岡部「一体どうしたのだ助手よ。」

紅莉栖「何でもない。というか私はあんたの助手じゃないって何度言えば。」

岡部「何でもないなら、何故そんな負のオーラを纏っている?」

紅莉栖「別にいいでしょ。あんたには関係ない。」

岡部「まあいい。おい、助手。俺は白子が食べたい。用意しろ。」

紅莉栖「はぁ? 急に何を言い出すのよ! 大体、白子なんて何処にあるのよ!」

岡部「ふっ、助手ならなんとかするものだろう。そんなことも出来んのか?」

紅莉栖「出来るか! あっ、でもそういえば白子に似ているものなら知ってるかも。」

岡部「何!? それはなんだ? 今すぐ用意しろ。」

紅莉栖「じゃあ、とりあえず電ノコとドリルが必要ね。」

岡部「は? そんなものを使って何をする気だ?」

紅莉栖「あんたの頭蓋骨開けるの。ほら脳みそと白子ってなんとなく見た目似てるじゃない。」

岡部「おい、笑顔で猟奇的な話をするな。はぁ、まぁ元気が出たようでよかった。」

紅莉栖「はぁ!? ななな、何を突然。そんな事言われても騙されないんだからな!」

岡部「お前は俺の助手なのだ。心配して当たり前だろう?」


「ふふっ。」
俺は画面の中に写るバカップルを眺めていた。その中に写る青年は若き日の自分だ。
「コーヒーは砂糖二つでよかったかしら?」
その時部屋に背の低い女性がコーヒーを持って入ってきた。彼女の協力がなければこうして電脳世界での一コマを覗くことはできなかったに違いない。
俺はカップを受け取り、彼女の持ってきたコーヒーを口に運ぶ。ブラック党だった俺がこうやって砂糖を入れるようになったのはいつからだったろう?
「またAmadeusを覗いてたの。趣味が悪いわね。」
「まあそう言うな。紅莉栖と一緒にいるのは俺の分身だ。自分を見て何が悪い。」
その言葉に彼女は呆れたように笑う。今は紅莉栖の名を名乗る彼女もまた、俺と同じように紅莉栖への思い入れがあるのだ。