
はないけど、でもやっぱり完璧じゃないもの』
「それがあれば苦労しませんよ。むしろこれでダメなら万策尽きたって感じです。どうし
ます? もうホントに時間なくなりますよ」
『あう…… もう仕方ないわ。キャンパスについたら走って教室に行くしかないわね。ど
のみち急がないといけないから、それまでお願いするしかないわ』
「じゃあ決まりですね。安心してください。後ろの視界は、しっかりとガードして見せますから」
『安心なんて出来るわけないでしょ。でもこれ以上出来ることが思い浮かばないから仕方
なく頼むんだからね。言う以上はしっかりと守ってよ』
「了解です。ただ、一つ事前に了承しておいて欲しいことがあるんですけど……」
『何よ? 変にもったいぶらずに早く言って。もうこれ以上時間取れないんだから』
「分かりました。多分先輩、気付いてないと思うんですけど…… この方法だと、俺にだ
けはずっとお尻見られながら歩くってことになるんですけど、それは仕方ないってことで
いいですよね?」
『…………ふぇっ!!!! え……ええええええっ!!!! いやあっ!! ダメそれは
絶対!! 見ちゃダメ!! 目隠しして歩いて!!』
「目隠ししてとかどうやって歩くんですか。まあ、出来る限り視線をそらすよう努力はし
ますと言っておきますけど、そんなの口約束でしかありませんからね……」
『へっ……変態!! バカ!! 最低!! 最初からそれ目的で提案したんでしょ!!』
「そんなつもりじゃないですってば。それとも、もう諦めてゼミ欠席しますか?」
『出来るわけないでしょ!! 今まで一度も遅刻欠席してないのに』
「じゃあもう諦めてくださいよ。それにどのみち、さっきバッチリ確認させたでしょ? 一
度じっくりと見られたんだから、毒を食らわば皿までってやつですよ」
『ううううう…… ホント最低の展開だわ。凶も凶。大凶よ!!』
「どうやら、納得せざるを得ないって理解してくれたみたいですね。じゃあ行きましょう
か。先輩の早足なら、余裕でついて行けますから急いでも大丈夫ですよ」
00715/4(ちょっとはみ出ました)2017/01/29(日) 10:40:46.610
『何が大丈夫よ!! 全然大丈夫じゃないわよ…… こんな罰ゲームみたいな展開食らわ
せるなんて、もう二度とここでお参りしないわ!!』

しかし一ヵ月後、またしても彼女はここで別府と出会うことになるのであった。



終わりです。
去年書いて投下してないSSがまだ結構ある件
しかし、全部投下すると、スレ占拠するみたいで忍びないわけだが。
0072ほんわか名無しさん2017/01/29(日) 13:33:43.320
こんだけ過疎で気にすることでもないと思うよ
かなみ先輩かわいいよかわいいよ
0073ほんわか名無しさん2017/02/03(金) 01:29:10.150
山「友ちゃん」
友「なによ」
山「…いつまでこれをやってれば良いの?」
友「私が良いっていうまで」
山「…ボク、編集の手伝いで呼ばれたんだよね?」
友「そうだけど?」
山「なんでそれが友ちゃんの湯たんぽ代わりになってんの?」
友「外が予想以上に寒かったからよ。この部屋、暖房も無いし」
山「こんなんじゃいつまでたっても編集始められないよ?」
友「それなんだけど、よく考えたら編集する素材が無かったから今日は編集中止ね」
山「えぇ?」
友「というわけで、今日一日あんたは私の湯たんぽってことで」
山「えぇ?」
友「んふふー♪」
山「…ほんとは最初からこうして欲しかったんじゃないの?編集も出来ないのに編集って口実でボクを呼んでさ」
友「んなっ!!そんなわけないでしょ!!誰があんたなんか好き好んで呼ぶかっての!」
山「…でも、これってボクじゃないと出来ないことだよね?まさか友ちゃんがボク以外の男を自分の部屋に入れないだろうし」
友「なに言ってんのよ!私も若いころは男をとっかえひっかえに…」
山「はいはい。友ちゃんは可愛いね」
友「はぐらかすなー!」
山「ま、ボクは編集よりもずっとこっちの方が良いや。友ちゃんもそうでしょ?」
友「な、なにを…」
山「…友ちゃん、好きだよー」
友「…ぅ…そ、そーゆーの…反則だってば…」
0074ほんわか名無しさん2017/02/03(金) 02:33:45.090
友ちゃん可愛いよ友ちゃんwww

既に日を越してしまったが2月2日はツインテールの日だったという件
0075ほんわか名無しさん2017/02/05(日) 23:03:57.070
またちょっと投下します
6〜8レス×5回程度で

とりあえず初回は8レス行きます
00761/82017/02/05(日) 23:04:35.400
・ツンデレの勘違い

 そろそろ梅雨に差しかかろうという時期。帰りのホームルーム終了のチャイムと同時に
教室がバタバタとざわつき出す。私は通学用のトートバッグに教科書や筆記用具をしまい
つつ、窓の方を見やる。
――雨か…… 帰るのうっとうしいな……
『かなみ。それじゃあたし、今日は中学の時の友達と約束あるから』
『うん。じゃあね。友香ちゃん』
 ちょっと前にお友達になった子に笑顔で挨拶して、私は立ち上がった。何となく教室の
斜め後方に視線を送る。その先に座る男子が他の男子とふざけあってるのを確認して、私
は席を離れる。
『そうだ。図書館、寄ってこ』
 確か、リクエストした小説がそろそろ入っている頃だ。ちょっとだけなら、多分、時間
的にもちょうどいいかもしれない。あの分なら、アイツもすぐには帰らないだろうし。


『……しまった。もうこんな時間だ……』
 リクエストした本がまだ届いておらず、代わりに何か借りる本を探していたり雑誌をパ
ラ見していたりしたら、いつの間にか一時間近くもたってしまった。
『もうさすがにアイツも帰っただろうな……』
 ちょっと気落ちして小さく呟く。
 アイツ、というのは別府タカシというクラスメートの男子だ。私の右斜め二つ後ろの男
子で、以前一回だけ強風の日に傘に入れてもらったことがある。以来、クラスの男子では
しゃべる方になった。大抵は友香ちゃんとかが一緒だけど、二回ほど、二人だけで帰った
こともあり、今日もちょっとそういう偶然を期待していたのだ。
『自分から、一緒に帰ろう、だなんて、言えるわけないしな……』
 想像するだけで、顔が火照る。うん。絶対無理。平気で私に声かけてくる別府が憎らし
いくらいだ。
『雨の日だと、余計に思い出しちゃうのよね……』
00772/82017/02/05(日) 23:05:14.100
 別府と二人で、相合傘して帰ったことを。今日の傘は折りたたみじゃないし、風もほと
んどないけど、でもあの日の記憶が鮮明によみがえる。
『私のこと……色々と気にかけてくれて、ホントおせっかいなんだけど……でも、それって……』
 あの時まで一度も話したことなかったのに、友香ちゃんや記子ちゃんが私に声かけてく
れるように手引きしたりしてくれたのは、もしかして――なんて想像をしてから、私はそ
れを自ら否定する。
『いやいやいや。ないない。だって、別府って何気に女子に人気があるしさ。イケメンっ
ていうほどじゃないけどそこそこカッコよくてオシャレで、付き合えるならいいよねって
いう感じで……だから、私なんか……』
 胸もお尻も、起伏の少ない自分の体。顔だって、友達になってくれた子は可愛いっていっ
てくれるけど、キツめで近寄りがたい雰囲気だし。
『……でも、彼女いないのよね。みんなの話だと。ということは……』
 二人で帰ろうって誘ってくれたりするのは、そんな気じゃないと思うけど、でも考えが
都合のいい方向へと傾いてしまう。
 そして、つい顔がニヤつきかけたその時だった。
「全く…… こんな時間まで付き合わせやがって。ふざけんなよな」
 私が、この学校の男子でもっとも聞きなれた声がした。
『う、うそ? 別府……まだ、いたんだ』
 ちょうど昇降口に差し掛かったところで、私はとっさに物陰に隠れた。なぜ隠れたのか
は、自分でも分からないけど、反射的にそうしてしまったのだ。
『いーじゃんいーじゃん。どうせ帰ったってゲームするか漫画読むかしかないんでしょ?
だったら、私に勉強教えたほうが、よほど社会貢献になるじゃない』
 気さくな感じで別府に答える声は、どうやら女子のようだ。私の胸に不安の影がかかる
のを感じたが、私はすぐに自分に言い聞かせる。別府はクラスでも女子と普通に話すほう
だし、女子と一緒だからといって、すぐに決め付けはよくないと。
「なにが社会貢献だ。つか、お前もテストの前日になって俺に頼るのそろそろやめろよ。
普段部活ばかりでちっとも勉強しないでよ」
『だってタカシ、要領いいから教え方も上手いんだもん。ノートもキレイだし。女子かお前は』
00783/82017/02/05(日) 23:05:56.920
「その方が楽なだけだっつーの。夜も決まった時間に勉強するクセつけとけば、ストレス
もたまんないし」
『その精神力がすごいわ。私なんて時間決めても、あと10分したらって思ってるうちに寝てるし』
 聞こえてくる会話からは、まるで恋人同士のような親しげな雰囲気。そして聞いたこと
のない声。私の不安を和らげる要素が一つとしてなく、どうしても気になった私は、我慢
しきれずに、ちょっとだけと顔を出す。そして、その相手の姿を見た瞬間、衝撃が走った。
――――!!!!
 別府タカシとしゃべっている相手の女子を、私は見たことがなかった。制服のリボンの
色から同学年だと分かるから、他のクラスの子だろう。問題はその子が――私の呼吸が止
まるくらいの、美人だということだ。
「なんなら、俺がたたき起こしてやろうか。無理矢理引きずって机に座らせてやる」
『うわ。女子の部屋に勝手に入る気? この不法侵入者。のぞき魔。チカン。変態』
「今許可取ってるだろうが。つか、やめた。想像したらめんどくさくなった」
 美人なだけじゃない。スタイルも細身なのに出るところはちゃんと出てるのが制服から
でも分かる。そして、そんな女子が親しげに会話しながら時折肘で小突いたり、肩に手を
置いたりしているのだ。
『ハァ…… なんだ。ちゃんといるんじゃん…… あんな、キレイな子がさ……』
 さっきまで、自分がはかなくも抱いていた期待がものすごく空しくなった。でも、クラ
スの女子は友香ちゃんだけじゃなくて、他の子も別府はフリーだって言ってたのに。もし
かしたら、隠しててみんな知らないのかもしれない。
『あ、そうそう。タカシさ。私今日、傘持ってないから家までよろしく』
 彼女のその言葉が、すでにショックを負っていた私の心に、槍のように突き刺さった。
「お前、ありえないだろ? 朝から曇ってて、午後から80%の雨予報になっててなんで傘
持ってないんだよ」
『いやー。だってさ。この間の日曜日に折りたたみ使って干したの忘れててさ。てっきり
リュックの中に入ってると思ってたのに』
「いや。普通大きいの持ってくるだろ。この土砂降りに折りたたみじゃ、スカート濡れるぞ」
『家出て三歩歩いてから気付いたけど、取りに戻るのがめんどくさかった』
00794/82017/02/05(日) 23:06:46.330
「どんだけめんどくさがりやなんだよ。だったら俺の傘に入るのも面倒だろ。濡れて帰れ」
『またそんな冷たいこというけど、優しいんだよね。タカシは』
「やめろバカ。くっつくな。甘えるな」
 私はその場にズルズルとくずおれた。自分の中で、あの相合傘はちょっと特別なものに
なっていたのに、別府タカシにとっては普段、恋人と普通にやるものだったのだ。
『バカだな。私は……』
 二人の声が聞こえなくなっても、しばらく私はそこを動けずにいたのだった。


 それから数日間。私は全く別府タカシと話さなかった。というか、話さずにすんだ、と
いうべきか。帰りも友香ちゃんとか他のクラスの子と同じだったり、グループで話すとき
は別府との直接の会話は避けたし、LINEでもみんなに対するような当たり前の返事しかし
なかったからだ。
「お?」
 しかし、そんな運のいい状態も終わってしまったようだった。
『げ……』
 別府に聞こえないよう小さく、私は呪いの声を上げる。まだ一週間もたってないのに、
気持ちの整理なんてつくわけないのに。
「椎水。今日は一人なのか?」
 気さくに声なんてかけてくるのがすごくイラッと来た。こっちはすごく心を痛めたのに、
脳天気に話しかけてくるなんて、無神経にもほどがある。
『そうよ。じゃね』
 一方的に会話を打ち切って、靴を履く。上履きを靴箱に放り込むと乱暴にドアを閉め、
さっさと早足で歩き出した。
「お、おい。ちょっと待てよ」
 あわてたように止める別府の声なんて聞こえなかったことにして、私はより足を速める。
なのにあっさりと別府は私の横に並んでしまった。
「どうしたんだよ。なんか機嫌悪いな」
 こっちが頑張って早足で歩いても、悠々とついて来られることに余計に苛立ちが募る。
歩幅も足の筋肉も何もかも向こうが優位なのだ。
『別に。いつもこんなもんでしょ? 特に別府といる時は』
 無視してればいいのに、ついつい答えてしまう自分までが忌まわしい。
00805/82017/02/05(日) 23:07:37.650
「口調はそうだけどさ。今日は……っていうか、ここ最近。なんか拒絶されてる雰囲気だから」
 無神経かと思ってたけど、どうやら一応空気は読めていたようだ。でもなら、何で逆に
話しかけてくるのかと、それもまたイライラする。
『分かってるなら、話しかけてこないで。隣に並ばないで。最低五メートルは離れて。前
でも後ろでもいいから』
「訳は、なんだよ?」
 帰宅する生徒達の間をぬうように足を進める私に、ちょっと急ぎ足程度で並んで歩きつ
つ、別府が聞いてくる。しかし私はそれを無視した。
「なんか俺、椎水の機嫌を損ねるようなことしたか? いや。したんだろうから怒ってる
んだろうけどさ。理由言ってくれないと、謝るにも謝れないんだけど」
『別に、怒ってないし』
 別府に悪いことなんてなにもない。傘に入れてくれて、友達を作るきっかけも用意して
くれて、むしろ感謝することしかないはずだ。悪いのは私だ。勝手な妄想で期待してた自
分に腹を立てているだけでしかない。
「いや。怒ってるだろ。明らかに先週と態度違うし。言ったところで許す気にもなれないっ
てくらいひどいことしたのか、俺?」
 これ以上黙ってると誤解が広がりそうなので、私は仕方なく答えざるを得なかった。
『なにもひどいことなんてしてないわよ。強いて言えば、わたしに話しかけたってことく
らいかしら』
「俺に対して怒ってもないし、俺もなんにもしてないっていうのか? じゃあなんで拒絶
するんだよ。せめてその理由が分かんないと納得も出来ないし」
 歩きながら私はため息をつく。そりゃ確かに、急に冷たい態度になれば別府が疑問に思
うのは無理もない。だけど、まさか内緒で彼女がいたからってそれを責めるわけにもいかないし。
『じゃあ逆に聞くけど、理由がなきゃ別府としゃべるの拒否しちゃいけないの?』
 この問いは功を奏したようで、別府からは少し答えが返ってこなかった。とはいえ諦め
るつもりはないようで、私の横に並ぶのをやめようとはしなかったが。
「最初から話す気もないってならそれでもいいけどさ。この間まで普通にしゃべってたの
に今週になったらいきなり拒否するって、やっぱりなんか理由があるとしか思えないんだけど」
『しつこいわね。アンタも』
00816/82017/02/05(日) 23:08:09.730
 いったん立ち止まると、別府を睨みつける。とにかく今はもう、どんな嫌な思いをさせ
ても別府に諦めてもらうしかない。仮に嫌われたっていい。どうせもう、好きにはなって
もらえないんだから。
「椎水が一言でいいから、こういうところがイヤだって言ってくれれば、後はもうつきま
とったりしないって。ストーカーみたいに思われるのは心外だからな。なんなら携帯のア
ドレスも消すか?」
 その一言は結構胸にズン、ときた。交換してまだそんなにも経ってないアドレスを消す
までは私は考えてなかった。けど、もういっそその方がいいのかもしれない。未練がまし
く残してるよりは、あとくされがないだろう。
『別に好きにすれば。わたしからいちいちどうこうとか言わないから』
 別府から顔を背け、早足で歩き出す。しかしすぐに別府は追いついてきて、体をやや、
私の前に回りこむように乗り出してくる。
「その前に一言言ってくれって。それが条件だったろ?」
 私はもう一つため息をつく。なにも別府が悪いわけじゃないのになじるのは気が進まな
かったが、こうなった以上は何か言わないと別府も引き下がれないだろう。私はちょっと
考えてから、適当な一言を思いつく。足を止め、別府を見上げた。
『……無神経』
「は?」
 ちゃんと言ったつもりだったのだが、別府は聞き取れなかったのか、やや唖然とした顔
で首を傾げた。こっちはその一言だって結構つらい思いで言ってるのにその態度にカチン
と来て、私は苛立ちをそのまま言葉にしてぶつける。
『だからっ!! 無神経だって言ってんのよ!! そういう人の気持ちも分からずにずけ
ずけと聞いてくるところとかが!! 大体、こうやって私に話しかけてくること自体もそ
うよ。彼女がいるくせに親しげにしてきて!! そういうのほんっと迷惑だから!!』
 感情が昂ぶるのにまかせて、私は自分が触れたくないことにまで触れてしまった。これ
じゃあ嫉妬に狂った醜い女にしか思われないかもしれない。それに気付くと私はもう、こ
の場にいたくなかった。
『だからもう、話しかけてくるのとかやめてよね!! じゃっ!!』
 くるりと身を翻したところで、足を出すよりを早くいきなり腕をつかまれた。驚いて私
は身をよじる。
00827/82017/02/05(日) 23:08:33.590
『ちょ、ちょっと!? なにすんのよ!! 離して!! 痛いから!!』
「ちょっと待てよ。よくわかんないけど、なんかお前、絶対誤解してるから。彼女とか、
意味わかんないし」
 私は抵抗をやめて別府の顔を見つめる。困惑してるようなその表情を見て、一瞬焦りに
似た感覚がかすめる。しかしすぐに思い直した。私はちゃんと見たんだ。それに、クラス
の友達とかも知らなかったんだから、付き合ってるの秘密にしててこの場でもしらばっく
れてる可能性は十分にある。
『いいわよ。別にごまかさなくたって。私、誰かに言いふらす気とかないし。けど、こう
やって二人きりで帰るとかしてると、いらないトラブルに巻き込まれかねないからイヤな
の。わかんないの?』
 こうやってる今だって、誰かが見てて別府と椎水が痴話げんかしてるとか噂立てられる
かもしれない。それで別府の彼女とかに誤解されるのは冗談じゃなかった。そういう事に
気付いていない別府はやっぱり無神経だ。
「いや。わかるもわかんないもないし。そもそも別にごまかしてなんか――」
『だからそういうのいいから!! 彼女さんとの約束かもしれないけど、それを守るより
も気を遣うことがあるでしょうが。大体私はちゃんと見たんだから。別府が目鼻立ちのくっ
きりした美人とすごく親しげにしてるのを。あれで彼女じゃないとかありえないし』
 話せば話すほど、嫌な記憶を掘り起こさざるを得なくなってくる。一言で納得してくれ
るって言ったのに、別府ってばヒドいウソつきだ。
「美人? いや、そんなのと話した記憶なんて……」
『だからいいっての!! 知らないそぶりはしなくて。同じ学年の子でさ。長い髪をポニ
テに結わえてて、体つきも細くてスタイル良さそうで…… ああもう!! 言ってるこっ
ちがみじめになるから言わせないでよ!!』
 別府は私をつかんでいた手を離すと、わざとらしく腕を組んで考え込むそぶりをした。
どこまでも身に覚えのない態度を貫くらしい。それならそれで、こっちから退路を断つだけだ。
『言っとくけど、姉とか妹とかなしだからね。私たち一年だし、その子も同学年の子だっ
たし、うちの学校の制服だったから。あと、入学式の時にもらった名簿見たけど、同じ学
年で別府って名字はあんたしかいなかったから』
00838/82017/02/05(日) 23:11:52.520
 自分でもストーカー気質かと思ったけど、姉でした妹でしたオチは鉄板過ぎるのでちゃ
んと調べたのだ。しかし、逆に別府はその言葉で思いついたものがあったらしい。
「あ、そっか。いや、アイツは――」
 また何かごまかそうとしているのか。そう思って私は、とうとう言いたくなかった記憶
を口に出してしまう。
『あのね。なにを隠そうとしてるのか知らないけどね。放課後に勉強を教えあって、雨予
報の日に傘を持ってきてない彼女に呆れつつも肩を寄せ合って相合傘で帰るとか、付き合っ
てる以外にありえないでしょ。い、言っとくけどね。別にのぞき見してたとかじゃないか
ら。たまたま昇降口での会話が聞こえてきただけだからね!!』
 気持ちが昂ぶって涙が出そうになるのを懸命にこらえる。別府の前で、こんなことで泣
いてしまったら、みっともなさすぎる。泣くのは、自分の部屋に戻ってからだ。
「あのな。椎水。なんとなく話が見えてきたけど、それは――」
『わっ!!』
 言い訳をしようとする別府の言葉は、私がそれに反応するよりも早く、別の誰かによっ
てかき消された。


続きはまた来週投下します
一応前スレの543-548、558-563の続きっぽい感じ
0084ほんわか名無しさん2017/02/10(金) 03:25:15.360
嫉妬するツンデレってなんでこんな可愛いんだよきゅんきゅんするわ続きはよ
GJ
00861/62017/02/12(日) 23:25:21.700
・ツンデレの勘違い〜その2〜

「どわっ!?」
 いきなり背後から目隠しされた別府が驚いて奇声を上げる。私もびっくりして体が凍り
ついた。まるで何もない空間からいきなり手だけが出て別府の目を塞いだように見えたか
らだ。しかしそんな幻は一瞬だけだった。
『あははははっ!! びっくりした? びっくりした?』
 楽しげな弾んだ声が、別府の向こうから聞こえる。パッと体をひねって、別府が視界を
塞いだ手から逃れる。すると、紛れもなくうちの学校の制服を着た女子が現れた。
「やっぱり透子かよ。お前なっ!! いい年してそういういたずらはもうやめろっつてん
だろが!! いつもいつも、心臓が止まるようなタイミングで仕掛けてきやがって」
『そーいうタイミングでやるから面白いんじゃない。大体、なんかお取り込み中みたいだっ
たからさ。普通に声かけても、気付いてくれなさそうだったし』
「そう思うなら、気を利かせて邪魔しないようにするのが普通じゃね? ホントお前って、
いつもいつも空気読まずにほいほい顔出してきやがって。迷惑にも程があるってんだよ」
 割り込んできたこの女子が誰だか、最初の驚きから立ち直るとすぐに気が付いた。この
間昇降口で見かけた、当の別府の彼女だ。いや。まだ彼女と決まったわけじゃないけど、
私の中ではほぼ間違いない。なぜなら今だって、私の入り込めない空気感を作っているのだから。
『そうは行かないわよ。タカシが修羅場ってるところに出くわすなんて、こんな楽しい事
はないもの。しかも、噂の彼女とでしょ? これは首を突っ込まないわけには行かないわよ』
 憮然とする別府に対して、彼女はあくまで楽しそうだ。どうやら私と別府が二人きりで
いること自体は不快に思ったりはしないらしい。
「そもそも、全部お前のせいだ。だから去ね。去れ。消えろ。もうこれ以上話をややこし
くされんのはゴメンだ」
 手振りで別府は彼女に対してシッシッと追い払う仕草をする。それに彼女は不満気に口
を尖らせた。
『まーた人をお邪魔虫扱いして。そりゃ、二人っきりでいたいのは分かるけどさ。せっか
く彼女さんと二人でいるのに行き会って、挨拶もなくスルーなんて出来る訳ないじゃない』
00872/62017/02/12(日) 23:26:02.050
 彼女がにこやかにこっちを見たので、私は背筋を伸ばして身を固くした。挨拶って一体
なんだろう。身の程知らずに別府に付きまとっている女ということで、文句の一言も言わ
れるのだろうか。そんな仕打ちを受ける前に、こっちから誤解を解かねば。
『あっ……あのっ!! はっ……はじめまして。その……べ、別府……ううん!! 別府……
くんっ……と、同じクラスの、椎水かなみですっ!! ご、ごめんなさい!! 私、その……
全然そんな気じゃなくって…… く、クラスメイトだからってだけで、ちょっとしゃべら
せてもらっただけっていうか…… と、とにかく、違いますから!!』
 言いたいことが全然口に出てこなくて、まとまりのない言葉を羅列して、とにかく誤解
だけは解こうと必死でしゃべって、私は体を90度以上折り曲げてお辞儀をした。出来るな
らこのままダッシュで逃げ去りたいけど、それは卑怯な気がして出来なかった。
『……どしたの? 彼女』
 キョトンとしたようなその声に違和感を覚える。ひょっとしてもしかして私ってば、そ
もそもそういう相手として見てすら貰えていないとかなのだろうか。いや。その可能性は
十分にある。だってそもそも彼女とじゃ、女子としてのスペックが違いすぎるし。
「だからお前のせいだっつーの。全部。いつも言ってただろうが。ところ構わずひっつい
て来るなって。そのせいで俺が無用な被害をこうむるんだからな」
『あたしのせい? 何で?』
「あとは自分で考えてみろ。そのアホな脳みそが働くならな」
 二人の会話を聞いても、どうもなんか、私の考えと違う方向に話が進んでいるような気
がしてならない。妙な胸騒ぎを覚えつつ体を起こした時、彼女がポン、と手を叩いて合わせた。
『おおっ!! なるほど。そっか。確かに知らなきゃ、そうも思うか』
「そんなもん、普通ならこうなる前から気付くだろうが。ましてや高校になって環境も変
わったんだしさ」
 呆れた様子の別府に、彼女はあらためてにんまりとした顔を見せる。
『じゃあ、さ。これはますます自己紹介させてもらわないとね』
 くるりん、と踊るように身を翻して、彼女は私の方に向き直った。その動きの優雅さに
は、女の私も思わず息を呑んでしまう。
00883/62017/02/12(日) 23:27:00.890
『初めまして。私、中居透子っていうの。1年H組でチア部やってます。よろしく』
 指でピースサインを作って敬礼みたいに額の横にかざし、キメ顔みたいにキリッとした
表情を彼女は作った。
『あっ……えっと……椎水かなみです。別府と同じB組で……とくに部活とかはやってま
せん。よ……よろしくお願いします』
 軽くおじぎをすると、中居さんは手を振ってそれをしりぞける。
『いいっていいって。タメなんだし、敬語なんてかたっくるしいのなしで。あたしのこと
も、透子って呼んで。その代わり、あたしもかなみって呼んでいいかな?』
『まあ、どうぞ。お好きに……』
 なんかものすごく調子が狂う。私って、中居さんの彼氏につきまとう邪魔な女じゃなかっ
たっけ? ものすごくフレンドリーだし、そこにはよくある悪意を持つ人が出すような嫌
な馴れ馴れしさは感じられない。嫉妬とかそういう感情なのとは無縁な人なのだろうか?
『お? 許可が出た。なら、かなみ。いつもいとこのタカシがお世話になってるみたいで、
ありがとね。こいつってば奥手だからさ。仲良くしてくれる女子がいると、あたしとして
も嬉しいかな、なんて』
 屈託のない笑顔でお礼を言われて、私はなんかちょっと居心地の悪さを感じつつ頭を下げる。
『あ、いえ。どうも……ってかお礼を言われるようなことはしてないし……』
 謙遜しつつ、私はさっきの言葉に首をひねる。なにか他にもっと重要な、無視しちゃい
けないキーワードがあったような気がして、もう一度透子の言葉を頭の中で反芻する。と、
ある言葉に、私の脳みそがガン!!というような衝撃を受けた。
『って、いとこ!?』
『そ。びっくりした?』
 ちょっといたずらっぽく笑う透子と仏頂面のまま横を向いている別府を、私は交互に見比べた。
「そういうことだよ。つか透子。もっとちゃんと言えよな。さりげなく会話の中に織り交
ぜてたら気付きにくいだろが」
 不満気に横から口を挟む別府に、透子はケロッとした顔で小首をかしげる。
『そぅお? かなみんが反応鈍いだけだと思うけどな』
 ごく自然に私に責任転嫁された。しかもかなみんって、呼ばれたことないし。もっとも
そういうツッコミよりも、今の私には優先順位があった。
00894/62017/02/12(日) 23:27:45.740
『えっと、いとこってことはつまり親戚同士ってことで……えっと……えっと……』
『んっと、そういうことで言うなら、あたしのお母さんとタカシのお母さんが姉妹なの。
分かるよね?』
 透子がフォローを入れてくれて、少し頭が整理できた。とはいえ、今の私は超恥ずかし
い勘違いを二人に対してやらかしてしまったんじゃないかという焦りでいっぱいいっぱい
ではあったのだが。
『ていうことは……親が1親等で、おじいちゃんおばあちゃんが2、で、その子供、つまり
親の兄弟姉妹が3、さらにその子供ってことは4親等ってことで……』
「いちいち指折って数えることなのかよ。それ……」
『うるさいな!! 今ちょっと頭回んないんだから静かにしてよね!!』
 呆れて口を挟む別府にかみついて、私は思考を巡らせ始める。すぐ横で透子が耐えかね
たように笑い出していたが、そこを気にする余裕すらなかった。
『で、確かえーっと、法律だと結婚が禁止されてるのは3親等までだから、4ってことは……』
 私の頭の中で、パチッと何かがスパークした。
『つまり、結婚できるってことじゃん!! てことは、付き合うことも出来るってことだよね!?』
「大声出すなよ。恥ずかしいな。まわりがみんな見るだろが」
 こめかみに手を当ててため息をつく別府に、私は苛立ちを覚える。
『うるっさいわね!! だってこれ、重要なことだもん。もしこれで、実は双子の姉弟だ
とか、父親が実はおんなじで血が繋がってる設定だったりしたら、私、一人で勝手に踊っ
てたことになるじゃない!!』
 ガーッてがなり立てると、別府はうるさそうに指で耳の穴にふたをする。
「いや。うるさいのは椎水の方だから。つか、結果ほとんど変わらないし……」
『誰がやかましいっていうのよ。超失礼でしょそれ? つか、今最後なんて言ったの!?』
 別府の声はちゃんと耳に届いていたけど、脳がそれを具体的に考えることを拒んでいた。
変わらないって、一体どういうことなのよって。
『まーまーまー。タカシはちょっと引っ込んでて。こっから先はあたしが説明するから』
 私と別府の前に、スッと透子が割り込んできた。そうなると私もさすがに、別府に突き
つけた矛を収めないわけには行かなくなる。
『あの。説明するって……どういうこと……?』
00905/62017/02/12(日) 23:28:32.000
 何となく嫌な予感しかしないが、それでも聞かずにはいられなかった。すると、透子は
ふっふーん、とややドヤ顔っぽい顔になる。
『つまりさ。かなみんは、あたしとタカシが付き合ってるって思ってるんでしょ? いと
こ同士だけど恋人同士みたいな』
 逆質問されて私は戸惑う。なんかどんどん、予感が的中しそうな方向に流れている気が
してならないが、答えないわけには行かなかった。
『え? だって、その……そうじゃないの? だってあんなに仲良しで……馴れ合ってる
感じだったし、相合傘して帰ってたし……』
 私のそれとは違い、透子は最初っから別府に頼った感じに見えていた。だから断定して
そうだと思っていたのだけけれど、今になって心の不安が大きくなる。だから口調も、つ
い、言い訳めいたものになった。
『うんうん。分かるよ。確かに私とタカシは超仲良いし、あたしはタカシのこと超好きだし』
 透子が別府の方に流し目っぽく視線を送ると、別府はそっぽを向きつつもいささか照れ
くさそうに頭をかく。それに何とか自分の考えを肯定する言葉を見つけたかったが、私は
何も言葉が出ず、ただ透子の次の言葉を固唾を呑んで待っていた。
『でも、ざんねーん!! かなみんの超絶な勘違いでしたー!!』
『なんでよっ!! 超絶なってなによーっ!!』
 やっぱりこの展開だった。透子が現れた最初から感じてた違和感は、徐々に不安となっ
て広がっていたが、いざこうやって当人から言われると、めちゃくちゃに恥ずかしい。し
かも透子は超楽しそうだし。それがすっごく頭にきて、私は文句を言わずにはいられなかった。
『だって、今超仲良しだって言ったじゃない!! それが何で超絶な勘違いなんて言われ
なきゃなんないのよ!! おかしいでしょ』
『いやまあ。いとこ同士なんだけどさ。あたしのお母さんとタカシのお母さんって双子で
さ。一卵性の。で、子供の時からずーっと一緒で超仲がよくて、今も隣同士で住んでんだ
よね。だから、いとこって言っても兄妹みたいな感じなの。遺伝子半分は一緒だし』
『そんな事情知るかっ!!』
00916/62017/02/12(日) 23:29:26.080
 他人からはうかがい知れない事情を明かされて、私は思わずツッコミを入れる。そんな
事情なら確かに、付き合ってなくたって仲が良いっていうのは分かるけど、知らなきゃ誰
だって勘違いするに決まってる。
『まあ、だからね。男子って言ってもタカシは別なの。こんなこと、ごく自然だし』
 透子はおもむろに別府の手を引っつかんで引き寄せると、半ば強引に抱き寄せる。
「おまっ!? いきなり何すんだよ!!」
 さすがに人前では恥ずかしいのか、別府は抵抗して体を引きはがす。
「お前な。いつも言ってるけど場所柄をわきまえろよ。だから余計な勘違いばかりされる
んだろうが」
『いやー。かなみんには言葉で説明するより、この方が分かりやすいかなって。私たちの関係』
「椎水に見せるだけならともかく、ここ通学路だぞ。いくら下校時間から大分ズレてるっ
つったって、まだ通る奴結構いるのに」
『知らない人だったら別にほっとけばいいし。知り合いなら事情知ってる子がほとんどだ
し。普通なら噂の種にするだろうから、すぐ誤解なんて解けるし。まあ、かなみんは別として』
『ちょっと!! その、別ってなによ。人を変人みたいに言わないでくれる』
 てっきり私の人付き合い苦手な性格をからかわれたのかと思って文句をつけると、透子
はちょっと申し訳なさそうに笑って、手振りでそれを否定する。
『ゴメン。そういう意味じゃなくてさ。好きな人に彼女がいるのかどうかって、誰かに確
かめるのは怖いだろうからって思って』
『むぅ…… そういう意味なら――って、はいいいいいっ!?』
 あまりに自然に言われたから思わず流しそうになって、途中で言われた意味に気付いて
私は驚きのあまり奇声を発してしまった。
『お? いいね。そのノリツッコミ。かなみんって、そういうのも出来るんだ』
 妙なことで感心する透子に、私は勢い込んで詰め寄る。
『そんなことはどーでもいい!! それより何よ!! すっ……すすすすす……きな人っ
て!! だらっ……だるがっ……誰が、その……誰を好きだってってって!!』
 動揺して噛み噛みの言葉で問うも、透子はしれっとした様子で小首をかしげた。


また来週に続く
0092ほんわか名無しさん2017/02/13(月) 01:30:44.970
急にアホの子になっててかわいいwww
また楽しみにしてるGJ
0095ほんわか名無しさん2017/02/14(火) 18:58:39.640
今日はふんどしの日
0096ほんわか名無しさん2017/02/14(火) 23:24:44.640
バレンタインだしリアルではゼロだったからむしゃくしゃして久しぶりに書こうかと思ったけど
考えを文字にする難しさを再認識、全盛期はポンポン書けたのになぁ・・・

昔、自分が垂れ流した保管庫の長編とか見るとよく書いたなって思ってしまう
0097ほんわか名無しさん2017/02/15(水) 23:23:06.290
妄想を語るのに、別にSSにする必要はないのよって思う


お題
つ・バレンタインデーにインフルエンザに罹ってしまったツンデレ
00981/62017/02/18(土) 00:38:52.310
2月13日 夜

『つ、ついに作ってしまった…ほ、本命手作りチョコ』
『ついでにお父さんのも作ったから、間違えないように名前を書いた紙を置いて…これでよし』
『これを見れば、私が悪口言っちゃうのも照れ隠しだってわかるはず』
『後はちゃんと渡せる…うぅん、弱気になっちゃだめ!手渡しが無理でも
 靴箱にいれるとか色々やり方はあるもん!頑張らなきゃ…うん!』

2月14日 朝

『(あれ…?何か変…フラフラするし、妙に暑いし…なんだろう)』
『お母さん、おはよう…げほっげほっ』
『ちょ、ちょっと顔真っ赤じゃない!?熱でもあるんじゃないの?』
『えー…?大丈夫だよ。今日はどうしても学校行かなきゃだし』
『ちょっと熱測ってみて』
『うん…』
ピピピピ
『ちょっ39度!?びょ、病院行かないと!ちょっとお父さん!車出して!!』
『え?え…?えぇ!?』

−−−
−−
00992/62017/02/18(土) 00:39:21.230
2月17日 昼過ぎ

『(はぁ…インフルエンザ、やっと治まった。学校は月曜日から行っていいって言われたけど)』
『(バレンタイン終わっちゃった…)』
『(気持ちを伝えられないまま春休みになって…クラス替えで別々になったらどうしよう)』
『(なんで大事な時にインフルエンザなんて…もうダメなのかな…?)』
コンコン
『はーい』
ガチャ
『具合どう?お友達が会いに来てるけど…?』
『うん、大丈夫だよ』
『そう?じゃ、上がってもらうわね』
『うん(お友達…?友ちゃんかな?)』

「やっ!委員長、具合どう?」
『へ…?べべべべ別府君!?』
「そんなに驚かなくてもいいじゃん。休みの間のプリントとか持ってきたよ」
『何でよりによって別府君が来るんですか!?』
「いやまぁ…心配だったから?」
『なっ……そ、そんな心配なんていらないです』
「はいはい、元気そうで一安心だよ。プリント、机の上に置いておくね」
『用が済んだらさっさと帰ってください』
「ん?何これ?」
『別府君には関係ないものです。それにもう使えないものですし』
「あ、バレンタインチョコか。14日から休みだったもんね」
01003/62017/02/18(土) 00:40:10.280
『(はぁ…捨てる前に渡すはずの本人に見られるなんて、本当に最悪…)』
「で、これは俺が貰っていいの?」
『ふぇ…?なななな、なんで別府君にあげないといけないんですか!?』
「だって…俺の名前書いてる紙おいてあるけど?」
『う…そ…あっ…あぁ!?』
『(ずっと寝てたから、すっかり忘れてた!!!)』
「しかも、別府くん(はーと)って…これはもしかして本命って奴だったり?」
『ち、違います!それは何かの手違いっていうか…そ、そう!きっと作ってる時からぼーっとして』
「ぼーっとすると俺のために本命チョコつくっちゃうの?」
『そ、その…と、とにかく!別府君のためでも、ましてや本命でもないですからね!』
「えー、そうなの?せっかく委員長の手作りチョコ食べれると思ったのに」
『…だいたい、インフルエンザにかかった人が作ったものですよ?そんなもの−』
「食べたいけど?」
『え?う、移ったらどうするんですか!』
「大丈夫だよ、もう治ったんだろ?」
『それは治る前に作ったものですよ?』
「関係ないって」
『私が嫌なんです!もし移って、私のせいにされても嫌ですし。何より周りに迷惑が掛かります』
「自己責任だって、ね?使わないならいいでしょ?」
『ダメです』
「手作りなんでしょ?出来とか気にならないの?」
『そ、それはちょっと気になりますけど…』
「俺にくれるために作ったんだから、俺がどうしようと勝手でしょ?」
『確かに…そうですけど』
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