10月末のことだった。
その日、石狩平野には氷のような冷たい雨が降っていた。
何も見えない。 木製の電信柱が何本か倒れていた。 あちこちでほうきのようなポプラが雨風に揺れていた。 頭上には低い雲が垂れ込め、「妙に」暗かった。 時折カラスが飛び交い、そのうちの何羽かはまだ少し明るい地平線にいた。
源吉は3キロほど離れたインフォメーション・ポイントから重い荷物を持って戻ってきた。 この広大な平原には、源吉一家の家が20軒ほど、2軒ずつ、3軒ずつ点在していた。 公道沿いに並んでいる家もあれば、畑の中にひっそりと建っている家もあった。 中央の小学校を除いて、どの家も瓦屋根だった。 屋根には奇妙な傾斜があり、土壁はひび割れ、外からは何も見えないほど暗かった。 どの家にも満足のいく窓はなかった。 家々の後ろ、つまり入り口の反対側には、厩舎と牛小屋があった。
農場の後ろは、イシカル川に向かって緩やかな斜面になっていた。 そこは畑だったが、ところどころ赤土や砂の上に石が散らばっていた。 これは年に一度、5月にイシカル川が放水し、そのたびに石が堆積するためだ。 そのため、5月の洪水までは作物を植えることができなかった。 限界に達した畑は膝まで水に浸かり、草原と化す。 そして、石榑川のほとりの森に移される。 イシク・カレ川も近くにある。 川幅は広く、水深は深く、川底は曲がりくねっていて、水面には音も流れもない。 対岸は砂地で、野良犬が行き来していた。 同じニワトリのように、農夫の頭は地平線の彼方に垂れ下がっていた。 時々、ニワトリが目の前で鳴き、農夫も鳴き返した。
源吉は何かを考えながら戻ってきた。 すべての家が燃えているように見えた。窓やドアや瓦や屋根から煙が上がっていた。 しかし、雨が降っていたため、煙はまっすぐ空には上がらず、野原一面に漂っていた。 ある家を通り過ぎると、牛の鳴き声が聞こえた。 野原に横たわる牛が頭を上げ、口を開けて源吉を見た。 源吉が家に帰ると、家の中は煙と霧でいっぱいだった。 外で母親の悲鳴が聞こえた。 弟の唯がランプの笠を持って出てきて、苦々しそうに目をこすった。 目にゴミが入っていた。