「もう80kmぐらいしか乗れなくなっている。
だから、このぐらいの距離の中で、自転車で旅をするやりかたを続けて行くしかないんでしょうね。」
と言っていた。
「80km???だって、オレより10歳以上若いじゃないか。」

一度、秩父のはしをかすめるツーリングで、彼はケーブル・オール内蔵の凝ったスポルティーフで来て、
アップハンドル組にずいぶん置いて行かれた。
2km、3km遅れるので、我々は定期的に待っていなければならなかった。

肥満体ではないし、むしろ身体を使う仕事なので屈強といってよい。
それでも腰とか局部的な痛みがあるとつらいものなのです。

『もう自転車にまたがっていたくない。早く降りたい』
と思わせるものは、股間の痛みだったり、首の痛みだったり、腰の痛みだったり、手のひらの痛みだったり。

そういう原因をとりのぞけばよいのにと思う。

その前の秩父をかすめるツーリングの時、「いや、僕はまだドロップで頑張ります」と彼は言っていた。

「80kmで限界」という状況で、特殊工作をしまくったフレームのドロップに乗り続ける意味があるのだろうか?何のために頑張っているのか?フレームのメーカーのため?

所有欲や顕示欲のためとしか、正直私には思えない。