「大卒就職率過去最高」のワケ
http://www.zakzak.co.jp/smp/soc/news/180529/soc1805290001-s1.html

 アベノミクスの金融政策による効果は、マクロ経済学の教科書通りの話だ。金融緩和によって実質金利を下げて、株高、円安を生じさせるとともに、実物経済を押し上げ、具体的に民間の有効需要を増加させて、雇用が伸びる−という仕組みだ。

 有効需要が高まる点については、「金融緩和」と「積極財政」はマクロ経済の観点から見れば変わりはない。ただ、効果の即効性や波及範囲で両者は異なっている。財政政策は公的部門の有効需要へ直接働きかけるので即効性がある。
他方、金融政策は民間部門の有効需要へ実質金利を通じて働きかけるので、波及範囲は広いが、効果は即効的ではなく持続的である。

 このため、財政政策の方が一般にはイメージしやすいが、雇用をみれば、民間部門に徐々に効果が持続する金融政策の効果もわかるだろう。こうしたマクロ経済学ベースの知見があるので、「金融政策は雇用政策」ともいわれているわけだ。

 金融緩和の効果を理解できずに、いまだに一部野党やマスコミでは「雇用が伸びているのは人口減少のためだ」という人がいるが、人口減少はここ20年くらいずっと続いている現象だ。
にもかかわらず、最近においては、大規模な金融緩和を実施した安倍政権と小泉純一郎政権以外のときには、就業者数は増加していない、という事実を知るべきだ。

 大卒の就職率と前年の失業率には強い相関がある。バブル崩壊以降で最も雇用環境が良く、失業率は最低水準なので、大卒就職率が過去最高なのも納得だ。

 6年前の民主党政権時代には、筆者はひたすら大学から企業に採用をお願いする立場だった。
政権交代の後、アベノミクスの金融緩和が継続する見通しを述べて、「そのうち就職率が高まり、就職市場は売り手市場になるだろう」と予想していたが、それが実現しつつある。