4月の街角景気、先行き半年ぶり改善賃上げに期待
2018年5月10日 17:03

内閣府が10日発表した4月の景気ウオッチャー調査によると、2〜3カ月先の景況感を示す指数(季節調整値)は50.1と前月を0.5ポイント上回った。6カ月ぶりに改善し、好不況の節目となる50を上回った。賃上げの効果や夏物消費への期待が高まっている。

調査は4月25日から月末にかけて、飲食店経営者や小売店販売員ら全国約2千人を対象に実施した。家計関連の景況感を示す指数は0.3ポイント上昇し49.4と、6カ月ぶりに改善した。
九州のスーパーは「春闘でかなり賃金値上げが実施されており、夏ごろには個人消費が回復してくる」と話すなど、20年ぶりの高い伸び率となった今年の賃上げへの期待が出ている。

気象庁の予報では、夏は気温上昇が見込まれる。「アイスや飲料が売れる」(東海・コンビニ)、「エアコン、冷蔵庫の2本柱がけん引する」(南関東・家電量販店)と期待する声が多い。近畿の百貨店は「株価の安定が富裕層の購買意欲を支える」と指摘している。

企業動向の関連指数は3カ月ぶり、雇用関連の指数は5カ月ぶりに上昇し、節目の50を上回る水準を保った。北海道の人材派遣会社は「企業の業績が好調なことから、人員確保に向け積極的な採用活動が期待できる」と話した。

一方、原油高に伴うコスト高への警戒も広がる。北関東の輸送業は「現状の原油高で燃料価格が上昇しているため利益は薄くなりそう」という。

足元の景況感を映す指数は前月より0.1ポイント高い49.0で、2カ月連続で改善した。東北の金属製品製造業が「東京五輪に向けて新製品投入が活発」とするなど、企業の関連指数がけん引した。
内閣府は足元の街角景気について、前月に続き「緩やかな回復基調が続いている」と評価した。

https://r.nikkei.com/article/DGXMZO30316380Q8A510C1EE8000