日本の高度経済成長は円安のおかげだった?

日本経済では、円安は経済成長につながる。もちろん輸入関連業者にデメリットがあるが、メリットの方が上回る。10%の円安は0・2〜0・6%の経済成長になるというのがこれまでの実績だ。

 その理由は、どこの国でも似たような話であるが、国際市場で競争している輸出関連産業は、輸入関連産業に比べると国内への関連産業への裾野が広く、大きな波及効果があるので、
自国通貨安はメリットがデメリットを上回るのである。その結果、自国通貨安は国内経済を活発化し、さらに内需関連産業も潤すのだ。

 こうした円安のメリットは株価にも反映する。実際、ここ7年間の日経平均株価を見ると、為替とリンクしており、円安になると株価が上昇し、その相関係数は0・87と高く、はっきりいえば株価の帰趨(きすう)は為替次第である。円安を嫌うのは、株主利益に反している。

 一般に企業経営者は、自社の業績が為替で決まるのはあまりうれしいことではないようだ。為替は企業にとって外からの与件であって、自分の経営能力を発揮する余地がないからだ。

 独断かもしれないが、戦後の高度成長の大きな要因は、1985年のプラザ合意まで為替レートが人為的に割安に設定されていたことによる輸出主導であると思っている。
この観点からみれば、日本経済が為替次第なのは戦後一貫しているので、わかりやすいが、企業経営者のプライドを傷つけるのかもしれない。