小径車で世界記録が出たのは200mとか400mスプリントにおいてのみです。
その理由は小さい車輪は加速時に質量が小さく回転円盤の腕が短くなるので有利である、
というのと、空力上のカウリングの取り付けが容易である、という2点によります。
「その2点以外にホイール径が小さくて有利なことはなにもない。車輪は大きいほど安定がいい。」
とは、同じく世界記録を破った自転車設計家マイク・バロウズの一言。
その時、やはり自転車絶対速度世界記録の鬼、チェスター・カイルも脇で聞いていてうなずいておりました。
ケンブリッジ大学の工学博士リチャードのエアニマルなどでも、同様の理由でホイールサイズは小径ながら大きめにしています。
人間エンジンの最高馬力は数秒しか出ませんし、人間は「はつかねずみ」のようにちょこまか連続でいつまでも回し続けられません。
どうしても車輪の慣性を利用して休みながら走るほかはないのです。
これは連続走行で、出馬力が落ちてきた時、小径車はするする進み方が落ちてきます。
英国の北の果てジョン・オーグロウツから南の果てランズエンドまでの記録保持者が小径車でチャレンジしました。
どうしてもレギュラーサイズの自転車で出した記録に及ばない。体調が悪いのか?風向きが悪いのか?途中でリタイヤしました。
さらに体調を整えてもう一度チャレンジしたのですが、やっぱりタイムが出ない。
これは不名誉になるとプレストンのあたりで中止し、以後、二度と再び小径車がこのコースレコードにチャレンジしたことはありません。
ライダーは記録保持者のチャンピオンです。これは乗り手のせいではないでしょう。
古来、英国ではこのコースで最高の記録を出さなければ、英国最高の自転車の称号は得られないのが伝統です。'
ラレーもラッジもクロードバトラーも記録を更新しています。