「金融政策で物価上昇の効果が十分でないなら、財政政策で」という議論も最近再登場している。2009年のように景気がひどく落ち込んでいる不況下ならば、私も財政政策による景気底支えを支持する。
しかし、現下のような人手不足を伴う景況下で、世代間格差をさらに拡大する形での政府債務の膨張が正当化できるようには思えない。

また、財政面からの景気の押し上げは2013年こそ見られたが、2013年1-3月期から17年4-6月期までの平均で見ると、公的資本形成(公共事業)の実質GDP寄与度はわずかか+0.1%、政府最終消費支出の寄与度は+0.2%にとどまっている。

代わって、2013年から15年までの3年間+0.1%にとどまっていた純輸出の同寄与度が2016年以降は+0.6%に高まった。
日本の輸出は2000年代以降、円相場よりも海外景気動向を反映して増減する傾向が強く、この輸出増加基調は、海外の景気回復を反映した結果であり、当面、日本経済に順風となるだろう。

https://jp.reuters.com/article/column-masaharu-takenaka-idJPKBN18Q049