夫は「(ピアスの)穴が開いたままだと、子どもに良くないことが起きるのでは」と悲嘆しているという。
これに対し、西宮市保育事業課は「あくまで子どもの安全が第一。集団保育の中で、小さく、とがったピアスを他の園児が飲み込んでしまっては困る」と説明。
海外との文化の違いについては「今後もできる範囲で対応したい」とする。
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他の自治体ではどうか。取材を広げてみると、ピアスに関しては加古川市で20年ほど前につけたまま通った例はあったが、それ以外に同様の事例は確認できなかった。
今後、こうしたケースがあった場合の対応については、各担当者とも“安全”と“異文化理解”の間で揺れる。
「施設の総合的判断が優先される。両者に配慮する方法を個々に考えることになる」(明石市)との意見もあれば、
「安全性に問題がなければ、人権の問題に踏み込むことになる。柔軟な対応が求められるのでは」(姫路市)との見方もあった。
【多言語センターFACIL(神戸市長田区)理事長の吉富志津代・名古屋外国語大教授の話】日本ではルールは絶対という思い込みがある。「ここは日本だから、集団だから守れ」と。
協調していく上では大切だが、それが一人一人の多様な考えを公平に聞いてできた、心のこもったルールかどうかが肝心。
多数者だけに有利で、それを理由に誰かを排除していないか。常に考え直すプロセスを持つことが、互いに理解し合える成熟した共生社会につながる。