「バブル」はつぶすべきなのか 違法な手口は規制が必要だが、マクロ政策失敗なら長期停滞

 87〜90年半ばのインフレ率は0・1〜3・1%という、ごく健全な物価上昇率で、失業率も低下し、マクロ経済の状況は良好だった。資産価格の税制上の取り扱いの不備という抜け穴を金融機関などが利用して、資産価格だけが押し上げられていたのが実態である。

 これをマスコミは、実際に不適切行為をしていた金融機関に乗せられて、「日銀の金融緩和が原因だ」と報じた。

 日銀も当時はインフレ目標がなく、一般物価と資産価格の上昇を混同していた。かつ、金融引き締めを好むという日銀DNAもあって、バブル崩壊後も金融引き締めを継続して、日本の「失われた20年」を作った。

 はっきりいえば、バブルは崩壊するまでわからないが、違法な取引があればミクロでの資産規制を行うのが筋だ。

 マクロ的な金融政策については、インフレ目標を大きく上回るような高いインフレ率でなければ原則として対応しないが、バブル崩壊がマクロ経済に悪影響を与えるようであれば機敏に事後対応すればよい。

 要するに、ミクロ政策とマクロ政策の峻別が肝要だ。