レイが主張するように、財政支出を増大させてもクラウディングアウトが発生せず、財政赤字の増加によって完全雇用が実現できるとして、それは財政破綻やインフレを引き起こすことにつながらないのであろうか。

 マクロ経済学では、失業率が下がるとインフレ圧力が高まると考える。失業率と物価上昇率の関係を表したものをフィリップス曲線といい、失業率がゼロに近づけば近づくほど物価は上昇するので完全雇用は実現困難だと考える。

 しかし、レイによれば財政赤字を増やす際に、JG/ELRという方法を使えばインフレ圧力が高まらないという。JG/ELRで雇用される人々は、働いていなかったとしても失業給付などを受けて生活が保障され、消費を行っている。だから、JG/ELRを行ったとしても総需要は変化しない。他方で、働いていなかった人々が生産に従事するようになるので、総供給は増加する。総需要が変化せずに、総供給が増加するのであれば、それはインフレ圧力ではなくデフレ圧力になる。

 したがって、一般的な失業率と物価上昇率との関係は認めたとしても、JG/ELRの下ではそれが成り立たないと主張しているのである(インフレが発生するケースは77ページ囲み記事を参照)。
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20190625/se1/00m/020/048000c

と言うことで、レイにしてもJGPを実現させることでフィリップス曲線は無効になるとしている訳だ
フィリップス曲線の概念はインチキだと言ってる訳ではない