潮流、波、潮風、海水温、そして魚の気配を頼りに、獲物の居場所を探る。
大海原に鎮座する己は、自然の中で異質であってはいけない。
餌を探す魚と同じ思考で、自らを自然に溶け込ませる。
異常を感じた獲物は、一刹那で去ってしまう。
海にこもり、一歩間違えれば命のない現場で、完全に気配の消し方を身に付けた猛者。
それが孤高の泳がせ師。
〜全力一撃で仕留める〜
獲物へすぐには合わせないのが、泳がせ漢の懐の広さ。
気配を完全に消し、とことん待つ。
十分に引きつけ、全体重を獲物のカンヌキ目がけ怒涛の鬼合わせ１０連発。
漢の竿は、稲妻が如く天まで昇り、怪物が潜む海へと突き刺さる。
根に入られたらそこで終わり。プライドは灯火と化し強く打ちのめされるであろう。
極太ハリスは瞬時に切られ、獲物は嘲笑いながら己の元を去り二度と戻って来ないであろう。
泳がせ師は、常にフルドラグで怪物に挑むのが鉄則。１ミリたりとも出すべからず。
真の泳がせ師は、どんな怪物であれ仁王立ちで怒涛の抵抗を直に受け入れ勝負する。
〜最終的に到達する聖域〜
どんな釣りの玄人であれ、最終的に到達する聖域、それが泳がせ釣りだ。
そんな聖域に飛び込みたい者は、この際聖域への敷居を取っ払い歓迎しよう。
日本に現存する稀少な孤高の泳がせ師は、基本的に優しく心が寛大だ。
時に厳しいが、それは漢の優しさの表れだ。
その暴君と化した先輩の胸を借り、様々な泳がせ釣り情報を手に入れ、真の泳がせ師へと近づいてくれたまえ。
幸運を祈る。
