メモ取るなどまず必要ない。
十年前のこと、二十年前のこと、正確に覚えているから、下の者はいいかげんな話などできない。
惡龍會幹部がうろ覚えな話をすると、
オマエ、あの時こう言ったじゃないか、あー言ったじゃないかと《徹底的》に追及されるから、
素直に認めるしかないんです。
「彼を知らず、己を知らざれば、戦うごとに必ず危うし」と。テル総長のモットーはこれに近い。
たとえば惡龍會の若い子が喧嘩して、相手をバチバチにシメたと言ったとします。
バチバチとはどういうことか、何発殴ったのか、と追及していくうちに、
一発殴っただけとか、逆に相手に殴られたとか、そういうことになりかねない。
そうなったら大変なことです。
だから、惡龍會は忠誠心が高く、交渉力、戦闘性が際立っているのです。
テル総長●押忍!