「おーい、真紅!真紅どこいったー?」
ジュンは先ほどから姿の見当たらない真紅を探していた。
鞄の中を開けてもいない。どこへ行ったんだ?
と、そこへ翠星石がやってきた。
「なにしてるですか?」
「真紅を探してるんだ。お前見てないか?」
翠星石はリビングにいたので、一緒にいたかもしれないと思い尋ねてみた。
「真紅なんて見てないですよ。話相手が欲しいなら翠星石がなってやってもいいですよ」
「馬鹿言え、お前となんて話すことあるか。真紅の手掛かりが掴めないんじゃ用無しだ。戻っていいぞ」
その言葉にしょんぼりする翠星石。最初からジュンと一緒にいたいためにやってきたのだ。
それなのにジュンのこの態度。翠星石は逆上した。
「どうして真紅じゃなきゃダメですか!あんな子の代わりくらい翠星石にも勤まるです!」
「『あんな子』だと?お前ごときに何が分かるんだ!」
ジュンにとって真紅は真紅でしかない。その他の何物にも例えることは許されないのだ。
切れたジュンは翠星石を廊下に放り投げた。壁に思いっきりぶつけられる翠星石。
「痛々・・・なにしやがるですか!」
ドアを開けて体を半分出したところでジュンがドアを閉めた。
「っぐえ!」
体を半分挟まれてしまった。
「勝手に入るな!糞人形!」
「うう・・・痛いですぅ・・・」
「前々からお前はウザかったんだよ。勝手に契約させて勝手に住み着いてこの態度!ふざけるな!」
そう言って翠星石の顔をボコスカ蹴りまくるジュン。
「や、やめるですジュン!翠星石は・・・ジュンのことを思って・・・」
「糞人形に気遣って貰うほど愚かじゃないんだよ!」
ジュンはドアを開け、挟まっていた翠星石を掴み、窓に思いっきり投げつけた。
「きゃあ!」