ガンダムエース7月号より
冨野が語る旧作

「逆襲のシャア」
この間全部見たがとにかく戦闘シーンが多くてまったく話がわからない。ダメ。そういう意味で評価できない作品。もうすこしちゃんと映画になっていると思った。
レディプレイヤー1くらいわけのわからない映画。

4KだUHDだと映像面ばかりに気がいって音への判定が意外にスルーされている現実が有る。
みんな(リマスターで)クリアーになった絵だけを喜んでいて映画作品と見ていない。そういう風に宣伝する側、作る側の責任は大きい。
映画館で見た刺激を蘇らせることを第一に考えて欲しい。
音が無かったら映画じゃない。Youtubeとかでみてそれを映画だと思うのは腹立たしいから本当に止めてほしい。

「F91」
富野という男が変な助平根性を出したため映画としてのキャラクターが出来上がらなかった作品。
それがいまひとつ面白くならなかった原因。観客が納得できるキャラクター性の持たせ方が必要だったができなかった。
そういう作品をわざわざUHD化で掘り起こして復活するのはちょっと嫌だなぁという気持ち。
その後の話小説か何かで進める考えもあったが自分の中で失敗の自覚症状がありとてもそんな気分になれなかったしもし続編の話しがあっても絶対に拒否します。

「クロスボーンガンダム」
(手がけることになったきっかけは)ぜんぜん覚えていない(笑)
当時は長谷川くんも駆け出しであまり注文をつけることもできないという気分もあった。
最初の頃はネームをチェックしてたが数回だけかな。ネームの変更をさせるのはかなり面倒だとわかって
あとは好きにしなさいと任せっきりしたと思う。経緯だけはずっと見ていた。
もう長谷川くんのものになっていてそれはそれでいいんじゃないですか。

「Gのレコンギスタ」
以前話したとおり映画サイズの5本の連作。OVAになってしまうのか、そういう結論がまだもらえていない。
部分的だが2本目までの新規の作画は進んでいる。
コンテは映画サイズ5本分終わっていて3本目から新規シーンが増える。かなりわかりやすくテンポアップして面白くなっていて死ぬまでになんとしても劇場公開したいがこればかりはどうなるかわからない。
アニメーターさんは付き合ってくれているのがありがたい。忘れた頃に1カット上がってくる感じジリジリ続いている。
ただ僕が面白いというのをそのまま信じたらダメ。80歳近い年齢の人が面白いといっているものが若い人に通用するかといったらそんなことはないでしょう?