M:正味な話、今時のやおらーの多くがもっているドリームとして「自分が男になって男性的な魅力の溢れる男性を犯したい」ってのは結構あるような気がする……。
H:あ、そっちなのか! なるほど。
M:「自分が女性のような美少年になって男に犯される」でなく「自分が男になって男を犯す」という。
H:やおらーは攻めに感情移入するんでは? というのは実感としてわかっていたけれども、
  私はそこで「じゃあ可愛い受のほうがいいやん?」的なとこがあった。それでも対象は「男性」でないとダメなのね。
M:そりゃ、そうでしょ。性対象は絶対ずれないでしょ、そこは。ずれたらサッフォーの人になってしまうし。
H:なるほど、男になって元気男を犯したい、というのもありなのですね(笑)。「トラブルフィッシュ」の潮くんじゃ、ちょっとツボを外れるんだ。
M:そうなるとずれるでしょうね。
H:「トラブルフィッシュ」でなら、今だったらむしろ潮に感情移入、になるのかな。で、月岡俊をがんがん犯す、と。
M:やおらーの立ち位置が受け側か、攻め側か、ってのは、大きい分水嶺だと思う。
  当初は受け側寄りだったのが90年代くらいを境に攻め側よりになっていると言うか。だから江森三国志の孔明とか、今はダメなのかな、と思ったり。
H:よく外部のやおい論で「やおいって、結局都合良く愛されたい願望でしょ?」みたいな批判とか分析ってあるじゃない? 
  でも今はむしろ攻めよりの立ち位置が多いなと。「愛されたい」というより「愛したい」だと思うし。
M:でも攻め側に立つってのも、そこに変なねじれがあるようにも見えるんだけれどね。
H:いや、あるでしょ(笑)。 むしろなかったらやおいじゃない。ないなら普通に「タイタニック」で感動してればいいじゃんっていう。
M:っていうか、でもそういうパターンって攻め側がたいてい雄雄しくないわけでしょ。
H:イアソン様の系譜?ゴツイ大男とかじゃないっていう。クール美形みたいな。
M:そうそう。
H:最近は、きれいな美少年系が攻め、というパターンも多いしね。
M:ごつい男の攻めと男性的な受けのパターンになるとただのホモになるからなんだろうけれども。

対談 「JUNE」の誕生と発達、そして終焉 〜「やおい」30年の歴史を紐解く〜
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