■会計士の一人は一連の不正行為についてこう語った。
「海賊版テキストの利用は会計士業界では半ば慣行化している。
トーマツであれば1年目から年収600万円以上は間違いないので、お金がなくて仕方なく手を染めたというより
動機は単純にケチな根性だ。おそらく不正をしているという意識は希薄だろう。
今時の会計士は一般就職に抵抗がある方や、高収入狙いの方々が消去法的な観点で目指しているのが大半で、公
認会計士試験に合格すれば9割以上が大手監査法人の内定をもらえる。
会計士一般に求められているような高度な倫理観を持ち合わせている(あるいはそのような動機をもって志す)人の方が珍しく、
プロフェッショナリズムや職業的懐疑心のような志は空文化しているからこそ、ケチな犯罪がまかり通っているのだろう」

■また本件に付随して、海賊版テキストの取りまとめ役をしていたスタッフは、同僚に対してハラスメント行為を
行っており、それが原因で退職者が出ているとの情報もある。
スタッフの一部は上司へ相談をしていたようだが、「彼(取りまとめ役)は元々、ブラック企業のユニクロで
働いていたからしょうがないんじゃないか」と取り合わなかったという。
ブラック企業出身だから仕方ないという論理は浮世離れと言うほかないが、こうしたガバナンスの欠如が、
組織内での不正行為の蔓延を招いているのかもしれない。
なお、トーマツは当サイトの取材に対して、事実関係を確認中とし、取りまとめ役スタッフの在籍については
「個人に関する情報のため、回答できかねます」と述べた。
(文中敬称略)