働かなくても生活できる? 禁断の毒薬「ヘリコプターマネー」があなたにも降るか
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180618-00010001-nikkeisty-bus_all

著者は、この貨幣発行益をたいして必要でもないインフラや箱物を造るといった昔ながらの公共事業に使うのでなく、直接国民に配る形でマネーストックの拡大につなげるべきだと主張します。その手段のひとつが、ベーシックインカムの導入です。

 「ベーシックインカム」(以下BI)は、生活に最低限必要な所得を国民全員に保障する制度である。
例えば、毎月7万円のお金が老若男女を問わず国民全員に給付される。私は、これをよく「子ども手当+大人手当」つまり「みんな手当」と説明している。
(第5章 ヘリコプターマネーとベーシックインカム 164ページ)

■働かなくても生活できる? ベーシックインカムの議論

 ベーシックインカムは社会保障制度の一種です。「イランや米国のアラスカ州などでは、政府が石油などの天然資源で得た収益を国民(州民)に分配しており、これもBI的なものとして位置づけられる」と著者は強調します。
世界でも、欧州を中心にベーシックインカムに注目が集まっています。スイスでは16年6月、ベーシックインカムの導入を問う国民投票が実施され、否決されました。フィンランド政府は17年からベーシックインカムの実験を始めています。

 こうした動きの背景には、進化したAIを搭載したロボットが多くの職場に進出し、人に取って代わるという未来予測があります。
これを労働からの解放とみるか、雇用の危機ととらえるかはともかく、働かなくても最低限の生活はできる制度を考えようという挑戦なのです。

 人間の労働の大部分が機械化された未来では、雇用の大部分が消滅する一方、潜在成長力が爆発的に高まると著者は指摘します。
そこで需要を喚起し続けるためにも、ヘリコプターマネーを貨幣政策の主軸に据える必要があるというのです。
社会が変化を遂げる中で、私たちの働き方や生き方も大きく変化をしていきます。
未来の社会制度を考えるうえでも、読んでおきたい一冊です。