恥ずかしいとか思う前に、とっさに口が動いた。別府はちょっとためらって、そして頷
く代わりに顔を正反対に背ける。
「いや、まあその……そういうこと……つーか、可愛いなって……」
 その答えを聞いた途端、あたしは自分の質問を後悔した。全身が熱でのぼせ上がり、体
が硬直して言葉が出なかった。
――うわうわうわ…… 可愛いって言われた!! 別府に……別府に!!
 興奮と緊張でガチガチになっていたあたしは、いつの間にか電車が走り出したことにも
しばらく気付かなかった。


続く