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新しい魔王となった魔王(♀)
0001以上、自作自演でした。2021/10/03(日) 23:27:03.50
魔王「あ、あの、新しく魔王として配属になった魔王(♀)です…」

魔王軍「…」

魔王「しゅ、趣味は読書とか、絵を描くことでその…、
魔王としての仕事はよくわかりませんけど…、あ、よ、よろしくお願いします」


……

幹部A「(は、おいおい、いくら先代の魔王がぽっくり逝ったからって…、魔界の田舎で暮らしてきた何も知らない孫娘を魔王にするってどうなんだよ…、どう考えても実力的に魔王は俺だろ…ムカつくわ)」

幹部B「(はっ、あんなガキが魔王?いつまで血統での世襲制を続けるのかしら?ムカつくからいじめてやろw、きゃはは)」

幹部C「(ふぉっふぉ、魔王様の孫、なかなか可愛いじゃあないですか…ふひっ)」ムラムラ

幹部D「……」
0002以上、自作自演でした。2021/10/03(日) 23:27:45.11
魔王「(どうしよう…、わたし、魔王なんか、おじいちゃんの跡なんか継ぎたく
なかったのに…、どうしてこんなことに…)」

魔王「(けどもうおじいちゃんの遺言でやるしかないし…、仕事も初めは幹部の人たちに
教えてもらいながらやれば、なんとかなる、よね…)」



数週間後………


幹部A「ええと。ここの魔物の配置、変更になったから今日中に指示の変更しといてくれます?」

魔王「え…、け、けど今日はもうこんな遅い時間だしその…」

幹部A「やろうよ。仮にも魔王なんだからさ」

魔王「は、はい…、けど、もっと早く言ってくれれば」

幹部A「え…?なにそれ、おれの指示が悪いってこと?はは、やっべー、おれ、
名ばかりで何もできない新人の魔王にだめだしされちゃったよ」

魔王「あ、い、いえ!そんなつもりじゃ、私ただ、」

幹部A「あのさあ!わかんねえことあったら自分から聞こうよっ!!ねえ!ガキじゃねえんだからさ!!」

魔王「ひっ…、す、すみませんでした…」
0003以上、自作自演でした。2021/10/03(日) 23:29:26.18
廊下


魔王「ひっ」ドンっ

幹部B「は、どこほっつき歩いてんのよ、ホントどんくさい子ね」

魔王「す、すいませっ、きゃあっ!つ、冷たっ…!」

幹部B「あら、ごめんなさい、飲み物こぼしちゃった…、けど魔王さまともあろうお方がこんなものも
さけられないだなんて、ね?おどろきだわ」

魔王「うう…ご、ごめんなさい…」

幹部B「きゃはは、こっちこそごめんなさいね、魔王様wきゃはは」
0004以上、自作自演でした。2021/10/03(日) 23:32:31.82
魔王の玉座

魔王「はあ…一人でいられる部屋が一番落ち着く…」

幹部C「ふぉふぉ、だいぶお疲れのようですな、魔王様」

魔王「え?あ、あなたは確か幹部の…」

幹部C「しかし皆さん、ひどいですなあ、まだ赴任したばかりの魔王様にあのような仕打ち…」

魔王「え、いや、そんなことは…ひぃっ」

幹部C「しかし、大丈夫ですよ、わたしは、あなたの味方ですから」なでなで

魔王「あ、あの、ちょ…、手、さ、触られると、あの…」

幹部C「おっと失礼…ふぉっふぉ…、けど何か困ったことがあったらいつでも頼ってください
私はあなたの味方ですから、ふひ」

魔王「」
0005以上、自作自演でした。2021/10/03(日) 23:33:55.40
数か月後

幹部A「魔王がいなくなっただと!?」

部下「え、ええ、魔王城を探してもどこにもいなくてっ」

幹部A「かーっ!なっさけねえガキだぜっ!やっぱ、魔王の器じゃなかったってことかなっ!」

幹部A「(なんてな、はは。あれだけシゴいたのに思ったより粘ったなあのガキ!けど
あの糞ガキさえいなくなれば、さすがに次の魔王は俺だろw)」

幹部B「(ふふ、ようやくあのしょんべん臭いガキがいなくなったか。けど、
ストレス解消の相手がいなくなってちょっと残念wふふ)」

幹部C「(ふぉっふぉ…、セクハラしがいのある魔王様がいなくなってちょっと
残念だわい、ふひひ)」

……
0006以上、自作自演でした。2021/10/03(日) 23:34:25.53
人間界

魔王「はあ…はあ…もうだめ…耐えられない。幹部の人みんな怖いし…、いじめてくるし…
気遣うふりして体触ってくて気持ち悪いし…もうやだよぉ…ぐす、ぐす」

魔王「魔界でももう、魔王扱いで戻っても魔王城に連行されるし…、
とっさに人間界に逃げてきたけど…」

魔王「ここどこ…?なんか変な森の中に迷い込んじゃった……、人間界なんて初めてきて場所わかんないし…
ふぇええ…、わたし、どうしたら…ぐす…ぐす」

少女「ん?あれ、あなた…、、どうしたの、道にまよったの?大丈夫?」

魔王「え…?あなたは…」
0007以上、自作自演でした。2021/10/03(日) 23:37:03.53
……

魔王「人間の同世代の子と会うのは初めてだわ」

少女「そっか、頭にツノが生えてるからもしやと思ったけど、魔族なのね、
けどそれにしても立派なツノだけど…もしかして上級の魔族なの?」

魔王「うん…、あの、実はね、わたし、魔王なんだ。最近おじいちゃんの跡をついで…、
けど、誤解しないで。私別に人間を支配したりとか興味なくて…、
戦いとか仕事も全然だめで、魔王を継ぐのも嫌になって逃げてきちゃったくらいだし」

少女「そっか…、それじゃ、わたしと一緒だね」

魔王「え?」

少女「わたしも実は、お父さんが勇者やっててさ」

少女「お父さん、私に勇者を継いでほしいみたいなの。けど、わたし、そういうの
興味なくて」

魔王「へえ…」
0008以上、自作自演でした。2021/10/03(日) 23:39:31.99
少女「いつも剣や魔法の修行とか…、最後に魔王を打ち取った時のセリフとか練習させられて…
勇者としての役割を果たすことがお前の運命だからって…」

魔王「ああ、わかるわかる。わたしも小さいころおじいちゃんに魔力の修行とか、
魔王城に勇者が来たときとか倒されたときのセリフとか練習させられてさあ。それが運命とかなんとかいわれて」

少女「あーやっぱそっちもそんな感じなんだ。笑っちゃうよね。私なんて
部屋に引きこもって、読書とか小説書いたりするのが趣味のオタクなのに」

魔王「え、そうなの?あ、あのっ、わたしも実は、絵とか描くのが趣味の
引きこもりで、えへへ」

少女「ええ、まじかあ、魔王の孫のくせに」

魔王「そっちだって、勇者の娘のくせに、ふふ」

少女「…ねえ、あのさ、行くと来ないんだったら、わたしの村にこない?」

魔王「え?」
0009以上、自作自演でした。2021/10/03(日) 23:40:33.66
魔王「あ、あの、やっぱりまずいよ。わたし魔族だし。村の人、驚いちゃうし」

少女「平気よ。あなた、ツノが生えてる以外は私と同い年くらいにしかみえないし、ちゃんと説明すれば。どうせ行くところないんでしょ?」

魔王「そ、そうだけど…、いいのかな」

少女「あ、みえてきたわ。あれが私の村よ」


……

少女の家


父親「まさか、魔族が人間の村に来るとは。それに魔王の孫というのは本当かい?」

魔王「(ひっ…、ほ、本でみたことある…、この人、マジモノのゆ、勇者だわ…)は、はは、はい
!け、けどあの、わたし、人間と喧嘩する気はなくてその…、全然、何の力もない引きこもりでしてその…」

少女「お父さん、この子は全然、悪い魔族じゃないわ。魔王城でもいじめられてひどい
0010以上、自作自演でした。2021/10/03(日) 23:43:51.99
目に
あってたって。だから、いいでしょ。しばらくこの村にいても」

魔王「あ、いや、だ、だめだったらすぐ出ていきますのでっ」

父親「いや、だめじゃないさ。行く当てがないのだろう、しばらくこの村にいるといいよ」

魔王「え!?け、けど…あのわたし…、魔族で魔王でその」

父親「大丈夫。魔族だって、悪い魔族ばかりじゃないっていうのは、
君をみていたらよくわかる。一緒に暮らそう」

少女「ええ、なんかあなたは私と性格合いそうだしっ!しばらくと言わず、
ずっとここにいてよ、友達になりましょうよっ」
0011以上、自作自演でした。2021/10/03(日) 23:44:27.09
魔王「う、うう…、あ、ありがとう…ございます…、わたし、わたし…魔王城で厄介者扱いされて、いつも
いじめられてたから…、こんなにやさしくされて…うれしくて…うう…ぐす、ぐす」

少女「なによ、大げさねえ。これからよろしくね、魔王っ」


父親「そうと決まれば、さっそく彼女の部屋を準備しなきゃな」

魔王「あ、ありがとうございます…うう…」

……

こうして魔王は、魔王城を離れ、勇者が住む小さな村に住むようになった…
0012以上、自作自演でした。2021/10/03(日) 23:44:57.45
少女の部屋


魔王「すごいわ、こんなにたくさんの書籍をもってるだなんて。おおきな図書館みたい」

少女「ふふ、いったでしょ。本を読むのが私の趣味なのよ。どれでも貸してあげるっ」

魔王「ほんと?じゃ、この本を…」

少女「だ、だめよそれは!ぜ、絶対だめっ!まだ駄目よっ!」

魔王「ええ、どの本でも貸してくれるって…、あ、ひょっとしてそれって、あなたが書いてるっている小説…」

少女「あ、あーあー!そ、そうよっ、だから見せられないわっ恥ずかしいもんっ」

魔王「ええ、なんで?恥ずかしくなんてないわっ、みせてよっ」

少女「だめよっ!恥ずかしいし、まだ完成してないからっ!」

魔王「じゃあ、完成したらみせてね、約束だからっ、絶対だよ」
0013以上、自作自演でした。2021/10/03(日) 23:48:42.53
魔王は少女と性格も趣味もとても気が合い、一緒に暮らすうちに2人はますます仲良くなっていった。

魔王も村の野良作業や祭事を積極的に手伝い、早く村になじみように積極的にがんばった。

それからしばらく月日がながれ…、

魔王「いつも夕ご飯をごちそうになってごめんなさい」
0014以上、自作自演でした。2021/10/03(日) 23:49:02.00
少女「いいのよ。その代わり、家事や野良仕事を手伝ってもらってるし、ね、お父さん」

父親「ああ、ほんとうに助かってるよ」

少女「それじゃあまた明日、明日は野草を一緒に取りに行きましょ」

魔王「うんっ」

………

魔王の部屋

魔王「(はあ…、まさかこんなに長く人間の村にお世話になるだなんて…
しかも勇者の家…)」

魔王「(…魔王としての職務を放棄してきたのに若干の罪悪感がないわけじゃないけど…
わたし、争い嫌いだし…、向いてないし)」

魔王「(これでいいんだよね。そもそも、勇者と魔王の小競り合いなんか今時
もう古いし…これでいいんだよ)」

魔王「(というか、いっそもう、このまま人間として…)」

魔王「(ん…?あれ、…なんか…意識が…急に…)」ぐらっ…

………
0015以上、自作自演でした。2021/10/03(日) 23:49:37.36
………
「きろ…、起きろっ!」

武道家「起きろっ」ばしっ

魔王「痛っ……、え?」

武道家「ったく。なにのんきに寝てるんだか」

戦士「おwなにこの子、けっこー可愛いやん」

魔法使い「ふひひ、こりゃあいじめがいあるわな、ひひ」


魔王「え?」
0016以上、自作自演でした。2021/10/03(日) 23:50:13.03
じゃら…

魔王「え…なにこれ、ここ、どこ?なんで私、拘束されて…そ、それにあなたたちは…え?」

父親「ここは村の地下室さ。それに彼らは僕の冒険仲間さ。あとは…この村でのうのうと暮らしてきた
君も見た顔だと思うけど」

ぞろぞろ…

村人A「……」

村人B「……」

村人C「……」

……

魔王「え…村の皆さん総出で…、なんですか、これ…一体どういう…」

父親「ずっと君を観察してたんだ」

魔王「え?」
0017以上、自作自演でした。2021/10/03(日) 23:53:47.23
父親「まさか、こんな村に魔王が単身で来るなんて信じられなかったし…、しかも
あの恐ろしい姿したジジイの後継者がこんなガキなんて考えれなかったから…」

父親「けど、君のそのツノとか瞳の色とか、魔力の質…とか、ずっと観察して…、ようやく確信したから、こうして
地下室に連れ込んだのさ、君が正真正銘、あのジジイの孫娘ってことがさあ!!」ばしっ


魔王「ひっ!そ…そんな…、わ、わたしのこと…、信頼してくれてたんじゃあ…」

父親「信頼っ!ははっ!何言ってんの?魔王倒すのが、魔族駆逐するのが、勇者一族の、俺の役目だよ?
お前のこと信頼なんかするわけねーじゃんっ!」

魔王「そ…んな…」

父親「いやあ、君の爺さんにはホントまいったよ。ありえないくらい強くて、何回も痛い目にあって…
いつもぼこぼこにされて…、こんなふうにさあっ!」げしっげしっ

魔王「痛っ、痛っ!や、やめてくださっ…ひいっ!」

父親「全然魔王を倒せないって!国のっ!王様にも失望されてあっ!ほんとどん底だったんだぜ、
おれもっ!俺の仲間たちもっ!お前の爺さんのせいでさあ!!」げしっげしっ
0018以上、自作自演でした。2021/10/03(日) 23:55:20.69
魔王「もう…やめ…」

父親「はは、何言ってんだよ。君は俺たちにいたぶられて死ぬんだよ?
俺の仲間も君の爺さんにはさんざんな目にあわされて恨みあるし」

父親「後ろの村人たちも魔族に家族をころされて、みんな魔族を、
魔王を恨んでるんだ。ちゃんとその償いはしなきゃね?」

戦士「そーそーw」

武道家「ははっ怖い?怖いか?おいっ」

魔法使い「ふひっ、ええ顔しよるのう…♡」

村人たち「……」ぞろぞろ…

魔王「そ、んな…」
0019以上、自作自演でした。2021/10/03(日) 23:58:24.06
父親「けどほんと、俺に運がまわってきたなって感じだわっ!
あのジジイが勝手におっ死んで、こんなクソガキが魔王になって、しかも、
のこのこと俺のとこまでくるんだもんっ!

父親「あー、けどよかったわ、俺の代で魔王倒せることができるみたいで
…あんな引きこもりのできそこないの娘に勇者を継がす必要がなくなってほんとよかったわ」

魔王「…え?」

父親「いやあ、魔王と仲良くなるなんて…、わが娘ながらほんとカスでアホだなって思ったわ」

父親「ま、王様に言われて、無理やり後継者にさせるために押し付けられた義理の娘だから仕方ないかな。
どんくさいやつでほんとイライラしてたけど、王様の命令で我慢して育ててきたけど」

あいつが勇者なんて到底無理だって、この数か月でよくわかったし、やっぱ勇者になる
のは正当な血を受け継いだ俺じゃないと…」

魔王「…りけせ」

父親「取り消せ」

父親「あ?」

魔王「できそこないとか…カスとか…アホとか、…わたしの」

魔王「…、私の、大切な…、友達を…、悪く言うな…」

父親「………」
0020以上、自作自演でした。2021/10/04(月) 00:00:11.68
父親「うん、わかった。もういいわめっちゃムカつく、よっし、それじゃさっそくこのガキ、みんなでいたぶろうぜっ」

戦士「いよっ、待ってましたっ」

魔法使い「ふひひ、まずはわしからじゃろっ」

武道家「バカいえ、まずは俺からだろーがっ!」

父親「おいおい、そんなはしゃぐなよ、いくら、積年の恨みを果たせるからといって…ん?」

魔王「あ、あああ…おあああ…」

父親「え?なんだ、こいつ…なんか…急に…魔力があがって…え?」

武道家「え、え?なんか、これ、まずくね…さっきまで単なるガキだったくせに…え」

魔法使い「こ、この魔力…、このプレッシャー、お、覚えが…!ひ、ひいいいい!」

戦士「や、やべ、この力、あのジジイと同等か、それ以上…、逃げっ…ひっ!」

魔王「最期に言い残す事はあるか?命として生きる価値の無いカス共」

魔王「ああああああがあああ!!!」
0021以上、自作自演でした。2021/10/04(月) 00:02:36.62
魔王「てめぇらの敗因はこの世でたった一つのシンプルな答えだ。人間ども。」

魔王「てめぇらは私を怒らせた」
0022以上、自作自演でした。2021/10/04(月) 00:03:25.09
……

……

魔王城

幹部A「…はは、あの魔王の娘が家出してもう1年近く。
先代の魔王様の娘ということで、しばらく待ってみたが。
もうさすがにいいだろう。次の代の魔王は俺に決定だな」

幹部B「なにわけわかんないこと言って玉座に座ろうとしてんのよ、
てか魔王はわたしでしょうが」

幹部C「これこれ、ふたりとも。しかし、はあ…。なかなか
いい顔、いい体した娘だったのに、残念…、ん?」

魔王「ただいま」


幹部A・B・C「え?」
0023以上、自作自演でした。2021/10/04(月) 00:06:49.76
魔王「…なに驚いてんの?わたしの玉座の前で何やってるの?」

幹部C「ふぉっふぉ…!魔王様っ!帰ってこられたんですね!?しかし、全身血だらけになって…
どうたんですかな?わし、とっても心配で…ふひひ」さわさわ

魔王「…私に気安く触るな」

幹部C「ふぇ…?ぎゃああああああ!!!」ぐしゃあああ!!

幹部C「」

幹部A・B「え…え?」
0024以上、自作自演でした。2021/10/04(月) 00:07:25.62
魔王「玉座の前からどいて。座れないでしょう」

幹部B「は、はああ!?一年もいなくなって今さら何よっ!てかこれまで何して
たのよ…!」

魔王「勇者一行を殺してきたの」

幹部A「え…?」

魔王「原型なくなるくらいの肉片にしてきたわ。住んでた村の人間も全員」

魔王「だから、あとは人間界に残ってる人間を殺すだけだから。全力で滅ぼすの。
はやく魔王軍全軍にそう伝えて」

幹部A「ああ!?あのさあ!いきなり何言ってんの!そんなこと急に
できるわけないでしょ!今夏季休暇なんだからさあ!えらそうに
ガキみたいなこといってないで…ぎゃあああああ!!!」

幹部A「いた、いだだだ…、顔…俺の顔があああ!」ミシミシ

魔王「顔、つぶされたくなかったらとっとと仕事しなさい」

魔王「魔王が、命令、してんのよ。はやく行け」

幹部A・B「ひ、ひいいい、はいいいっ!」
0025以上、自作自演でした。2021/10/04(月) 00:07:51.25
魔王「ったく…、まともな幹部はいないのかしらね」

幹部D「おかえりなさいませ、魔王様」

魔王「あなたは…、そういえばあなたは、いままで私に一度も突っかかってきたこと
なかったわね。ほかの幹部とちがって」

幹部D「そんな恐れ多い…。私は、長生きで…代々魔王様に仕えている身ですから。
あなた様が先代をきちんと受け継いで魔王としての役割を果たされる器であることは最初から
わかっていましたから」

魔王「そっか」

魔王「やっぱそういう運命だったのね、わたし」

幹部D「ええ、もちろんですとも。ああ、それと。こちらの水晶に写る映像をご覧ください」

幹部D「魔王様が見事、勇者一行を倒してくれましたが、人間もたやすくはいきません。
人間界にも新たな勇者が誕生しましたよ。彼女が、あなたの新しい好敵手となるでしょう」

魔王「え…」
0026以上、自作自演でした。2021/10/04(月) 00:10:30.48
水晶の映像

王様『魔王が、卑劣にも勇者の村に攻め入り、勇者一行のみならず、村人を皆殺しにしたことは
国民の皆様も記憶に新しいでしょう。そして、それを皮切りに全世界で魔王軍の侵攻が活発化して
いることも…』

王様『しかし案ずるな国民よっ!全世界の民よっ!魔王に倒された勇者を受け継ぐ
新たな勇者が必ずや、魔王軍を打ち滅ぼすであろうっ!入ってまいれっ!」

少女『………』

王様『彼女は、勇者の正当なる血を引いた娘!魔王に出し抜かれ、実の親である勇者や
家族同然に暮らした村人を殺され、その心は魔王打倒の精神に満ち溢れておるっ!』

王様『この不屈の精神で、近い将来、必ずや魔王軍勢を滅ぼすであろうっ!!!』

……
0027以上、自作自演でした。2021/10/04(月) 00:11:50.47
魔王「……あーあ」

幹部D「魔王様?」

魔王「…、今日はもう疲れた。悪いけど、ひとりにしてもらえる?」

幹部D「は、わかりました」

………

魔王「……」

魔王「まあ、そりゃ、そうよね。きっとぜんぶ…、はじめからそうなる決まり事だったのね…ひっ」

魔王「…ぐす…ぐす…、う、う…、ひっ…、ひっ…ぐす…ぐす」

…………
0028以上、自作自演でした。2021/10/04(月) 00:12:29.12
それから…

新たに誕生した勇者と魔王との闘いは熾烈を極め…長い年月が流れた。

人間界は、魔王軍の侵攻により人口の全体の半分以上が亡くなった。
一方で、魔王軍も勇者とその一行の手によりその大半が死に絶えた。


そして。

魔王城

少女「はああ!!ギガスラッシュ!!」

魔王「がはあっ!!」

少女「はあ、はあ……」

……

魔王「(あー、やばい。体がもううごかないや。
幹部クラスもみんな殺されたし。わたしもここまでか…)」
0029以上、自作自演でした。2021/10/04(月) 00:14:28.57
魔王「(もういいや。ちゃんと、役割果たしたよね、わたし…ええと魔王として、
最後、何言えばいいんだっけ?たしか…おじいちゃんに習ったセリフは…)」

魔王「勇者よ…、よくこの魔王を倒したな…、しかし、私にはみえている。…この先の未来、
このわたしを継ぐものが必ず、人間界を再び、恐怖のどん底に…」

少女「……、ばっかみたい」

魔王「……」

少女「そんなテンプレのセリフ、どうでもいいから」

魔王「……え」
0030以上、自作自演でした。2021/10/04(月) 00:15:05.36
魔王「え、けど、貴方だって最後に魔王を倒したときにいうセリフとかあるんじゃ」

少女「うるさいっ…あなたにだけはそんな他人行儀なセリフ吐かれたくないっ…!
ぐす…ぐす」

魔王「え…何泣いてるの…?」

少女「だ、だって、だって…あの日」

少女「わたし…、お、お父さんとその仲間の人が夜、貴方を連れていくのを…観てた…、
たぶん、何かひどいことされるかもって、感づいたのに…、

少女「けど…わたし、怖くて…、止められなかった。ごめんなさい…」

魔王「……、あー」
0031以上、自作自演でした。2021/10/04(月) 00:17:37.55
魔王「…あーあったねそんなこと。
…もういいよ。別に。どーせ、どーなったってこうなる運命だったんだし」

魔王「わたしだって、その腹いせに人間殺しまくったし、もういいよ」

少女「そうだよ…!、それにしたってやりすぎじゃん!!
人間界めちゃくちゃじゃん…半分くらい死んで…、私の親戚も故郷も、友達も全部全部なくなって…
みんな…死んじゃったじゃん…!

少女「こんな取り返しのつかないことして…!こんなの倒すしかないじゃんっ!どうしたって
許すことできないじゃんっ!」

魔王「うん…ごめんそだね」

魔王「けどそれが私の役割で…私の倒すのがあなたの役割だったんだよ、
だから、もう、最後にあなたの手で……」

少女「どうすんのよ、ねえっ!」

魔王「いやだからあの」

少女「小説持ってきたのにどうすんのこれっ!」

魔王「ええ…?」
0032以上、自作自演でした。2021/10/04(月) 00:18:08.68
少女「小説っ!あ、あなたが絶対見せてって、約束だからっ!そう言ってたからっ!
わ、わたし、旅しながら、ずっと書いててっ!あなたに見せるためにっ!
け、けど、もうっ、そんな関係じゃなくなってっ!なんか殺しあってさあ!
わけわかんないっ!」

魔王「…完成したんだ、小説」

少女「したよっ、ばかっばかっ!けどもうどうしょうもないじゃん!あなたもう
死ぬし、もうっ…私もなんで持ってきたかわかんないけど…、けど、約束だったし!
あ、あなたとの約束だったから…」

魔王「みせてよ」

少女「え?」

魔王「みせてよ、小説」
0033以上、自作自演でした。2021/10/04(月) 00:20:10.21
魔王「そっか恋愛ものかあ…」

少女「ぐす…、そうよ、悪い?」

魔王「いや…、だからあんなに恥ずかしがってたのかって…、ふーん、こういうタイプの男が好きなの、あなた?」

少女「ち、違っ、…これは小説の登場人物がそういうキャラなだけでっ」

魔王「ええ、けどこの主人公はあなたにそっくりだわ…、それで、この主人公の友達は…、ふーん、そっか」

少女「何よ、それよりどう、おもしろい?」

魔王「うん、まあまあ…、けど、なんかこれ、主人公と男の恋愛より、主人公の子と友達がメインの話のほうが面白いような…」

少女「そっか…、うん。わたしもそんな気がしてた。なんか途中から男キャラいらんかもって、途中から友達のキャラが立ってきて、コンセプトもぶれていって…」

魔王「あー…なんかわかる気がする
0034以上、自作自演でした。2021/10/04(月) 00:20:47.74
魔王「それで後半の話は…あ、ごめん…、手がうごかなくなってきた…、目もうつろに…
ごめん、代わりにもって、ページめくってもらえる?小説、…最後まで、読んでから、逝くから」

少女「うん…これでいい?みえる?」

魔王「うん…、うん」

魔王「……」

少女「……どう、次ページめくる?」

魔王「まだ……、」

少女「めくる?」

魔王「…いや、まだだって…、あ、けど、あのね」

少女「うん…?」

魔王「ほんとごめん。けど、ありがと…ね」

少女「……、うん、わたしも…、ごめんね。ありがとう」


………
0035以上、自作自演でした。2021/10/04(月) 00:23:05.65
「せい、先生っ」

少女「ふぇ…?」

編集者「ふぇ、じゃないですよ。何寝てるんですか、原稿!いつまで待たせるんですっ?はよしてくださいっ!
ここで待ってますから」

少女「は、はいっ、ごめんなさいっ!」

……

少女「あの、後ろに座って待っていられると、なかなか仕事がはかどらないのでやめてほしいというか」

編集者「だめですよ、またあなた寝ちゃうでしょう…、しかし、まあ、あなたも変わった人ですね」

編集者「数年前まで勇者として魔王軍と死闘を繰り返し、その果てに世界を平和にした人が…
いまは売れない小説家だなんて…意味不明です」

少女「う、売れてないことないでしょうが…、さいきんは多少は…」
0036以上、自作自演でした。2021/10/04(月) 00:23:51.02
少女「けどまあ、もともとの私の性分はこっちだっただけですよ。夢見がちで妄想が好きな引きこもりでしたし。
勇者やったのは、たまたまそれが運命だっただけです。ほんと運悪くたまたま」

少女「褒められることでもないです、たんたんと役割を果たしただけですよ、わたしも、あの子も…」

編集者「あの子…?先生、誰の事…、」

少女「…っ、」

編集者「あれ、どうしたんですか、先生?え?もしかして、泣いて…」

少女「も、もういいでしょ、気が散りますからっ!いいから外で待っててください」

編集者「ああ、はいはい」
0037以上、自作自演でした。2021/10/04(月) 00:24:32.00
編集者「ふー、やれやれ」

編集者B「どうでした?」

編集者「追い出されましたよ。まあ、残念ながら、今書いてる作品もなかなか売れんでしょうが…
せっかく魔王軍との激闘を繰り返してきたんだから、その自伝でも書いたほうが売れそうなものだけど。そういうの嫌いなのかな」

編集者B「そうでしょうね。なんせ、先生が描く作品は、基本、女の子2人で仲良く、のんびり暮らすだけの話ですし」
けど、なんか心温まるし、いい人はいいっていうし。私もいいとおもうんですけど、先生の小説」

編集者「いや、わたしも先生の作品は好きですけど。登場人物かわいいし。けどなんで同じような話ばっか描くのかなって…」
0038以上、自作自演でした。2021/10/04(月) 00:31:52.31
編集者B「うーん、どうも、昔聞いた話だと、初めて小説を読んでもらった相手のアドバイスをもとに、
今も同じテーマで書き続けてるみたいなこと、いってたけどね」

編集者「へえ、そりゃあどこのどいつですかね、けど、それがほんとなら、先生は、今もその人のために小説を
描き続けてるのかもしれないですね、それって、なんていうか、先生ってば」

編集者B「ああ、なんというか、乙女ですよね」


……


少女「……」

少女「ふう…勇者の血を吸収して体力を回復した上で勇者に成りすましといて本当によかったわ。私も死ぬところだった。でも、あの子には本当に申し訳ない事をした。でも許してね。私は生きたいのよ。死ぬのだけは絶対に嫌なの。だから、貴方を踏み台にさせてもらったわ。でも安心して、貴方が完成させようとしていた小説は私が代わりに完成させたから。私が貴方の遺志を受け継ぐ。だからどうかあの世の天国で安らかに。」

少女(魔王)「今のところはまだこの変身はバレていないようね。良かった良かった。」
0039以上、自作自演でした。2021/10/04(月) 00:36:54.17
少女(魔王)「これからも、貴方がまだまだ描きたかった作品も完成させてみせる。」

おしまい
0040以上、自作自演でした。2021/10/04(月) 07:53:02.68
番外

少女(魔王)「まだ正体はバレていない。この私が本当は魔王だという事に。」
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