経済の需要超過、9年半ぶり高水準日銀推計
2018年1月9日 23:01

日本経済全体で見た需給が引き締まっている。9日発表の日銀推計で、2017年7〜9月期の需要と潜在的な供給力の差を示す「需給ギャップ」は9年半ぶりの大きな需要超過となった。
物価には押し上げの力がかかるが、足元の物価上昇率は1%を下回る。デフレからの脱却に向けては、春季労使交渉による賃金動向などが焦点となる。

需給ギャップは需要が労働や設備などの潜在的な供給力を上回ればプラス、逆ならばマイナスになる。日銀推計では16年10〜12月期に7四半期ぶりにプラスに転じた後、4四半期連続でプラスを維持し、プラス幅を拡大してきた。
17年7〜9月期はプラス1.35%と、リーマン・ショック前の08年1〜3月期に記録したプラス1.47%以来の高い水準だった。

需給ギャップがプラスになると、モノやサービスの価格に時間をかけて上昇圧力がかかる。今と同水準の需要超過だったリーマン・ショック前も消費者物価指数がやや遅れて上昇基調に入った。その後は金融危機で需要が急減し、物価もデフレ基調に逆戻りしている。

▼需給ギャップ 日本経済全体でみた需要と潜在的な供給力がどれだけ離れているかを示す指標。需要が供給を上回ってプラスとなれば、物価を押し上げる要因になるとされる。
日銀は就業率や設備の稼働状況などのデータを直接使って算出している。内閣府は国内総生産(GDP)を使って推計している。

https://r.nikkei.com/article/DGXMZO2546479009012018EE8000