行政実務からいえば、
ここで議論となっている短期の職歴については、
申告しなくても詐称とはならない。
詐称で問題となるのは、
1つは資格免許に関して虚偽の内容を申告した場合であり
この場合には欠格事由に該当する恐れもある。
欠格事由に該当した場合には懲戒免職の手続きすら不要で、
公務員としての地位を当然に失う。
その場合にも、既に受けた俸給については労働の対価という性質上、
返還しなくてもよいとするのは判例・実務である。
2つ目に詐称で問題となるのが、
勤務していない職務経歴を申告することである。
資格免許基準を得た後の期間については、
初任給や昇級において経歴が加算される。
国の場合、原則としては仕事をしていた期間については、
職務と関連性を有すれば100%、
関連性が薄ければ80%が加算される。
無職の期間についても経歴加算されるが、
その場合には25%のみ加算される。
勤務していないのに職歴を偽れば、
経歴加算25%が80%以上になり不当に利益を得てしまう。
逆の場合は、本人が損をするだけである。
経歴調整は本人の利益を目的として実施されるものであり、
本人がその利益を放棄するのは公務員就任に際し大きな問題とはならない。

ただ、職歴を偽る際の偽り方によっては、
採用試験において虚偽の事実を述べたと扱われ、
内定の取消事由にされることはありうる。