もう、数十年も教科書を開いていない。今度こそ、次の定期テストでオダブツか。まずい、早く教科書、単語帳開かないと。英単語、未だにどこまで頭に残ってるだろ。今の私、何をしている。今ならまだ、間に合うかもしれない。この原因をもたらしたのは、多重人格のうつつの自分が、「もう、それは必要ないよ。半ばで終わった出来事なので。」と足を引っ張るから。

第一志望の名門に合格した、いかにも彼、彼女らしい当然の帰結展開の者。落ちてクラスルームにまで戻って来た、クラスメートではおなじみの人気者、あの目立ちたがり屋の彼。各々が様々に思いを胸中に抱きながら、すっからかんになった教室で、何かを待つように最後の余韻を過ごす。せんせい、そういえば学年末テスト、もう無いの?

あったかもしれない。あったとしてもきっと、内申に響かない、イージーなテスト。みんなもう、見向きもしないよ。そんなのに時間を費やしていて、本命に落ちたらどうする。本番まさに直前だというのに。

ある者は、志望校どころか人生とやらまで、滑り止めとして機能すること無く、どこまでも転げ落ちて行く。しかしながら、次の進路の入学試験の結果に関わらず、卒業を迎えるまでのがらんとした余韻を過ごすクラスの中で、個別に様々な思いを抱く各々が、みな、ひと括りに同じクラスメート。

信じられます? 今の私でさえも、かつて、同じクラスメートだった時期が存在しているのですよ。私もかつては、クラスメートやってた頃がありました。