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【烈怒】怒首領蜂大復活ブラックレーベル【敵堅】
0046名無しさん@弾いっぱい垢版2010/01/27(水) 21:35:25ID:2xKWFgbz0
  土はぬかるみ、氷で覆われた大地から有象無象が目覚める。
  幻想郷を覆った僅かな雪は、この冬目覚めた地霊達を封じ込め、
 さらに妖精達の動きを鈍らせるのに十分だった。その穏やかな眠り
 の季節も終わりを告げようとしている。

  博麗神社。人里離れた辺境の地に建つ神社である。
  博麗神社の巫女、博麗霊夢は森に住む魔法使いから不思議な噂を
 耳にした。
  その噂とは、雲の切れ目に不思議な船が空を飛んでいるのが目撃
 されている、と言うことだった。その船は何かを探すかのように雲
 の間を回遊しているらしい。
0047名無しさん@弾いっぱい垢版2010/01/27(水) 21:36:08ID:2xKWFgbz0
  魔理沙「……その船は七福神を乗せた宝船で、
      捕まえたら一生不自由しないって噂だぜ。
      だから欲深き者から逃げ回っているんだとさ」

  霊夢 「そんな馬鹿みたいな噂を信じているの?」

 森に住む魔法使い、霧雨魔理沙は眉をひそめた。

  魔理沙「信じている訳無いだろ?
      そんな船が空を飛んでいるのなら神社からでもすぐに見
      つかる筈だしな」

  霊夢 「宝船ねぇ」
0048名無しさん@弾いっぱい垢版2010/01/27(水) 21:37:30ID:2xKWFgbz0
  魔理沙「去年は夏の異常気象で不作だったからな。
      不安になるとそういう噂が流れるってもんだ。
      神頼み、つーか他人任せというか」

  霊夢 「宝船ねぇ。
      世界中の珍品、金銀財宝を積んでいるという」

  魔理沙「そうだ。
      七福神が乗っているという宝船だ」

  霊夢 「宝船ねぇ」

  魔理沙「うむ……」

0049名無しさん@弾いっぱい垢版2010/01/27(水) 21:38:12ID:2xKWFgbz0
  霊夢と魔理沙の会話はそこで途切れてしまった。
  火のない所に煙は立たない。
  宝船かどうか判らないけど、何かが空に浮かんでいるのを見かけ
 た人間がそう噂しているのかも知れない。
  お互い何か相手に悟られまいとしているようだ。静寂を破ったの
 は山から下りてきた来訪者であった。
0050名無しさん@弾いっぱい垢版2010/01/27(水) 21:39:10ID:2xKWFgbz0
  早苗 「あら、おかしいですわね。
      まだ貴方がここにいるなんて」

 最近、新しく山に来た人間、東風谷早苗である。

  霊夢 「珍しい顔ね。
      何か用?」

  早苗 「大した用では無いんですけど……。
      霊夢さんは空に浮かぶ船を見かけていませんか?
      私はてっきり、もう動き始めてるかと思ったのですが」

 霊夢と魔理沙は顔を見合わせた。

0051名無しさん@弾いっぱい垢版2010/01/27(水) 21:39:53ID:2xKWFgbz0
  霊夢 「空に浮かぶ船だって!?」

  早苗 「私はその船にちょっと用事がありまして、少しでも情報
      を集めようと……」

  霊夢 「え? ちょっ」
  魔理沙「空飛ぶ船の話って本当だったのか?」

  早苗 「え? 知らなかったんですか?
      ほら、あんなに目立っているというのに」

 早苗は何をいまさらといった表情で空を指さした。
0052名無しさん@弾いっぱい垢版2010/01/27(水) 21:40:38ID:2xKWFgbz0
 霊夢と魔理沙の二人はつられて上を向く。
 そこには、見たこともない大きな黒い影が雲の間に消えようとしていた。
 船の影で青空が薄まり、心なしか雲が紫色に見えた。


 ――中はがらんとしていた。
  ここにあった金銀財宝はとうに失われ、残された物は八百年分の黴び
 の臭いだけだった。
  春の冷たい風だけでは、黴びの臭いを吹き飛ばすのに十分ではない。
  しかし、あの御方の残した宝だけは例え破片になっても力を失ってい
 ないだろう。
  その破片を全て集めることが出来ればあるいは……。
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