https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190114-00000052-sph-soci
(全文はリンク先参照のこと)

昭和の大名人が本格的に囲碁を始めたのは、2009年の現役引退後。
「奨励会時代の中学2年くらいの時にルールは覚えていたんですけど、さすがになかなか…。
大山先生(康晴十五世名人)、升田先生(幸三実力制第四代名人)も囲碁を打っていたので自分も、
とは思っていたのですが…50歳くらいの時は2級か3級でした」

ところが、挑み始めると、やはり同じ勝負の世界。のめり込んだ。
「今は月3、4回は碁会所で打ちますし、月1回の将棋連盟囲碁部の集まりも参加します。
毎週のNHK杯は録画して3回くらい見直します」。着実に力をつけ、六段に達した。

現役時代、奇をてらわずに自然な指し手を続けて勝利をさらう棋風が「自然流」と称されたが、囲碁の棋風は―。
「なかなか自然流とはいきません(笑い)。
やはり将棋と囲碁では思考の種類が違って、
私などついつい将棋的な考え方ですぐ決着をつけてしまおうと考えてしまうのですが、
囲碁には放っておこう、という思考もあって、なかなか難しい」。
囲碁と言えば、白黒の石だが…。「囲碁は『白黒ハッキリさせよう』とは少し違うんです。
私はハッキリさせたくなっちゃいますけど。でも、思考が違うからこそ趣味として続けられるのかもしれません」

将棋にはない魅力もある。「単純に盤が広い(19マス×19マス、将棋は9×9)ですから。
あまりに茫漠(ぼうばく)として、三段くらいまではどこに打っていいか分からなかったです。
今は打ちたいところがいっぱいあって面白いです」

囲碁との二刀流は、将棋に好影響を与えると読む。
「将棋の棋士も囲碁は打った方がいいと思います。
私も現役の時、もうちょっと早く打ってたら良かったなあと思いますよ。
藤沢秀行さん(囲碁名誉棋聖。将棋でもアマ五段の実力者だった)みたいに
60代でもタイトルを取っていたかもしれませんねえ」。
ジョークか否か判断しかねる言葉を発し、十六世名人は再び笑った。