経済格差はそれ自体が市場の失敗?「ベーシック・インカム」はその対応策となりうるか?ノーベル経済学賞受賞の学者たちによる格差問題へのアプローチ
http://bigissue-online.jp/archives/1073246039.html

ユニバーサル・ベーシックインカム制度賛成派の意見

2010年、労働市場に関する研究でノーベル経済学賞を受賞したピーター・ダイアモンド教授とクリストファー・ピサリデス教授は、経済事情に関わらずすべての国民に最低限の所得を支給する「ユニバーサル・ベーシックインカム」制度の賛成派だ。
ロボットやAIの急速な普及は大勢の単純労働者に脅威となり、政府の介入なくしては格差はさらに広がる。
そのため、労働市場の混乱を招かないよう最低賃金より低めに設定するという前提で「ユニバーサル・ベーシックインカム」制度を支持する、とピサリデス教授は説明した。

ダイアンモンド教授も、米国で広がる「格差」は今やしっかり向き合わなければならない問題となっていると語り、最近の論文でも、所得、富、貧困、社会的流動性などさまざまな格差対策で米国がいかに適切な対応を取れていないかを立証した。

教育・研究・インフラへの投資不足、グローバル化の煽りで重工業分野で仕事を失った人たちへの不十分な補償...。
こういった「政策の失敗」には、格差について議論することで焦点をあてられると考えている。
また、子ども世帯への手当やベーシックインカム制度の導入など直接的にお金を渡すことが貧困対策になると主張。 必ずしも富の再分配をゴールとするのではない。
米国の経済課題を解決するにはかなりの政府支出が必要となるため、「ポリシーミックス(*3)」の一環として富裕層への増税を検討すべきとの考えだ。

*3 複数の経済目標を達成するため、複数の政策を同時に適用すること。

米国では相続税の増額を、英国では住宅税の増額をすべきと提言。 現在は相続時のみ課税されるが、住宅が売れた時の資産売却益にも課税すべきとの考えだ。
この政策により、多くの若者にとって手が届かなくなっている住宅価格にも良い効果をもたらせると考えている。