そのまま4月になった。
まず電話が来た。所属長からだった。自分達の企画が通りまた別の所で発表があるそうだと。しかし相方が正規のデータしか分からず、それまでの計算データの場所が分からない、図形がどうやって変更できるのか分からない、云々。
問い詰めると1が全てやっていて最後に見るのが自分だったからそれまでの過程が分からないと開き直っていると言う。
それから自分が全てやっているとみんな分かった様で急いで電話してきたと言う事だった。
「それはそれは…大変そうですね…自分に何が御用ですか?」
「1さん本当に申し訳無いんだけどこちらに来て少し手直ししてくれないかしら…凄くこまってるの」
「…すみません。もう自分はそちらの人間ではありません。そちらからお給料を貰っている訳でも無いですし…しかもそこからここは片道2時間はかかります。それでも来いといいますか?」
そう言うと少し黙って所属長。
「…そうよね。おかしいわよね、こんな電話ごめんなさい」
と言って切れた。
後から同僚に聞いた話によると指導者と相方がそう電話すれば1は同情して来てくれると所属長に言っていたという。