興味深い研究が出ていました。現在のタッチスクリーンは「反応性」が影響するゲームには不向きな様だ、という事が指摘されています。でも実際には改善が可能かもしれない、というのです。
既に「光る画面は注意力とは相性が悪い」という事が知られていますが、画面上の仮想キーを使用している状態は特にソフトウエアによって実現される楽器の演奏や、ハードなゲームとは相性が悪いという事が指摘されてきました。
仮想の楽器の演奏やゲームなどでは、物理的なキーボードなどのデバイスから得られる「物理的フィードバック(打鍵感)」は、自分の動作とソフトウエアの反応が見極めやすい為に、有効に働いているのだそうです。
実際に、ターゲットが現れた時に物理キーを押す・タッチスクリーンをタップするという実験を行うと、明らかに物理キーの方が優勢だそうです。
なぜ物理キーの方が有利なのか?
物理キーがなぜ有利なのかという部分については、特に欧米ではタイプライターの時代からキーボードを扱い慣れているという部分があります。慣れの部分は実際に大きいです。
でも同じ配列で仮想キーボードが用意されていても、なかなかすんなりとはいきません。その理由は、仮想キーボードでは打鍵前の状態では指がスクリーンから浮いていなければならないからです。
仮想キーボードではスクリーンの表面状態の変化によって押しているのかいないのかという判定が必要なので、そういう事になります。
指が浮いている状態からの反応と、既に指がホームポジションにある状態からの移動で済む場合では、反応性が異なってしまうのは当然の事でしょう。
また、仮想キーボードではどのタイミングで「キーを押した」という判定が生じるのか、使用者側の神経が把握できない、という問題もあります。
物理キーなら「押したとき」はもちろん自覚できますが、特に初期のタッチスクリーン・ソフトではフィードバックが無い為に、自分がキーを押したのかどうかが判別できない、という問題がありました。
まあ、押したと判定された場合、キーの色を変えるなどのUI上の工夫はされたのですが。
更に、物理キーの入力は信号を直接トリガーに使えるのですが、仮想キーボードからの「タッチ」はソフトウエア的に処理する必要があります。
つまり「押した」のか「押していないのか」の状態をソフトウエアで判定する必要が出る為、物理キーと違って遅延が生じるのです。これはソフトウエア処理では宿命的な部分でもあります。
でも、今回の研究ではデバイスが進歩している現在は、仮想キーボードが非常に劣っているという広く共有されている概念は実態とは異なっているかもしれない、と指摘されています。
研究者達が提唱した新しい理論では、ソフトウエア側でタッチスクリーン上の指の接触面積が最大となるタイミングを「タッチイベント」として登録することで、タイミング性能を大幅に向上させることができる、という事が提唱されました。
Flappy Birdではどうだったか?
この研究では、Flappy Bird、横スクロールの障害物回避ゲームが研究の際に使用されました。
その結果を分析した研究者達は、仮想キーボードが今後より進化していったとしても、難易度が高いゲームでは物理キーボードの優位性は揺るがないかもしれない、と結論付けています。
その理由は、次の画像が物語っています。
http://livedoor.blogimg.jp/feles_/imgs/6/d/6d352cd2.jpg
これは、ゲームの難易度とミスの関連性を出しているもので、タッチスクリーンを使用した場合「Easyレベル」では予測ミスが5.3%であるのに対して、「Hard レベル」では予測ミスが40.3%に達していた、という事を示しています。
ソフト側での対応で何とか改善を図るにしても、40.3%の予測ミスが生じている状態では改善にも限度がありそうだなという事がわかります。
これも結局は人間が無意識に歩いているのと同様に、「脳」が関連している現象なのです。
http://beep.blog.jp/archives/1056681974.html