個人的総評 ネタバレ有り

今回の内容をアニメで制作したのは英断だったと思う。
この世界観を実写+CGで作っていたらハリウッド並みの予算が無いと残念な結果になっていた。
シナリオについては主人公とヒロインの恋愛のようなドラマ性()が展開されるかと危惧していたが、しっかりと対ゴジラを中心に展開出来ていたのが好感触。
また人類の内輪揉めや足の引っ張り合いが無いのも良かった。
前半部分は好みが別れると思う。
前日譚を読んだか、SF要素が好きかで面白くも退屈にもなり得る。
登場人物はハルオと宇宙人二人以外がほぼオマケなのがマイナス。
尺の都合上仕方ないかも知れないが、それぞれの掘り下げが弱く殉職シーンでもあまり感情が動かなかった。
ハルオのキャラクターはバランスが良かったように感じる。
熱血要素がありつつも有能。これが後先考えない猪熱血だったら見ていてイライラしていたと思う。
ただ、ハルオと同じ境遇の船員は他にもいるはずなのに、なぜハルオだけがゴジラへの復讐心を維持できたのだろうかが謎。まぁ周りの疲弊具合を見る限りハルオ以外は心が折れたと思えば納得は出来る。

子ゴジラに関しては暴れ具合がいまひとつ。シリーズ全体を見ても比較的大人しい感じ。

対ゴジラ作戦は近距離戦闘の必要性を上手く理由付けしていて迫力あるアングルを実現出来ていたのが良かった。
スピード感も有り、思わず手に力が入ってしまった。
ただ引きのアングルでは周囲に建造物が無いため、森に佇むゴジラがポツンって感じで寂しさを感じるのがマイナス。
止めの刺し方は生け埋めや暴走自爆といった過去作品の要素を取り入れているのが良い。

ゴジラに関しては素晴らしい絶望感。
戦おうと思う意識すら奪い去る強者感を表現していた。
シンゴジの熱線シーンは泣いて膝をつきもうやめてと願う絶望感だが、こちらは口をポカンと開けて乾いた笑いをあげて諦めたくなる絶望感だった。

エンドロール後は続編への期待値を跳ね上げる感じで5月が待ち遠しい。

ちょこちょこマイナス要素はあっても自分にはフィットする美味しい映画でした。