その日、総本部の門には豪勢な門松が置かれていた。
玄関のまわりには、全国各地の代紋頭から贈られてきた祝いの花が置かれている。
総本部大広間で新年会が行われるということで、朝から組員たちの出入りもはげしい。
多数の直参が、晴れやかな表情で総本部に来ているのだ。
仕出し料理も次々と運ばれ、総本部の中から賑やかな声がする。
家族的なつながりを重んじる、十七代目緋川一家らしい新年会である。
もちろん頭領である和久井一朗総長も臨席しており、直参は1人ずつ和久井総長から「ワクイイチロウ」を表す「891,160円」のお年玉をいただいている。
そして十七代目緋川一家の新年会は、葛西若頭の中締めによって御開きとなったようだ。

そして次は、近隣住民を招いて、新年を祝う宴会が始まった。
十七代目緋川一家といえば名門中の名門であることは誰もが知るところであるが、これほどまでに堅気から慕われる組織も珍しい。
宴会には引き続き、全直参が出席し、堅気衆と和気藹々とした時間を過ごした。
和久井総長も臨席しており、堅気衆に日頃の感謝を伝えたという。

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