>>64
読みました。
風景描写で心情を表現していて、すごくいいと思います。
書き始めて間もないと、なかなか目がいかない部分なので、
「どういう風に表現するのか」という工夫には、自信を持って続けていくといいと思います。
主人公に火をつけた感情がどんなものなのか気になります。

一つだけ、「語り手の視点」について、ちょっと気をつけて考えてみるといいと思います。
たとえば、最初の風景描写は、空からカメラが下にパンしてきて、アスファルト敷きの駐車場の遠影。
そこから駐車場の奥に進んでいって、傘を持った男、と写していきます。
これは、映画的な視線の動き方で、主人公である男を外から、第三者的な視点で写しています。
一方、終盤で主人公が「小さな感情」に気付いた後は、
地の文は主人公がどのように感じているのかを「主人公の内側から」描写しています。

語り手の視点が、序盤は「主人公の外側」にあるのに、終盤には「主人公の内側」に移動してしまっています。

「語り手の視点の位置」で「読者が誰に感情移入するか」が変わってきます。
序盤のように「主人公の外側」にあれば、読者は客観的に読みますし、
終盤のように「主人公の内側」にあれば、読者は主人公に感情移入しながら読みます。
小説は、まず「主人公に感情移入させる」のが基本だと私は思います。
ですから、序盤も「男がどんな風景を見ているのか」で風景描写や状況描写をして、
息を潜めている主人公の内心や、鬱屈とした感情が周囲に反映されている様子を
三人称背後霊視点で書くのがいいんじゃないかな、と思います。
前半のうちに読者が主人公と感覚を共有できていれば、
後半の鮮やかな風景の変化が、より効果的になると思います。

今は深い感情描写があるのは主人公だけですから、いつの間にか視点が移動してても誰の感情かわかります。
けれども、話が進んで人数が増えても無意識に視点移動していると、
誰の感情なのか読みとりにくい文章になってしまいます。
書き慣れないうちは、視点を意識しにくいですし、視点はブレがちです。
だからこそ、「地の文の語り手は誰で、誰の視点で見ているのか」をちょっと意識しておくと、
読みやすい文章を書く力が早く成長するかと思いますよ。