9秒98の桐生「大学最後で出せたのはうれしい」 日本人初、10秒の壁突破/陸上

日本学生対校選手権の男子100メートル決勝で9秒98の日本新記録をマークし、雄たけびを上げる桐生祥秀=福井県営陸上競技場

日本学生対校選手権の男子100メートル決勝で9秒98の日本新記録をマークし、雄たけびを上げる桐生祥秀=福井県営陸上競技場【拡大】

 陸上男子の桐生祥秀(21)=東洋大=が9日、福井県営陸上競技場で行われた日本学生対校選手権の100メートル決勝で9秒98の日本新記録を樹立し、
日本人で初めて「10秒の壁」を破った。五輪の花形種目で、日本勢の長年の夢だった領域についに足を踏み入れた。追い風1・8メートルだった。

 100分の1秒まで表示する現行の電気計時では1968年にジム・ハインズ(米国)が9秒95で走り、世界で初めて10秒を切った。
日本人は49年遅れで悲願の9秒台突入となった。

 日本勢は伊東浩司が98年アジア大会で日本記録を10秒00に更新したが、その後は足踏みが続いた。
桐生は京都・洛南高3年だった2013年に10秒01。一昨年には追い風参考で9秒87をマークしたが、公認記録での9秒台には届いていなかった。

 世界記録はウサイン・ボルト(ジャマイカ)が09年世界選手権で刻んだ9秒58。中国勢では一昨年、蘇炳添が9秒99で走った。
日本陸上競技連盟が認めた最初の日本記録は三島弥彦が1911年に出した12秒0。そこから106年を要し、新たな時代に突入した。


桐生祥秀の話
「大学最後、今季最後の100メートルで出せたのはうれしい。やっと4年間くすぶっていた自己ベストを更新できた。9秒台を出して、
やっと世界のスタートラインに立てた。コーチやトレーナーには感謝の気持」