そんなある日、「かぐや姫」準備室に、宮崎さんが顔を出した。

宮崎さん「パクさん、爺さんの家、こんなのどうかな?」

高畑さん「あはは、まぁ、面白いけど、違いますね、こういうんじゃない。」

 その翌日、また宮崎さんが絵を描いてやってきた。

宮崎さん「パクさん、爺さんの家は、こうやって都を一望できる山の中腹くらいにあると思うんです。
いつか京の都に上ってやるとか、そういう野心もある人物なんです。」

高畑さん「はぁ……。まぁ、こういうんじゃないですよ。」

 宮崎さんは、その後も数回に亘って、高畑さんや、隠れて田辺さんにも、「こういう絵でどうだろう?」と提案を続けた。絵を提出するときの宮崎さんは嬉しそうで、けれど高畑さんを前にして、緊張している様子だった。

しかし、高畑さんは実に素っ気無いかった。

高畑さん「どういうつもりでしょうね、宮さんは。いや、上手いし流石だけど、こういう広角(レンズ)で捉えたようなのは違うんですよ」