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「安全運転サポート車」による事故

 事故を起こしたレクサスLS500hは、トヨタのレクサスシリーズの最高級車。17年10月にフルモデルチェンジで
発売された。ハイブリッド仕様で、アクセサリーをフル装備すると価格は1500万円を超す。「先進の予防安全技術」
がこの車の「売り」だった。

「どうやってもアクセルペダルにもブレーキペダルにも届かなかった」

 石川は改めて東京地検に、事故車を運転していた状況を
再現する実況見分を求めた。地検は、要請に応じ、警視庁を指揮して翌19年1月24日、東京都交通局都営バス品川自動車営業所港南支所で実況見分を実施した。

 警視庁の捜査員は、事故車と同型のレクサスLS500hを用意。運転席の座席の位置を、警察で保管している事故車
両の座席と同じ位置に調整。事故車の座席にあったのと同程度の厚さの座布団も用意したうえ、石川を座らせた。

 石川によると、右足をドアに挟んだ状態で、両手でハンドルを握ることは可能だったが、左足はどうやっても
アクセルペダルにもブレーキペダルにも届かなかったという。

「事故車の座席位置に座った瞬間、事故前に座席を
後ろに下げ少し背もたれも倒していたことを思い出した。前傾して運転する癖があり、停車して時間があると、いつも、リラックスするためにそうしていた」と石川はいう。


警視庁側は、この事態を予期しておらず、あわてた
ようだ。石川の右足をドアにはさみ、前のめりになった姿勢にしたり、事故時に履いていた靴を改めて装着さ
せたりしたが、それでも届かなかった、と石川は振り返る。警視庁側は、足の届かない場面を含めて写真を撮影
したという。

 事実が固まったとして石川が帰ろうとしたところ、
捜査員が100メートルほど追いかけてきて、再度、石川は車に乗せられ、今度は普通の座席位置で写真を撮った。
当然、左足はアクセルペダルに届いた。