X



ああ播磨灘 連載中
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
0001粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/01(水) 17:15:48.50ID:???
88年コミックモーニングにて連載された「ああ播磨灘」
この漫画について色々語りましょう
なおこの作品は天下無双の粗筋書きが執筆することで1日1話のペースで連載されるようです
たまに変な時期に休載したり合併号になったりしたら、即引退!
…とはなりませんのでご安心下さい

※注意※
連載中スレとは連載終了した漫画作品を第1話〜最終話まで順々に、
『現在連載されているもの』つまり現在進行形で語り合うスレです。

●ただし、あらすじは単行本基準で進行していきますが、
●まれにページが多く、やむを得ず同シナリオでも複数に分ける場合があります。
●(「第1話・A」とか「第2話・前」等)
●スレ住人から教えられた場合は別ですが、この場合、
●区切りのいい所や一定のページで一旦切り上げる場合があります。ご了承下さい。

ネタバレ発言はご法度。現在明かされてる情報のみで語り合いましょう。
連載中スレにそぐわない話は楽屋裏スレで行いましょう。
次スレが立ったら or 連載終了して合図があったら楽屋裏! 現代に戻って好き放題に語り合え!

関連スレ等

連載中スレの楽屋裏 第34幕
http://tamae.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1358072497/
連載中スレまとめ
http://rensaimatome.blog.fc2.com/
連載中スレ過去ログ倉庫(更新停止中)
http://rensai.nobody.jp/
0002粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/01(水) 17:16:30.32ID:c/siRhth
  <第一話 新横綱誕生>

今年の大相撲、九月場所の国技館は満員御礼の垂れ幕が掛けられる盛況の初日で幕を開ける
観客の目的は新横綱となった播磨灘(はりまなだ)の土俵入りである
十分な結果を残し横綱昇進を目前にし、先場所では見事全勝優勝 堂々と最高位につく
さて、まずは注目の土俵入りが・・・始まろうとするところで、会場の明かりが突如消え
それと同時に、なにやら会場内に大音量で音楽がながれはじめる…?

https://www.youtube.com/watch?v=lXKox3LfO-Q

観客もスタッフも困惑するが…
すると今度は二階から放たれた照明がスポットライトの如く東の花道を照らす
その光の差し示すものの先を見たスタッフが、驚愕の表情を浮かべる

そのライトが照らすのは、不気味な兜にいかつい仮面を装着した一人の力士!?
しかもその仮面の力士は腹に綱を締めている 
まさかそんなバカげた事が、と実況も困惑を覚え…そのまま仮面の力士は土俵へ上がろうとし
スタッフが止めようとするが、角からプシューと煙が出て怯んでしまう
そしてそのまま、仮面の力士が土俵に上がりその兜を外そうとする 観客達もその姿に唖然とし…

そして現れたその素顔、角ばったいかつい顔に額に三本の向こう傷 
間違いなく新横綱、播磨灘のものであった そして播磨灘は兜を土俵において観客達に挨拶の言葉を述べる
が、観客達は当然先ほどの仮面の姿に大顰蹙で座布団が飛び回る
顔面にお寿司の箱があたるが、播磨灘は涼しい顔で顔についたご飯粒をなめとり

「土俵入りが最高位横綱に与えられた特権なら
 このセレモニーは地上最強のこのわしだけに与えられた特権だ」

そう言い放つ播磨灘に、その様子を見ていた力士達も絶句
観客からもホラ吹きハリマと罵声が飛び交うがそれを静止し自身の言葉を続ける播磨
0003粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/01(水) 17:17:00.80ID:???
「ホラやない わしゃ今日より横綱の中の横綱や
 わしに土つける相撲取りは誰ひとりとしておらん 双葉山の69連勝をぬくのはこの播磨灘や
 どんなこすっ辛い手であっても万が一 わしが負けたなら わしゃその日限りで引退する!

 天も照覧あれ これが天才横綱播磨灘の 土俵入りや!」

横綱昇進の土俵入りを終えるが当然その騒ぎは収まらない
記者団も控え室の播磨灘の前に集まり、先ほどの発言やあの姿に関して問おうとするが
播磨灘はその記者団の質問に取り合わず、取り組みまで寝ると返す始末

「いや 事が重大すぎます もう少しコメントください
 横綱のしでかした事はとんでもない無い事なんですよ」
「わしが寝るいうとんじゃ 寝かさんかい」

その言葉と播磨灘の睨みに、記者団達も何もいえなくなってしまうのだった
その様子を心配そうに見ているハゲた中年のおっちゃんだが
困惑の表情を浮かべるおっちゃんの後ろで腕を組む、理事長の姿に気づいた

控え室では対戦相手の立山がその手に包帯を分厚く巻かれていた
しかしこの分厚い包帯は凶器ではないかと物議をかもし出されていると、後輩力士から言われるが
立山はそれを構わんと言い放つ 
側では相撲協会の者がその様子を見ていたが、立山のその姿に何も言わず立ち去る

「わしの意志は協会の意志も同じだ 引退したいのなら させてやろうじゃねえか」

そして会場内に仮面の播磨灘が入場し、土俵の取り組みもそっちのけで場内に歓声が上がる
……対面に座り込む仮面の播磨灘を、立山は忌々しげに睨みつけていた
0004粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/01(水) 17:18:15.72ID:???
「ひが〜〜〜し〜〜 播磨灘 に〜〜〜し〜〜〜 立山」
土俵に上がり、仕切りの構えを取る両力士

「今日は一段と 包帯があついのう」
「引退式の時はハサミを入れてやるぜ」

そして両者が立ち上がり、立山は分厚い包帯を巻いたその手で播磨灘の顔面に張り手をあびせようとするが
播磨灘はその一撃を、歯を食いしばりながら顔面で受け止める!

「ぼけ―――――」

播磨灘の反撃の張り手が立山の顔面を潰し、一撃で土俵外までぶっとばす!!
見事初戦を圧勝で飾った播磨灘がその腕を掲げ、会場から歓声が溢れ出るのであった

・・・こうして初戦が終わり、播磨灘は控え室にてその様子を心配していたおっちゃんと並んで歩いていた
どうやらおっちゃんが播磨灘の親方のようで、彼のその横柄さにおっちゃんも気が気でない様子
平身低頭でひたすら謝るしかない、というおっちゃんだが謝るのは向こうの方と播磨灘も返す

「横綱になるのに3場所優勝 もしくはそれに準ずる成績なんてきいた事おまへんで」
「……それは10勝5敗うんぬんというのは表向きで ほんまはお前のその暴言癖や
 心・技・体の心が備わってないって事やったんや」
「へえ 心でっか ほな次の場所で全勝優勝しただけでなんで横綱にさせましたんや」

その言に言葉に詰まるが、理屈を言うなと叱りつけるおっちゃん しかし播磨灘すずしい顔でした

広間の前でおっちゃん、改め雷光親方 ため息をつきながら声をかけ重役達のいる広間へと入る
入ってきた二人に厳しい視線を向ける重役達 雷光親方は深々と頭を下げて播磨の行いを謝罪するが
しかし播磨は謝罪するどころか、重役達を挑発するような言動を向ける
その言葉に重役達の怒りと雷光親方の心労も更に重くなり悲鳴を上げながら土下座してしまう
0005粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/01(水) 17:18:41.98ID:???
「こっちの親方(おやっさん)は最高が前頭のけつっぺたや
 弟子育てるのがうもうてもやってる仕事は雑用ばっかりや これも伝統でっか
 部屋も小さい 鼻ぐすりもきかされへん
 そういうとこの 大関は横綱にも成れまへん これも伝統でんな」
「そうか 今回の騒動はそれが原因か フン ひがみもたいがいにしろ 
 横綱問題は審議会の先生が決める事だ 我々は関知せんわ」
「先生方のお話ではな その貴様の上を上とも思わん態度が横綱の品位に欠けるんだとよ」

しかし重役達の厳しい言葉にも、播磨は平然と返す

「相撲ちゅうのは格闘技の中でも 瞬間の爆発力は世界一や
 相撲の起源は素手での殺し合いや 首の骨をへし折るまでや
 品位もクソもあるかい 強いものが勝つ それだけや
 強い力士 絶対負けへん力士 それが横綱や」

播磨の言葉に重役達も言葉に詰まる さらに理事長も播磨の言葉には同意見だとも言う が
「しかし協会としては 認めるわけにゃいかん
 あの仮面を脱がなきゃ
 即 除名 廃業させる!」
播磨に向け、はっきりとそう宣告する理事長 …だがその宣告にも、播磨は余裕の表情を浮かべる
「なにか考え違いしてんのとちゃいますか 理事長
 相撲協会ちゅうのは下働きの黒子でっせ 黒子にそんな権利なんておまへん 「!」
 引退 廃業を決めるのは 力士のこのわしと 客や!」
0006粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/01(水) 17:19:07.26ID:???
翌日の国技館は、超満員の凄まじい客の入り方であった
会場内だけでなく、場外でも中に入れない観客が数千人も溢れ出ているほどである
そしてやはり今日もまた、スポットライトとBGM、いかつい仮面を装着した播磨灘が入場する
客の反応も真っ二つながら、その関心は間違いなく彼に向けられた代物である

『今日の相手は急きょ取り組みが変えられていて 250キロ 巨漢大関 富嶽(ふがく)』

今日も角から煙が吹き出る播磨灘の姿に客からわぁっと歓声が出る そんな様子に雷光親方も頭抱え
…その巨体を揺らす富嶽に相撲協会の者が声をかける
「今日の一番 勝てば協会から500万出るそうだ
 タニマチからも100万 部屋の親方からも200万 計800万だ」
「金なんかいらねえっス
 大相撲を安っぽい見せ物に落とした 播磨灘(アイツ)は許せねえ!」
播磨の姿に、富嶽は怒りを露わにするのであった

そして注目の一戦、播磨灘と富嶽の対戦が幕を開けようとする
「に〜〜〜し 富嶽 富嶽
 ひが〜〜し 播磨灘 播磨灘」
『さあ大一番 富嶽 対 播磨灘
 大歓声 まるで優勝がかかってるかのような興奮だ
「負ければ引退」この播磨灘の言葉は万金の重みをもっています
 一つの勝負がこんな厳しい緊張を生むとは知りませんでした

 先場所まで横綱争いをしたふたり
 かたや異郷より相撲界に入り厳しい習慣に耐え この国技に溶け込もうとする男
 かたやその国技を根本からくつがえそうとする男
 すでに 昨日の取り組みでは張り返された立山は鼻骨骨折で本日から休場
 まさに鬼気迫る 播磨灘』
0007粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/01(水) 17:20:35.63ID:???
「協会に尻尾振りくさって 怪我せんうちにクニに帰りくされ」
仕切りの構えを取り、そう言い放つ播磨に対し、富嶽はただ目の前の相手を睨みつける

そして富嶽が仕掛け!互いの頭が激しくぶつかる!
叫び声を上げながら富嶽がその巨体で播磨を押す!押す!
その超重級の押しに、播磨も土俵際まで追い詰められるがどうにか土俵際で残す
間髪いれず富嶽がのど輪を決めるが、播磨もこれを外し富嶽を押し返す!!
さらに富嶽のまわしをもろ差しで極める絶好の体制 
しかし富嶽もまわしを掴むその腕を掴んでカンヌキで締め上げる!!
その強烈な締め上げに播磨も上半身がまっ赤になりながらも、苦悶の表情で耐える播磨
だが、ついに播磨の膝ががくんと折れ・・・!
「あ お おっ!!」
だが播磨は、そこから播磨の250キロの巨体を吊り上げる!!
そして、吊り上げた富嶽をそのまま背中から土俵に投げ飛ばした!!!

その光景に観客から一斉に歓声が沸き起こり、雷光親方や理事長も驚愕
『な なんと いまだかってつられた事さえない富嶽が
 つり上げられ しかもブン投げられた
 なんという なんという怪力 人間業じゃない
 いや違う これはただの力ではない 自らを剣が峰に立たせ
 絶体絶命に追い詰めた男の 底力だ!』
…雷光親方も播磨の姿に、どこか息をもらし
「理事長 わしも 播磨がまけりゃ引退させてもらいますわ
 これだけの横綱育てりゃ もういう事おまへん」
と、どこか吹っ切れたように首を振る雷光親方だった

「わしが 播磨灘や」
ここに、前代未聞の大横綱 播磨灘の快進撃が始まるのであった…!

<第一話 新横綱誕生/おわり>
0008マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/01(水) 22:04:47.73ID:???
またすごい破天荒なのが来たなw
ある種この作者おなじみのキャラだけど、この手のタイプだと松太郎がいるしなー
その辺ときっちり差別化できるか、連載が続けば期待しとこう
0009粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/02(木) 17:26:13.17ID:0ifIuI++
 <第二話 追いはらう>

前回の富嶽を破った播磨灘の快進撃は、スポーツ新聞の一面を飾っていた
しかしその記事に憤慨する老人の姿があった
震えながら新聞を布団にたたきつける、横になった老人だが
興奮して血圧が上がりすぎたか苦しそうにうめき声を上げてしまう

苦しみながらご老人はあれを呼べ、と家族に言うが
その前では件のあれと呼ばれた御仁、播磨のおっかさんがご老人に深々と頭を下げていた
なんとお詫びをしたらええか、と深々と土下座をするおっかさんだが老人の怒りは収まらない
…どんどんご老人の血圧が上がりそうなので播磨の母、松子さんを下がらせる事にするのだった

しかし播磨の行いには、松子さんにも多大な心労をかけてしまっているようで
使用人に何度も謝罪しながら、松子さんも廊下に倒れてしまった
あっちゃこっちゃでえらい騒ぎと家主のおじさんもぼやきながら
息子にはこれ以上おじいちゃんを興奮させたらあかんと、部屋にあるテレビを運ぶよう言うが
「あ あかん TVはあかん わしゃ播磨の負けるまで
 播磨が泣くまで絶対死なんわい このTVはわしの命じゃ」
と、おじいちゃんはテレビにひしっと抱きつくのだった

そして現れた今日の播磨の姿は、更に凄まじいものになっていた
顔中トゲトゲのウニみたいなおどろおどろしい鬼の仮面で入場する播磨
その姿におじいちゃんもさらに血圧あがり、松子さんも立ちくらみがしちゃう
実況も播磨の仮面にはどうコメントしていいやら・・・
…しかしその様子を、理事長はただ黙して見ているのみであった
0010粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/02(木) 17:26:51.22ID:???
そうして今日の播磨灘の対決が幕を開ける 今日の相手は前頭二枚目、津軽山
津軽山は離れて取る押し相撲を得意とする力士 一つ間違えば波乱の可能性もあるが
仕切りの構えを取る津軽山だが…眼前の播磨は、凄まじい重圧をはなつ…!
だが津軽山も負けじと睨みかえす その身体からは早くも汗が吹き出てくる
そんな気合の入った津軽山の様子を力士達も観戦
「奴を倒すのは俺だ 俺が播磨に引導わたしてやる」
額にでかいこぶのついた力士が、その取り組みにそう呟くのだった

播磨と対峙する津軽山 その身体から汗が滝のように溢れ出る
ここで時間いっぱい 一旦汗を拭おうとする両力士だが、津軽山は汗を拭うのを拒む
塩をまきまわしを叩いて気合を入れる津軽山 その身から滴る汗が飛び散る

そして播磨が立ち、雄叫びを上げながら津軽山の肩に張り手をあびせるが
津軽山の身体から滴る汗でその一撃がすべって不発となり その隙を付き、津軽山がけたぐり!
…だが、播磨の脚は津軽山のけたぐりを受けながらもビクともしない!!

「ぼけ――」怒りの播磨が津軽山の顔面を鷲づかみにし!
「誰見てせこいマネしとんじゃ 10年早いわ」津軽山の身体を土俵に叩きつける!!
奇襲も作戦も通用しない、まさに圧倒的な播磨灘、18連勝
播磨が勝利し、雷光親方も溜め息が漏れ…そこに理事長が声をかける
「まさに溜め息の出るような強さだな 播磨灘は」
0011粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/02(木) 17:27:20.37ID:???
その夜、雷光親方と理事長はおでんの屋台で飲み明かしていた
少々気が気でない様子の親方だが、理事長もどうこうするつもりはないとの事だ

「あんたは播磨同様わしを裏切った…… 腹ワタは煮えくり返るがそれはそれだ
 ……お前さんもわし同様微力ながら一時期土俵を守った…… その自負はあるだろう
 そのお前さんから見て正直な所 播磨の強さは別にして あの仮面どう思う?」
……その問いに、雷光親方は答える事はできなかった
「拍手を送ってるのは目先のものしか見えんガキだけだ
 大人なら江戸時代から続いた格式の方を重んじる

 先人たち そしてわしら ……300年守り発展させて来た大相撲は
 確かに客を必要とする見せ物だ しかし
 断じてプロレス好きのショーではないわ」
憤慨する理事長がコップを握りつぶしてしまうのだった

雷光親方が戻ると、部屋では播磨の身体を他の力士達が総出で揉み解してあげてた
親方は部屋に飾ってある仮面を見て、まだ他にもあるのか聞いてみると
播磨は子供のような意地悪な笑みを浮かべるのだった
…協会への腹いせなら気がすんだやろという親方だが
播磨もこれを被らな客が納得せんと笑って返す そんな播磨に親方も溜め息
さらにその仮面が原因で母親が倒れた、と聞き播磨の表情が変わる
…今朝の明け方倒れてしまったとのことだが…
播磨は明日の朝一に飛行機でもチャーターして実家に帰ることを決めるのだった

「バ バカいうな場所中やど それも相撲生命賭けた場所や」
「そ そうです横綱 第一急に航空会社にいってもチャーターできませんよ」
「あほう 天下の播磨灘がいうとんのや 断る会社があるかい!」
0012粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/02(木) 17:28:40.10ID:???
翌朝、さっそく実家の兵庫に帰省する播磨 
庭からぞろっとすり足で歩く音に気付く母、松子 顔を上げると播磨…改め、息子の勲の姿があった
場所中だと言うのに本当に帰ってきて母もびっくりしちゃってまた調子を悪くしてしまう
どうせまた大旦那の大田原が嫌味でもいうたんやろ、と気にしないよう言って煙草に火をつける播磨
そんな態度の播磨に母も叱り付けてさっさと帰り、と涙目で布団にもぐりこんでしまう

「ほんまに情けないわ 女手ひとつで必死に育てて来たのにこのありさまや
 折角精進して横綱になったと喜んだら 怪獣映画みたいなん被って
 おまけに負けたら引退するやて 立ててくれた家かてローンがあるねんで
 人間細う長う生きなあかんいうてあんなに教えて来たのに情けない」
「太う長う……て 教えてもろたで」「あほう」
怒鳴りつける母だが、播磨はその角ばった顔を眼前まで寄せて、母に言い放つ
「お母ん わしゃ土俵に命張っとんのや わしのやる事 黙って見とれや」

…そろそろ戻らないと場所に間に合わない、との事で帰り支度をする播磨だが
家の前には播磨を見に来た人たちでいっぱいだった
すると播磨、庭で着物を脱いでまわし一丁になる

「お母ん 力士ちゅうのはな その昔チカラビトいうて 魔よけ 悪霊払いが出来たそうや
 それも本物の力士 金剛力士がな
 谷風ちゅう横綱は病人の床のまわりで 四股踏んで病魔を追っ払ったそうや」

まわし一丁になり、力んだかのよう全身を真っ赤にしてに力を込める播磨
そして気合の入った叫びとともに、地面を揺らす激しい四股を踏む!
その瞬間、家から白い何かがワッと大量に飛び散っていくのだった
0013粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/02(木) 17:29:26.54ID:???
そして土俵へと戻り、凄ノ尾(すさのお)と播磨灘の一戦が幕を開けようとする
とげとげ仮面を外して土俵へ登る播磨 会場は割れんばかりの大歓声 

『平穏な道を自ら捨て己を絶体絶命に追い込んだ播磨灘
 正気か狂気か 仮面の入場 土俵上の暴言と彼への非難は枚挙にいとまなし
 が しかし
 この四股は その力強さ 四股の見事さは角界随一です』
実況の言葉通り、播磨は土俵上で力強い四股を踏んでみせる
そして、その播磨の四股に負けない力強さを見せるのが
津軽山との一戦で、播磨は俺が倒すと言い放った額にこぶの盛り上がった力士 小結、凄ノ尾である
1年前 凄ノ尾は不運にも首を痛め一時期は十両まで降格してしまった
相撲取りにとって首は痛めれば相撲生命は無いといわれる場所だが 
凄ノ尾は見事、二回りも三回りも大きくなって復活したのである 
まさに地獄を見、そこから這い上がって来た男が、播磨を地獄へ叩き落さんとする…!

「お前は今まで運が強すぎた だが その運も今日限りだ」
「ぼけっ 運ちゅうのは己の力でひっぱって来るもんや
 おんどれが運が悪いっちゅうんは間違いや おんどれに力がなかっただけや」

さあ時間いっぱい、二人の力士が仕切りの構えを取る
鬼神の播磨か、地獄の凄ノ王か…にらみ合う二人がその眼光を光らせ…
そして二人が立ち上がり!二人の頭と頭が互いにぶつかり合う!!
そして、二人は頭をつけたまま、その頭だけで互いに押し合う…!
互いにその全体重を押し付けて引かない両者だが、凄ノ尾は一旦播磨の肩を付き仕切りなおして
再び両者はその頭でぶつかり合う!!

「こ この野郎」
「き 鍛えた頭も首も こんなもんかい」

苦悶の表情を浮かべて苛立つ凄ノ尾だが、播磨はそう嘲り笑みを浮かべてみせる
0014粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/02(木) 17:30:21.44ID:???
播磨も凄ノ尾も、互いに頭を押し付けたまま一歩も引かない まさにがっぷり頭四つ
たがいに荒い息を吐きその額から血をあふれ出させる両者
そして二人はもう一度仕切りなおし、三度その頭をたたきつける!!
とび散る鮮血に、観客からも悲鳴が溢れ…

凄ノ尾の膝が、がくんと土俵に落ちた

意地と意地のぶつかり合いの勝負を、見事制した播磨
土俵に膝を突く凄ノ王は、悔しさに土俵を叩く その様子に、播磨が言い放つ

「土俵は手で叩くもんやない 足で踏むもんや」

自身を見下ろし、勝ち誇った笑みを浮かべる播磨に凄ノ尾は歯噛みした表情を滲ませるしかなかった…
…二人のその戦いには相撲協会の者達も困惑 はたしてこれが相撲と呼べるのか…

「……相撲じゃない 少なくとも近世 近代の大相撲じゃない
 選び抜かれ 鍛えぬかれたチカラビト同士の 寸鉄おびない素手による殺し合い……
 それが古代相撲 相撲の起源なら…… 今の播磨 凄ノ尾戦がそれだ!」

理事長も二人の戦いに、そう驚嘆の声をあげるのだった

テレビで見てた播磨の母も、播磨が勝ってくれて病気のお世話をしてくれるおばちゃんと一緒に大喜び
しかし今日も播磨が勝ったので、また大旦那に呼ばれそうだけど

「かまへんかまへん そのうち大旦那様の病魔も勲に払わすわ」

笑顔でそういう播磨の母、松子さんなのでした

 <第二話 追いはらう/おわり>
0015マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/02(木) 21:29:08.86ID:???
凄い尻尾と書いてスサノオと読ませるセンスは嫌いじゃないが
こう書くとどうしても狐のようなもさもさ尻尾しか浮かばんw
0017粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/03(金) 17:43:40.68ID:rJg5miEZ
 <第三話 ごっつあん>

国技館の客入りは今日も凄まじいものとなっていた 
テレビでの視聴率も50%を越えるほど 相撲観戦では考えられないほどの数字である
その注目の的は、当然横綱の播磨灘 彼の「負けたら引退」の言葉がマスコミの注目も集めているようで
…理事長は播磨がTVに何を言おうが構わないが、あの格好だけは許せんと激昂していた

そんな播磨の今日の入場 本日の仮面もまたすさまじいもので
額に一本ヅノの、大口を開けた緑色の鬼マスク さらにモヒカンと首の毛飾りもカラフルでケバケバしい
のっしのっしと入場する播磨に、観客からは土俵そっちのけで怒号と歓声が入り混じっていた
…その様子を、相撲協会も忌々しげに睨みつける
仮面を取り上げたくても播磨が指一本触れるなと睨みつけるせいで、誰も手が出せないそうで…

そして播磨に声がかかり、仮面を取ると素顔の播磨灘が鋭い眼光を浮かべる
その殺気を放つかの如きその姿に、最前列の観客も思わず息を飲む…
今日の播磨に対するは、西前頭筆頭 甲斐の山 
仕切りの構えを取り、両者土俵に手を突くが 甲斐の山は呼吸が合わないか中々立たず…
・・・播磨が息を吐いた、その瞬間甲斐の山が立ち上がり掴みかかる!
播磨も一瞬反応が遅れてしまい、甲斐の山は播磨のまわしをもろ差しの絶好の体勢
そのまま甲斐の山が播磨を押す!押・・・
いや、播磨の身体は甲斐の山の押し込みにビクともしない 

「ぼけ―――っ 稽古が足らんわ」

そして播磨は甲斐の山の首をその太い腕で挟み込み、首投げでその身体を潰す!!
こうして播磨、鬼神の強さで20連勝 土俵を降り帰り際に理事長に不敵な笑みを向けて
のっしのっしとその場を後にする播磨 …理事長は、僅かにその身体を震わせていた…
0018粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/03(金) 17:44:18.08ID:???
部屋に戻ると播磨に取材陣が殺到 取材陣が問いただすのは、やはり播磨の仮面の真意
「そうでしょ 横綱の力なら最低あと3年は横綱を張れます
 優勝も10回はできるでしょう 金も入りますよ
 それを1敗すれば引退するなんてどう考えても理に合いません
 成り行きというには余りにも事が重大です
 協会への反抗だけなら もう仮面はとってもいいんじゃないですか
 意地だけじゃなく 他にも理由があるんじゃないですか」
…その問いに、播磨が口を開く 記者も緊張した面持ちでペンを持ち
「実はの わしにゃ鬼神がのりうつっててのう 双葉を破れ破れいうんじゃ」
播磨の答えに記者団硬直 そんな記者たちを尻目に、播磨の豪快な笑い声が響く
すると記者たちの背後からもとつぜん歓声があがる
どうやらテレビに写された土俵の戦いにて
関脇の白鳳(はくほう)が横綱、大江川をやぐら投げで見事に勝利したとのことだ

その試合を見ていた力士達も、白鳳の凄まじさに声が上がる
白鳳の成績は先々場所が12勝 先場所13勝 今場所で10勝すれば大関への昇進は確実だが
しかし白鳳は5日目の今日が初日 10勝するには残り一敗しかできず厳しい状況
…というのにもわけがある、白鳳は今場所前にある事件を起こしてしまっていたのだ

「女の子を助けるためとはいえ10人の暴力団をブっとばしたからな しかも場所前によ」
「ああ 幸いむこうのケガが軽症だったんで刑事処分はまぬがれたが
 協会は世間を騒がせたと今場所謹慎の処分
 しかし本人の態度とおびただしい嘆願書でなんとか謹慎は4日で解けた」
0019粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/03(金) 17:44:38.90ID:???
それにより大関昇進を狙うには厳しい白鳳だが、だがその事件でもっとデカイものを手に入れた、と語る記者たち
白鳳は前から人気の高かった力士だがこの事件で「正義の白鳳」のイメージを確かなものにしたのだった
その白鳳が明日の播磨の相手だが…

「正義の白鳳に悪玉の播磨灘 あんたらにゃよだれが出そうな取り組みやの」
「え そ そんな事ありませんよ;」 ジュルリ
「ヤクザとはいえ素人衆や それに手かける力士なんぞ わしが理事長やったら永久追放やな」
…播磨の意外な言葉に記者団も目を丸くする 相手も10人はいると言うのに
だがそれに対しても播磨は、相撲取りの身体は常人以上 素手でやれば最低でも5人は死んでてもおかしくないと返す
「しかもひと場所謹慎のはずが 嘆願書かなにかしらんがわずか4日で解けとる
 わしの横綱昇進は3場所かかったがの
 理事長の匂いが プンプンしよるで」
そう語り不敵な笑みを浮かべる播磨 
…と、そこに試合を終えた白鳳と通路でばったり遭遇し 
播磨のほうから白鳳に声をかけると、白鳳もぺこりと礼

「よう月光仮面 謹慎明けそうそう派手にやるやんけ
 おんどれ わしが仮面被って土俵入りした時 部屋ん中で心底ケンカした事後悔したやろ
 口きかんでも顔に出とるわ 理事長が己れの後を継ぐ者は白鳳と公言してはばからんお前や
 相撲道も理事長ゆずりや さぞ歯ぎしりしとったやろ
 そやけど辛抱したかいがあったで 
 わしを破りゃその意地が通るだけやない 1千万近い金も入るぞ
 いや歯?みした偉いさんは全国にゴマンとおるわ おそらく祝儀は1億近うなるで
 国技を守った男 そして大金 オイシイ勝負や のう白鳳」

なんていって白鳳にからかい気味にウインクする播磨 
その言葉に白鳳はただ一言 「ごっつぁんです」 と返すのだった
0020粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/03(金) 17:45:14.62ID:???
場面は変わり雨の降る小さなお寺の前に参拝する一人のおばさんと
周囲の林で走りこみの稽古をする播磨の姿があった
階段前でストレッチをしていると、参拝している奥さんの姿に気づき
茂みの中からぬうっと現れて声をかける播磨 奥さんびっくり
どうやら奥さん、雷光親方のカミさんのようで播磨のためにお百度参りをしていたようだ(本人は否定していたが
とはいえ自分が負けるまでこんな事していたら奥さんも身体を壊すとその身体を労わる播磨

「そやけど……勝負ちゅうのは時の運やさかいな」
「そら違うわ 運ちゅうのは強い男の方にまわるんや 弱い男にゃ絶対まわらんようなっとる」

すると播磨はおもむろに近くの木にぶちかまし!
気付けば雨は晴れて、お空に虹がかかるのであった

そして大一番、白鳳と播磨の対決が幕を開ける
互いに土俵に上がり四股を踏む二人 白鳳には女性ファンからの黄色い声援が飛ぶ
播磨のほうにはあらくれ者からの歓声があがっていた

両力士、ともに200キロ級の力士を投げ飛ばしている 
共に怪力無双の両者が仕切りの構えを取る…
(力じゃ負けん 技では俺の方が上だ あんたは……)
「ただ運気にのってるだけだ」
白鳳のその鋭い睨みに…播磨は「ハンパ者が」と吐き捨てるように呟く

そして両者が立ち、互いの頭がぶつかり合う!
白鳳が左四つでまわしをとり、出し投げを仕掛けるが播磨もこれは残す
しかし播磨はうまく上手が取れない 体勢は白鳳が依然有利だ
0021粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/03(金) 17:46:07.80ID:???
…白鳳は播磨のまわしを握る手に力を込め、白鳳が決めにかかる!
「播磨……地獄に落ちろ―――」
播磨のまわしをつり上げ、白鳳がやぐら投げを仕掛ける!!
だが、播磨の足先は土俵についたまま、白鳳のやぐら投げを凌ぐ…!

『な なんという足腰 まるで岩に生える松の根だ
 しかも上手をとっている 白鳳が引きつけた瞬間とっている』
「白鳳 おんどれの一番の技は出し投げや 相手を崩したらしゃにむに寄り立てんかい
 やぐらなんぞマグレの一発じゃ
 ヤクザとケンカするのもやるなら手加減せんと 全員叩っ殺さんかい」

白鳳はもう一度やぐらの体勢に行こうとするが、播磨はその足を掴んでそれを遮り
「土俵の中も外も半端なんじゃ」 播磨は上手投げを仕掛ける! 
しかしかろうじて白鳳も残すが、播磨はその首根っこを掴み!!
「ミエもカッコもあるかい 泥を噛め―――――」
白鳳の顔面を無理矢理土俵にこすりつける!!
…倒れた白鳳が震えながらその泥まみれの、血塗れの顔を上げる

「わしゃ来場所も来々場所も その次の場所も土俵におる
 いつでも来い 正義面をかなぐり捨てての」

血塗れの顔面を歪ませ苦悶の表情を浮かべる白鳳に、播磨は言い放つ
「ごっつあんいわんかい」
播磨灘、21連勝 その破竹の勢いはまだまだ止まらない

<第三話 ごっつあん/おわり>
0022マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/03(金) 20:08:00.56ID:???
この人の漫画でこういう正統派の美形は珍しい
モデルは貴乃花あたりだろうかね
0023粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/04(土) 17:20:17.19ID:cCeNoUaZ
 <第四話 たたきつぶす>

川原沿いの道にて、なにやら子供が大勢の子供に追いかけられていた
どうやら追いかけられている先頭の子供がいじめを受けているようだ
にげる先頭の子供だが、追いつかれてしまいどつかれたり口に砂を入れられたりされてしまう
抵抗も空しく、服まで脱がされようとするいじめられっ子だが…

その様子を、播磨灘が一瞥していた
播磨の睨みにいじめっ子たちは硬直し…いじめられていた子に、ビビビと電気のようなものが走る
そのまま播磨はその場を立ち去るが…いじめられていた子は突如棒切れをもって反撃!
思わぬ反撃に逃げ出すいじめっ子達 逃げ出しながらもいじめっ子達は
先ほど通った巨漢の男が今世間をにぎわせている播磨灘であることを思い出すのであった

そして今日の播磨の土俵入り
今日の播磨は三面の阿修羅の仮面を模した仮面を装着していた(さすがに6本の腕は無し)
そんな播磨に観客からの野次が飛ぶが、仮面の頭頂部からプシューと煙が出てきた
さながら観客の避難を煙に巻くようであった そんな姿に理事長達協会の面々も難しい表情で…

「理事長 こんな時になんですが
 このところ立ち合いも土俵内容もこれまでに比べ グンとよくなっていると思います
 私が考えますにこれは
 播磨が土俵生命を賭けて相撲をとっているのに他の力士が影響されたからだと思うんです
 理事長が常々いわれる土俵の充実とはまさにこの事じゃないかと……」
そう語る職員だが…理事長は明らかに怒りを露わにしたような雰囲気で…
「 だ か ら な ん だ と い う ん だ 」 理事長の怒声が響くのであった
0024粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/04(土) 17:20:44.57ID:???
花道でも大勢の力士が、播磨のその様子を忌々しげに睨む
その力士達の中には今日と明日の相手である、小田川部屋の二人の力士の姿もあった

そして今日の注目の一番、阿修羅の横綱播磨灘と
幕内最軽量、102キロの維新竜(いしんりゅう)の対決が幕を開ける
維新竜は最軽量の小兵力士ながら、播磨が大関時代に2度も勝ち星を挙げていた曲者だが…

そうして時間一杯、鬼神対曲者の対決が始まるが
…維新竜、なにやら狙いがあるのか仕切り線に近い位置で構えを取る…
実況も維新竜の真意を測りかねるかのように困惑を覚えていた

そして両者立ち、維新竜は播磨の分厚い胸板に真正面からぶつかる!
自らつかまりに来たと播磨は維新龍のまわしに手を伸ばすが
維新龍は播磨の片脚を取って持ち上げる! 勝利を確信し維新龍は片脚の播磨を押さんとするが
しかし播磨は、片脚で維新龍の身体を持ち上げた!!

「ぼ け ぇ ー っ 」 播磨の怒声と共に、維新龍は土俵の外に放りなげられるのだった

「しっかりチャンコ食わんかい」
したり顔で土俵下に落ちた維新竜を見据える播磨 まさに阿修羅の如き脚力である

…敗北した維新龍、とぼとぼと俯きながらぺたぺた歩いて花道を後にする
帰り道の通路にて、同部屋の大関、玉嵐に面目ないと謝罪するが…

「維新 力士の命は足腰だ 
 どこにあっても 土俵の中でも外でもすり足で歩けといってるのを忘れたのか」

ぺたぺた歩いて帰った維新の姿に、叱りつける玉嵐であった
0025粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/04(土) 17:21:41.86ID:???
雷光部屋にて、食事中の播磨の元に記者たちが集まっていた
明日はいよいよ大関戦だが、前頭も大関も一番にはかわらん、と播磨はそっけない態度でちゃんこむしゃむしゃ
とはいえ今回の相手、玉嵐は播磨とは今場所7連勝で戦績では五分の実力者 
ついでに記者達はそんな玉嵐の今日の戦いをビデオで見せる

玉嵐と巨漢の八重ヶ嶽(やえがだけ)との一戦 体格差で一気に土俵際までもっていかれるが
そこから玉嵐はビクともしない 玉嵐は足の裏に目がついている、とまで言われる所以である
さらに八重ヶ嶽が下手投げをうとうとすると同時に、隙を付きその背後に回り体勢を入れ替え
そして一気に寄りきり、見事に玉嵐が勝利
まさに絶好調の玉嵐、今日の相手維新龍と同じとはいかないであろうと心配する記者たち
0026粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/04(土) 17:22:14.35ID:???
さらに玉嵐は播磨に並々ならぬ敵愾心を持っている …そんな言葉にも播磨は不敵な笑みを浮かべる
玉嵐は入幕時100キロもなかったが、彼はそこから鬼の稽古でその体格を120キロまで伸ばした
さらに彼は日常生活にも稽古を心がけており、つねにすり足で歩くようにしている等
まさに精進に精進を重ねて、玉嵐は大関へと上り詰めたのだ が

「ほんま力士の鏡や 協会の宣伝マンにはもってこいやで」

播磨のその言葉に、記者団達は言葉を失ってしまう 
口では玉嵐を怖いと言う播磨だがその顔はとてもそうは見えなかった
…そんな播磨に、老記者がとある逸話 双葉山の木鶏(もつけい)の話をする

「その昔 中国の王が闘鶏飼いの名人にある鶏を預けた
 10日たって王が『使えるか』と問うと 名人曰く未だ空いばりの最中で使えぬ
 さらに10日後催促すると『敵の声や姿に興奮してダメです』
 さらに10日後『まだまだ敵を見るとなにをこやつがと見くだすようにする』
 さらに10日たってやっと名人のOKが出た
『どうにかよろしい いかなる敵にも無心でちょっと見ると木鶏のようです 徳が充実して天下無敵です』

 双葉はこの木鶏たらんと精進した
 それは相撲道を極めようとする姿だ そんな中であの不滅の69連勝が生まれた
 そこへいくと横綱はまるで30日目の鶏だ 道を求めるどころか道の破壊者だ
 そんなあんたが名人・双葉山をぬこうなどとおこがましい」
播磨に対し、そう言い放って見せる老記者 内心他の記者たちも(よくいった)と思ってたり

「さよか ……で 双葉はなれたんでっか」
「いや 本人の電文で『イマダモッケイタリエズ』
 木鶏になれなかったこそ69で……」
……老記者の言葉に、播磨は意地の悪い笑みを浮かべていた…
0027粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/04(土) 17:22:51.99ID:???
場面は変わり、玉嵐の属する尾田川部屋 
厳しい稽古に精を出す玉嵐だが、他の力士は皆息を切らしてバテていたため今日は皆を下がらせる
一人になり…玉嵐は土俵で立会いのイメージトレーニング中
と、そこに親方と理事長の姿に玉嵐が気がつき礼をする

「本場所割りが終わっても稽古とは まったく稽古の虫だな
 ……実は玉 近々ひとり年寄りが廃業する予定でな
 もしお前が明日勝てばその年寄株をお前にゆずろうと思うとる 無論無償でな」
「玉 破格のあつかいだぞ 協会のお前に対する評価と期待がわかるだろう」

…しかし玉嵐は、その申し出を辞退する 
一勝負で年寄株では他の力士に対しても公平ではないとする玉嵐
それに、横綱を倒したいのは玉嵐自身の意地もある…
玉嵐は決して相撲取りとして恵まれた身体では無かったが、稽古に稽古を重ね今の地位まで登りつめた
それに対し播磨は身体に恵まれた力任せの相撲 土俵を降りればやりたい放題
そんな播磨に負けることがあればそれは自分の精進が間違っていたと言う事に他ならない

「横綱が 播磨灘が明日の土俵に力士生命を賭けるならば わしは
 わしは己の相撲道を賭けます!」
がっと拳を握り締め、玉嵐はそう宣言してみせるのだった

そして玉嵐と播磨灘との大一番が幕を開ける
一人は土俵にその力士生命を もう一人はその相撲道を 互いにその意地をぶつけんとする両力士
これまでの対戦では、両者上手をとった方が有利 先に上手をとった方が勝利するであろう

「天下の大関ともあろう者が 稽古で名売るとは恥ずかしいのう」
一回目の仕切り、玉嵐を挑発する播磨だが 玉嵐はその挑発に乗らず、一旦仕切りなおし…
播磨に向けて、鋭い睨みとともに言い放つ
「あんたが勝てば 相撲界は破滅だ」
0028粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/04(土) 17:23:48.49ID:???
さあ時間一杯 左の相四つ、立会いが全てを決する、とする実況
互いに鋭い眼光で相手を睨みつけ… 両者立ち互いの身体が激しくぶつかり合う!
そして両者その回しを掴み、体制はがっぷり四つだが、玉嵐は播磨の上手を切る事に成功
下手投げを仕掛ける播磨だが、さすがに強引過ぎたか播磨はさらに不利な体制になってしまう
玉嵐も上手投げを返すが、播磨これは片足が浮くもののどうにか残す
間髪いれず横振りで揺さぶり、土俵際まで持っていく玉嵐 
土俵際で残し、播磨は玉の廻しを強引に掴む だが廻しを取る位置がよくない
玉嵐の腕の上から掴む体勢では、播磨もその怪力は発揮できない…!

そして玉嵐は決めにかからんとその腰を落とし、播磨の身体を吊り上げる!!
だが吊り上げられながらも播磨は玉嵐の左の廻しを両手で掴むと
玉嵐の左側から強引にしぼりあげ、玉嵐の脚が浮いた瞬間
播磨が玉嵐の脚を思い切り蹴り上げ、その身体が宙に浮く!!
『に 二枚蹴り 強引―― 玉嵐の足のウラが光を浴びた』
そして玉嵐はそのまま背中から土俵に倒れ…愕然とした表情を浮かべて倒れる玉嵐に、播磨は言い放つ

「おんどれの稽古は 稽古のための稽古や 相撲道も精進も自己満足や
 おんどれ程の力があったら もっと上望まんかい」
その言葉に玉嵐は播磨をにらみ返すが… すると播磨、その腰を落としなにやら力を込め…

「そのセンズリ根性 わしが踏み殺したるわ―――」

播磨は四股の体勢で、倒れる玉嵐に向けその足を上げる!!
そしてその踏み付けが玉の頭をかすめ その瞬間、玉嵐の身体から白い何かが逃げ出していった
播磨のその暴挙に会場も騒然とするが
その光景を間近で見た行司は、玉嵐の身体から白い何かがひとつ、ふたつ逃げていったのを目撃したのだった

<第四話 たたきつぶす/おわり>
0029マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/04(土) 21:47:23.42ID:???
玉嵐への言葉を見るに
播磨灘は相撲取り全体の実力のレベルアップを促してるんだろうかね
…播磨の性格がアレでなけりゃ素直にそう思えたんだがなあw
0030マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/04(土) 23:04:21.47ID:???
実際横綱とはいえ播磨強すぎ
ほかの横綱もみんなこんなレベルなんか
0031粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/05(日) 17:39:19.14ID:uUmPbGtU
 ただ座ってるだけ それが この初老の多恵の1日であった

 視力を失ったのは1年前である
 そして一ヶ月前 視力を失った妻をかばおうとして夫は車に引きずられ死亡した

 父の不慮の死に 雨の中車をとばした息子はカーブを曲がりきれずダンプと正面衝突
 嫁 孫ともども夫の後を追った

 信仰深かった多恵は 信仰をすてた


 <第五話 放りあげる>


天涯孤独となった多恵だが、親戚の女性がそんな多恵を心配して色々面倒を見てあげようとしていたが
多恵は差し入れのお弁当に全く箸をつけず… うちの財産はみんな貴女に譲るという多恵
そんなすべてに諦めたような多恵に今日は一日付き添うことを決める女性、キヌちゃんだが
食器の入った棚を空けるとなにやら液体のはいった瓶 中をあけて調べてみると農薬だった
キヌちゃんも驚愕するがそんな様子をよそに多恵はラジオのスイッチを入れると
大相撲中継が、大音量で聞こえてきた

≪播磨灘です あの新横綱 播磨灘が入ってきました バカヤローシネー インタイダー イイゾニホンイチー
 激しい怒号と歓声 館内われんばかり 9日目の今日もまた我々をあざ笑うかのように
 おどろおどろしい仮面を被っております
 太く長いツノが頭の四方八方から出ています 表面はイボ そう イボ蛙のそれです
 まっ赤な口は耳までさけて そして長い白い髪が胸までたれています
 相撲界の頂点に立つのが横綱 その横綱が土俵入りにこんな事をして国技大相撲を地に落としていいのでしょうか≫
0032粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/05(日) 17:39:43.70ID:???
多恵はキヌちゃんにテレビで見てどんな感じなのか確認してもらう事に
テレビで見たその姿は、イボイボのついた悪趣味な兜のようで 地獄の鬼のような…
と言いかけて、地獄と言う響きは今の多恵にはよくないと思い止めるキヌちゃん
さらにラジオでは播磨の仮面が火を吐いたと伝え
多恵の頭の中には火を吐いた顎ヒゲがふさふさのイボガエルの姿が浮かぶ

「播磨灘って……なんなんだろうね なんでこうも生き急ぐんじゃろ
 それとも 1度はしてみたいあっかんべーじゃろか」
(顔が赤くなってる おばさんコーフンしてる;)

さて時間一杯 今日の相手は前頭筆頭、陸奥桜 多恵も頭の中でその戦いを浮かべる…

≪両者そんきょの構え…… 立った
 張った 陸奥張った張った張った 張った 5 6 7 8 9 陸奥猛つっぱり
 張った張った あ――っ さがったさがった 陸奥後がない≫
「えっ 陸奥桜のほうが後がない?」
土俵際まで追い詰められたイボガエルが、スイーと逆の土俵際まですっ飛んでいき
そして播磨の張りで、陸奥桜を一撃で土俵下に叩き付けたのだった 
そんな容赦ない勝ち方に、悪役の人相がそのままでてると洩らすキヌちゃん
……すると、多恵がひとこと呟く

「播磨灘…… 見たい
 ……キヌちゃん 私を国技館に連れてってもらえんかのう」
「え?でも国技館行ってもその目じゃ……」
「最期の頼みじゃ 後はもう なにも望みはせん」
0033粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/05(日) 17:40:08.20ID:???
そして人の波が凄まじい国技館を訪れる多恵とキヌちゃん
訪れた観客にキップをゆずって欲しい、と頼むキヌちゃん しかし当然その反応は冷ややかなもので
「キヌちゃんこれ……私がもってても使えないから」と、キヌちゃんに多恵の残したお金を差し出す
改めて観客にキップを譲ってもらおうと、今度は100万はありそうな札束を見せて頼む

どうにか国技館内部に入る事ができた二人 凄い人だかりで油断するとはぐれてしまいそう…
すると通路内に鉄仮面姿の播磨灘の姿が!その姿に観客達がいっせいに駆けつけ
その勢いで多恵はキヌちゃんから手が離れてしまう…!
ちなみに鉄仮面を被っていた播磨はニセモノでした 
その騒ぎで多恵はキヌちゃんとはぐれてしまうのだった…

そのころ会場内では播磨灘の今日の相手、大関若不動(わかふどう)が入場し歓声があがる
多恵も入り口の扉にもたれながらそのアナウンスを聞きとり、多恵に緊張が宿る
目の不自由な多恵は、会場内を手すり伝いにどうにか歩くが…誤って花道にでてしまう
(*花道 力士が土俵へ出入りする通路のこと)
注意されて慌てて戻ろうとするが、足がもつれてよろける多恵が何か、牛のような巨体にぶつかった 

「ばあさん 目が悪いようやの この国技館になにしにきた?」

多恵にそう言う牛のような巨体の主は、横綱 播磨灘であった
多恵はこの世の名残に播磨灘を見たくて来た、と答え…自身が播磨である、と名乗り
播磨は多恵の首ねっこを掴み、自身の胸板に多恵の顔面を押し当てた
時間もそろそろ、となり…播磨はそのまま多恵を抱きかかえる

・・・会場内が暗くなり、音楽と共に花道に照明が照らされる
だが次の瞬間、現れた播磨灘の姿に観客と実況が驚愕する その腕に多恵を抱きかかえたまま入ってきたのだ
会場内のテレビでその様子を見ていた理事長もあわてて飛び出す
会場内から溢れ出んばかりの播磨への罵声を、仮面から火を吐いてむりやり黙らせた
0034粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/05(日) 17:40:34.09ID:???
大相撲300年の歴史で、未だかつて女性を土俵の上に上げたことは無い
理事長もそれを止めようとするが… 播磨はその静止を無視し、多恵を抱きかかえたまま土俵の上にあがった
その光景に理事長も、若不動も震えて驚愕の表情を浮かべ…
そして播磨がその仮面を外し、なんともふてぶてしい表情を浮かべていた

『この顔 俺が神だといわんばかりのこの面
 狂気まさに狂気の沙汰 だかれてるおばあさんも苦悶の表情です なにがおきたのか』
「どなたもどなたもご高覧あれ これが横綱の中の横綱 
 日の下開山(* 相撲、武芸で天下に比べる者のないことの意)播磨灘の」
播磨灘はそう宣言し、高らかに叫びながら自身の右足を上げて力強い四股を踏む!
その衝撃に抱かれてる多恵も苦悶の表情を浮かべながらも
播磨は更に左足を上げ、力強く四股を踏み!!

「 土 俵 入 り や!」

会場内の皆に、その堂々とした雲竜型の土俵入りを見せ付ける!
その気迫のこもった土俵入りに、会場内の観客達も息を呑む…
そして播磨が立ち上がると観客からは歓声が沸き起こるのであった
「理事長 協会の面子を返すぞ しかとうけとれい」
そう言い放ちながら、播磨はなんと多恵を理事長に向かって投げつける!?
投げられながら多恵は満面の笑みで両手を合わせて播磨を拝むのでした
どうにか理事長がその身を受け止めるが
「ありがたや ありがたや」と播磨を拝む姿に理事長さらに驚愕
そして播磨は何事も無かったかの様に、のっしのっしゆうゆうと引き上げようとする
そんな播磨に記者たちが殺到 今の土俵入りや300年の伝統を破った真意を問うが

「わしは日ノ下開山 播磨灘や」 その質問に播磨はそう答えるのみであった
さらにおばあさんを投げ捨てた件に関しては「席案内」と語る 記者たちもさすがに言葉を失う
0035粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/05(日) 17:41:11.84ID:???
「ばっばかな どこの世界に案内で人を放り投げるんですか
 これは人道上ゆゆしき問題です そもそも横綱はお年寄りをなんだと思ってるんですか」
「年寄りは 国の宝や!」

堂々と言ってみせる播磨に、記者たちも呆気に取られてしまい
そんな様子をテレビで見ていたご老人たちは、皆でバンザーイと大喜びでした

それ以上追求しようとする記者たちを無視し、のっしのっし控え室に帰ろうとする播磨
その前に大関、若不動の巨体が道を阻むが…
「大関 道をあけい」 そう言い放たれ、若不動は僅かに視線を反らし退く
ゆうゆうとその場を立ち去る播磨灘 残された若不動の身体が僅かに震えていた…

控え室にて、記者達は今度は若不動にインタビューしようとするが
今は勝負前の瞑想に入っているとして、記者団にお引取りを願う
そんな中記者団の一人は瞑想する若不動の姿に、ある事に気づく

「おい 若不動がご本尊をひっぱり出してきたぞ」
記者が指し示す先には、不動明王の掛け軸の傍らで瞑想する若不動の姿があった
若不動は、夢枕に不動明王が立ち それから彼は不動明王を自分の守護神と信奉するようになり
四股名も嵐山から若浮動に変えてから、若不動は大関まで上り詰める事ができたのだ

瞑想中の若不動は、滝のような汗がその身から溢れ出ていた
今日一番の意気込み…それだけではない 今の若不動は、まさに不動明王が乗り移ったかのようだ

<神仏をも恐れぬ男 播磨灘! 地獄へ落とせ> 
若浮動に向け、不動明王がそう命ずる・・・

<第五話 放りあげる/おわり>
0036マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/05(日) 21:21:48.64ID:???
>「年寄りは 国の宝や!」

どこまで本気なんだろうかこのお方は
煙に巻いてるようで本心もありそうで、いろんな意味で真意がまったく掴めん人だ
0037マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/05(日) 22:42:27.13ID:???
土俵の格式とか伝統とかはないがしろにするけど
土俵入りとか、そういう相撲の作法自体はきっちり守ってんだよなあ
・・・今後も守る保証は無いんだけどサ
0038マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/06(月) 07:45:13.88ID:???
お年寄りに元気を与えてくれる播磨灘は横綱の鏡やな(棒読み)
0039粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/06(月) 17:09:36.65ID:uRXU5/WS
 <第六話 踏みつぶす>

若不動のただならぬ気迫を前に記者たちも息を飲む
そんな若不動の様子を、播磨にも話す記者
「フッ 不動明王か おもろいやんけ」 そんな言葉に播磨はそう呟く
…そろそろ播磨の出番となり、土俵に向かおうとするが
そこへ先輩横綱、北道山(ほくどうざん)が播磨に「負けんじゃねえぞ」と声をかける
引導を渡すのは俺だ、というような北道山の言葉に播磨はにやりと笑みを返し、仮面に手を掛ける

そして播磨が花道に入場 先ほどの土俵入りもあって今日は一段と罵声が激しい
播磨が入場したと聞いて多恵はありがたや、と両手を合わせていた
土俵前に播磨が座り、その対面には今日の相手 若不動が静かに瞑目し腕を組みその出番を待つ…

「に〜〜〜し〜〜〜 若不〜〜動 若〜〜不動
 ひが〜〜し〜〜〜 播磨〜〜灘 播磨〜〜灘」

若不動がその目を開き、播磨灘が仮面を取る!
そして両者土俵に上がり、今日の大一番が幕を開ける
土俵に上がる播磨灘に向けて観客からの凄まじい歓声と怒号、悲鳴が入り混じったような罵声が向けられるが
播磨はそれを見事な迫力の四股を踏み、観客もその迫力におもわず押し黙ってしまう…

花道ではこの一番を直に見ようという力士で溢れ 理事長も土俵の側、行司だまりにその姿があった
まさに相撲ファン達 いや、日本中の目がこの一戦に注目している
…両者塩をまき、仕切り線にて構えを取る…
0040粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/06(月) 17:10:00.81ID:uRXU5/WS
「神仏おがんで強かったら 神主坊主はみんな横綱やで」
「あんたはわしらの命 土俵を汚した
 この土俵を清めるのは塩じゃない あんたの血ヘドだ」

にらみ合う両者 共に一歩も引かず…
そして時間いっぱい 会場内に一際巨大な歓声が響いた

沸き起こる歓声の中、実況が若不動と播磨灘の取り組みと成績を解説
『見事に盛り上がった筋肉 右四つになればまさに横綱級
 "ケイコ場横綱" "巡業横綱"と陰口を叩かれていた平幕時代
 だが今や立ち合いの甘さを克服して見事大関
 今場所もほとんど差し勝って右四つで8勝1敗

 片や左四つ 播磨
 しかし今場所は四つ相撲のみならず 離れても他を圧倒して現在9勝0敗 24連勝中
 これまで対戦成績は播磨の8勝 不動の4勝 不動の4勝は全て右四つの組み手でした
 右差しで不動 左差しで播磨 ケンカ四つ』

……そして両者立ち上がり、二人の頭と頭がぶつかり合う!!
しかし若不動、播磨に左四つの廻しを取られてしまう 観客からも落胆の声が上がる
万事休すの若不動だが…

「南無…不動明王 我に 我に右四つを!他は望みません 我に右四つを与えたまえ」

若不動は播磨の腕の先にある廻しを強引に取ろうとし、見事播磨の腕を抜け播磨の廻しを掴む!
勝利を確信する若不動が上手投げを仕掛けるが…その投げに播磨の身体はビクともしない
まさに磐石の足腰を見せる播磨 何とか播磨を崩して播磨の上手を切りたいが…
こんどは吊りあげにいこうとするが…播磨の身体は岩のように全くビクともしなかった
0041粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/06(月) 17:10:30.38ID:???
「不動…… 格上と闘う時はの 右四つも左四つもない 己を捨ててがむしゃらにやらんかい
 頭をつけるんじゃ
 こういうふうにな もぐるんじゃい!」

そう叫ぶと播磨は不動の胸に頭をつけ、そのまま播磨の頭がごりごりと音を立てて不動の腹まで沈む
そしてそのまま播磨は不動が掴んでいた上手も切る 動転して上手に固執してしまう不動だが
そのまま播磨は、若不動の身体をブレーンバスター気味に持ち上げその背中を土俵に叩きつけた!!

「い 居反りだ」
思わぬ大技を目にし、理事長もそう呟く
稽古でもなかなか見れぬ大技で決め、播磨灘見事に25連勝
倒れて悶絶する若不動、その鼻からあふれた血がぽとりと土俵に落ちると
播磨の目がギラりと鋭さをおび 突如播磨はその足を上げる!?
慌てて逃げ出す不動、そして播磨はどすこーいと気合を入れた四股を見せつけ
その瞬間、土俵から白い何かが逃げ出していくのを目撃する浮動であった

「不動明王が泣いとるわ 四股名を返上せい!」

若浮動に向けてそう言い放つ播磨 
そしていつものように観客の罵声をものともせず花道を帰る播磨
…残された若不動は、ただ茫然とした表情をうかべるしかなかった…


<第六話 踏みつぶす/おわり>
0042マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/06(月) 19:34:52.49ID:???
勝ち誇るのは勝ってからにしろや
さすがにこれは若不動がなさけなさ過ぎる
0043マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/06(月) 20:30:49.45ID:???
>そこへ先輩横綱、北道山(ほくどうざん)が播磨に「負けんじゃねえぞ」と声をかける

ライバル登場かな?
不動戦がアレだっただけに横綱対決は期待しとくか
0044マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/06(月) 20:51:49.00ID:???
確かに何と言うか明日のジョーでいう所の力石めいた雰囲気はありそうだよな、北道山
0045マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/06(月) 21:52:14.63ID:???
・大勝負で神頼み
・勝負の途中で勝利を確信しておいて負ける
・勝負内容もほぼいいとこ無しの惨敗

これは不動明王も助走つけてラリアートぶち込みに来ますわ
0046粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/07(火) 17:10:40.54ID:vHmiuiwQ
 <第七話 あっかんべえ>

その夜の雷光部屋 若浮動を踏みつけようとした四股の件について記者団が殺到
その質問攻めに播磨は「あんたらの見た通りや」と取り合わない
しかし今頃は横綱審査委員会と理事長が横綱の免許を剥奪するかの会談が行われているらしいが…
(*横綱審査委員会:角界の識者により構成。国技相撲の横綱にふさわしい人物かどうか審査をする集まり)
だが委員の一人、大河内教授が今日倒れたとして中止になったそうだが…
そこへ老記者、北条さんが息を切らせながら播磨の前に出て、教授がたった今、亡くなったと言う…

「横綱 教授は数ある委員の中でただひとり 横綱を推しつづけた人です
 横綱昇進が見送りになった1度目の審議会でも強硬に横綱を推した
 2度目も成績に不足はないが言動に問題ありとまたしても見送られかけた
 それを教授が『地位が人間を作る 播磨も横綱になればそれらしくなる』
『もし今回も見送りならば自分は委員を辞める』と強硬に出たからこそあなたは横綱に推挙された
 それを横綱は 教授の立場もかえりみる事なく

 横綱にあるまじき行為を次から次へとしでかした
 教授が致命的なショックをうけるのも当然ですよ 間違ってますか」
「そのとおりや……死ぬのが 半年早すぎたわ」

播磨も教授の死に、僅かに目を細めそうこたえる…

そして教授の告別式 
大河内教授は数学の第一人者だが 彼は学問よりも相撲の方がもっと好きだった
子供のような目で土俵を見ていた、と語る記者 
歯に衣着せぬ言動の持ち主ではあったが、世俗的な損得勘定がない教授は嫌われることはなかったと言う
0047粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/07(火) 17:10:55.67ID:???
参列者の中には3人の横綱の姿もあった

「横綱 北道山(ほくどうざん)だ 血の気の多い彼も教授はよく批判してた
 でもかならず後で北道の方が礼に行ってた 今場所絶好調10戦全勝だ

 横綱 大江川(おおえがわ)
 素質は角界一だが人の良さから今ひとつ強さが表に出ない
 教授の悩みの種だった今場所も不調だ

 平成の双葉山 太刀風(たちかぜ)だ
 彼に関しては教授はもう目を細めるだけだった
 優勝場所22回 先場所 先々場所休場して 今場所あやぶまれたが
 どうしてどうして フタをあけりゃ10戦全勝だ
 ますます風格がでてきたぜ まさに円熟 横綱の中の横綱だよ」

しかし4人目の横綱、播磨灘はまだその姿は見えないが…
とはいえ記者団もさすがに彼がそこまで図太くても、この場にこれる筈が無いとする が…
喪服姿の一行の下に、播磨が来たとの報告が入る
教授の奥さんは僅かに沈黙しながらも「お通ししてください」とする

ぞろぞろとすり足で歩く、播磨灘のその姿になにやら仰天した表情を浮かべる一同
それもそのはず、告別式の場に現れた播磨は、羽織一枚に廻し一丁の姿であった
流石に協会の一堂もその姿には仰天 奥さんも唖然としてしまう

…そして、4人の堂々たる迫力を放つ横綱がその場にそろうのだった
0048粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/07(火) 17:11:20.89ID:???
播磨は教授の顔にかけられた布を取ると
「おお 極楽往生や」そういってのける その言葉に3人の横綱も僅かに表情が変わる…
当然相撲協会の面々もその無礼な物言いには大激怒し
協会の一人が播磨灘の横綱の免許を剥奪する!と叫ぶが…それを太刀風と北道山、二人の横綱が制止する

「お待ち下さい 播磨の免許剥奪の件 しばらく待ってもらえませんか」
「先生方 理事長 やりたいなら好きなだけやらせてやろうじゃないですか のう播磨」

二人の言葉に協会の方々からざわめきの声が上がり、播磨は横目で僅かにその二人を見やる…

告別式を終えて…帰ろうとする播磨だがそれを奥さんが引きとめる
播磨に向け、主人が言っていたとおりの人だと言う奥さん
「『播磨は世間と違う 自分なりの尺度を持っている!歩く火薬庫だ』ですって
 裸で通夜にくるなど私は絶対に許しません でも…… 主人はきっと喜んだと思います
 ……主人の 最後の言葉です」

―わ わしの目に狂いはなかった 播磨は大横綱になる……―

「主人は身体は小さいけれど 心の広い胆力のある人です
 横綱の不作法ぐらいでショック死するような人ではありません
 私はあなたを決して許しませんが 主人は……極楽往生だったと思います」

……その言葉に播磨は自分の着ていた羽織を、奥さんにかけてあげた
奥さんは主人に代わり、播磨を見届ける、とその羽織を両手で掴みそう返すのだった

一夜明け、今日の播磨の入場 きょうはさながら秋田のなまはげのような仮面を被っていた
すると仮面の口からペローンと舌が出た あっかんべえをするかのような播磨に理事長も怒りに震えるが
北道山と太刀風、二人の横綱は動じることなくその姿を黙ってみていた

<第七話 あっかんべえ/おわり>
0049マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/07(火) 20:36:50.27ID:???
前回も顔を出した北道山と、割と主張してくる太刀風に比べて大江川が目立たんな
一般的にはこういうタイプが一番厄介なのが定番ではあるが、どうも他の三人に比べて格が落ちる印象が否めない
0050マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/08(水) 07:36:54.62ID:???
播磨本人はいつもどおりの仮面のパフォーマンスだけど
今日に限っては、そのパフォーマンスが教授への手向けと思って…とかだったりして
0051粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/08(水) 17:01:17.03ID:rDqWuDiY
 <第八話 ぶっこわす>

花道から東の正横綱、北道山がその姿を現し観客から歓声が上がる
しかし今回の注目の一番は今日の播磨の相手、北道山の露払い、玄海との一番である
(*露払い:土俵入りで、横綱の先に立って土俵に上がる力士)
"壊し屋"の異名を取るほどの強烈なブチカマシを武器にしており、昨日も一人休場に追い込んでいる
『東前頭八枚目 9勝1敗 大声援をうけて頬を高潮させています 波乗り玄海』

控え室でも今日の相手、玄海に関して記者団からの取材を受ける播磨
老記者、北条が玄海と北道山との関係の件に関して話し始める
玄海は入門時、九州博多では怖いもの無しの暴れん坊だったが、とんでもない兄弟子がいた
その兄弟子は玄海を一目見るなり「面がでけえ」とその顔をぶん殴った その人物こそ北道山である
それから玄海は北道山への対抗心を燃やし、その一念で北道にぶつかり
北道もまたそれを幾度となく跳ね返し、玄海をなぶるようにかわいがったと言う
玄海のぶちかましも、北道に対抗するために磨き上げた産物である
そんな玄海の挑戦をどう受け止める!と北条も熱弁に力が入りつつそう問うが
…横から後輩力士がそーっと播磨に毛布をかけた

「横綱は一度寝たら 30分は起きませんのであしからず」

……おねむに入ってしまった播磨灘に記者団も絶句 どんな神経してんだと記者の一人も首を振る
いらだつ北条が一発ぶっ飛ばそうかとその手を振り上げようとして
薄目を開けていた播磨に北条も思わずドッキリしてしまう

「寝てるよ うす目あけて寝てんだよ 気味悪いな」
「あれだよ 小さい子供が時々見せるあの寝顔」

怒りのやり場がない北条が、歯?みしながらペンをへし折るのだった
0052粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/08(水) 17:01:44.62ID:???
そして播磨と玄海の一戦が幕を開ける 会場の歓声は完全に玄海一色
(大将 露払いさせてもらいます)
玄海は土俵の上から兄弟子、北道山に横目で視線を送る
そんな玄海に北道山も僅かにその目が鋭くなる 

一度目の仕切りの構えを取る両者 構えを取る播磨の目は、赤く光った凄まじい威圧感を放つ
玄海もその顔を真っ赤にして睨み返し、一度仕切りなおすとその大きい顔を叩いて気合を込める
顔面真っ赤の玄海、ギラつく眼光の播磨 共に気合十分、いや十二分

玄海はブチカマシの威力をフルに発揮させるべく仕切り線のめいっぱい後方で構えを取る
突っ込むか玄海、受けるか播磨

(そうだ玄海 播磨は絶対逃げん いや逃げられん
 お前の今までの土俵人生全てを播磨にぶつけるんだ)

……そして玄海、一気にその頭を突っ込ませる!!
「砕けろ―――」
「ぼけ―――」
それに対し播磨はその右手を振り上げ! 強烈な張り手が玄海の顔面を打ち
その一撃で玄海の身体が真横にふっ飛ばされ、行司ごと土俵の外に叩き落とす!!
まさに格が違う一撃に玄海は起き上がれず… 
播磨はこざかしい、とでも言うかのように鼻息一つつくのだった

<第八話 ぶっこわす/おわり>
0053マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/09(木) 00:03:56.89ID:???
漫画とは言えこの強さは千代の富士以上だ…どうすんだコレ
播磨灘が強すぎて他が雑魚にしか見えない
0054リンク+ ◆BotWjDdBWA
垢版 |
2017/11/09(木) 05:40:08.03ID:???
次は播磨新宮、播磨新宮です。
播磨新宮、千本の順に止まります。
0055マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/09(木) 07:30:17.98ID:???
試合前におねむになる播磨かわい・・・  無いな(何
0056粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/09(木) 17:08:37.71ID:Xve/+ZhR
 <第九話 突きとばす>

終わってみれば播磨の圧勝 飛ばされた玄海と行司は大丈夫であろうか
と、玄海は無事のようだ 行司も手を貸してもらいどうにか立ち上がる
で改めて行司が播磨に勝ち名乗り ぶっとばされてぶつくさ言いつつ播磨にご祝儀を送る
…播磨の眼光、その仕草に行司も思わずびくーっと滝のような汗が出てきてしまうのだった

あまりにも一方的なその勝負に会場内もまだどよめきの声が漏れる
無念の玄海、土俵に礼をし… 横目で鋭くこちらを睨む北道山に、玄海は僅かに目をそらしながらその場を下がる…
そして今日の大一番 横綱、北道山と大関、玉嵐の対決をが幕を開ける
播磨の相撲のあとだけに、北道山は気合十分 土俵の下では播磨がその対決を睨みあげる

そして両者、仕切りから立ち上がり 北道の巨体が真正面からぶつかり、玉嵐も苦悶の表情を浮かべる
そして北道が玉嵐の前みつ(* 廻しの前の部分)をわしづかみにし
そのまま玉嵐の身体を引きつけ、土俵端まで一気に押し込む電車道
土俵際まで追い詰めるとそこで足を止め、両足をがっちり開いて玉嵐を土俵際に釘付けにしその動きを封じ込める
…土俵下の播磨はそんな北道に「ふん 下品な相撲やで」そう呟いた
その言葉が聞こえたか、北道は激昂したかのように玉嵐の胸に突っ張りの一撃!
土俵下までふっ飛ばされる玉嵐 豪快ながら完璧な勝利をつかむ北道であった

今日の取り組みが終わり… 玄海がめんぼくございません、と北道に土下座をしていた
謝罪する玄海を立たせると…怒りの北道山がその顔面を滅多打ちに張り倒す!
流石に見かねた弟子たちが北道を止めようとするが、その怒りは収まらない
「やかましい てめえ俺に指図しようってのか」
「とっ とんでもねえすそんな事 お 俺はただ玄海関の気持ちを
 げっ 玄海関は今日の相撲を恥じて 大将の露払いをおろさせて欲しいといってるんす」

その言葉に北道もなあに、と反応し…
「ふざけるな」と激昂し、玄海を一際強く張り倒した
0057粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/09(木) 17:09:12.71ID:???
「俺の露払いはお前だ お前が大関にならん限り
 横綱北道山の露払いは玄海だ」
「た 大将」
「そのくさった根性 直してこい」
玄海に向けて北道山はそう叫び、今日のご祝儀を弟子たちにバラまくのだった

「播磨……教えてやる
 最強の横綱は誰か のぼせあがったその骨身に刻み込んでくれるわ!」

<第九話 突きとばす/おわり>
0058マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/09(木) 18:08:03.25ID:???
北道山の玄海他、弟子たちへの接し方が、何と言うか
気になるあの子に素直になれずについ手が出ちゃう(暴力的な意味で)系の
ラブコメものでよくあるアレにみえるw
0059マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/09(木) 22:37:08.52ID:???
似たような荒くれっぽいけど、そういやいまんとこ播磨の方は
あんまり弟子に当り散らしたり厳しい折檻したりはしないよな
おいおい播磨に心で負けてんじゃねーのか、大丈夫か北道山
0060粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/10(金) 17:32:13.43ID:VCXBWoer
 <第十話 にらみつける>

朝の商店街、魚屋の前 なんでも店主が見事な鯛を見かけ思わず買っちゃったらしい
しかし立派過ぎて店に出しても買い手なんかつかないと、奥さんが返しといでと旦那に言う
しばらく言い争いになる夫婦だが…その鯛に目をつけた人物がいた 播磨灘である
……播磨の鋭い眼光に、夫婦も思わず震え上がってしまう
見事な鯛、とにやりと笑みを浮かべて言う播磨にその鯛をかかげてさっそく部屋の方へ届けますという親父さん
…播磨がその場を立ち去り、夫婦も一緒に腰が抜けてしまうのでした

国技館の前にて、子供たちが北道山の姿を見つけサインをねだるが
その威圧感を与える形相に、子供たちも声をかけることができなかった
と、播磨もやってきたようで播磨でもいいや、とサインをねだろうとするけど
とうぜんながら子供たちはその姿に震え上がって近づくことすら出来ないのであった

控え室では、行司がその刀を僅かに抜いて思案する
(横綱の一番をさばく立行司(* 大相撲の行司の最高位)が脇差を差してるのは
 万一刺し違えたとき その場で腹を切るためと言い伝えられてるが……)
「まさに今日の一番は……刺し違えたらハラキリものだな」
刀を納め、行司も溜め息交じりでそう洩らす

会場内は既に満員 目的は勿論ひとつ 結びの大一番、横綱戦である
観客たちも北道、播磨どちらが勝つかで盛り上がっていた

控え室では記者団達が北道に取材中 記者たちの問いに、北道は一言だけ答える
「播磨はひとつだけいい事いったわ てめえは負けねえ最強の力士だと吠えた事さ
 これで誰が最強の力士か 誰が最強の横綱か興味がそそがれたってもんだ」
0061粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/10(金) 17:33:02.37ID:???
インタビューを切り上げ、北道は準備運動の四股をはじめる
播磨のほうも指導し、鉄砲を始める
(* 鉄砲:相手を突き飛ばす張り手の技 またはその練習)
流石に両力士共にこの一戦の重大さを認識している、と言うことであろうか 共に気合を入れる二人

…北道の方はそろそろ仕上げにかかる頃だが、播磨は鉄砲のみに専念していた
かれこれ一時間は柱を張り続ける播磨、播磨の全身から滝の如く汗が噴きだしていた
実況も観客もその播磨の様子に困惑を覚えていた様子で…

そして花道にはまず北道がその姿を現し、観客からの歓声が上がる
播磨も今日は仮面を三本ヅノのナマハゲに改めて入場
観客たちも罵声を浴びせながら播磨に座布団を投げつける ものをなげないでください
するとツノからなにやらプシューと霧が溢れ、その頭上に花火のように火玉が上がる
播磨が歩くごとに何度も火玉が上がるさまに観客達からも声が上がる 

が、突然播磨の仮面が燃え上がる!?
マゲに火をつけながら慌てて仮面を脱ぎ捨てる播磨 そんな姿に観客達から笑い声があがるが

 笑 う な

そういうかのように、播磨は観客達を睨みつける
そして何事も無かったかの様に、マゲを焦がしながら土俵に向かう播磨
……その姿に、北道の中の何かが プツーンと音を立てて切れた

そして両雄、土俵の側に座る 
その姿に行司もその表情を張り詰めさせながら、刀を握る手に力がこもる…

<第十話 にらみつける/おわり>
0062マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/10(金) 23:14:09.24ID:???
今年のスポーツ珍プレー大将はいただきっすね、横綱
0063粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/11(土) 17:06:20.84ID:DUF30aUX
 <第十一話 ぶっ倒す>

「ひが〜〜し〜〜 北道〜〜山 北道〜〜山
 に〜〜し〜〜〜 播磨〜〜灘 播磨〜〜灘」

ついに横綱決戦の幕が上がる国技館 観客たちの盛り上がりも最高潮
しかし大声援の向かう先はほとんどが北道山へのもの 播磨へ向けられるのは罵声ばかり
それもそのはず、あらゆる禁を破りさらには観客を黙れと一睨みしてみせた播磨
あの一連の騒ぎで一部いた播磨のファンも愛想をつかせてしまったとする実況
北道山も怒り心頭と言った様子で、荒々しく塩を撒いていた

北道山のスタイルはひき技、いなし技などを一切用いず
ただひたすらに前へと進む力強さを持ち味としている
その力強さは250キロの巨漢、富嶽をも正面から押し出しきれる程である
その力強さを惜しまず出しつくす二人が土俵の上で仕切りの構えを取り
…北道が播磨に向け、ただ一言告げる

「天下に横綱は ひとりだけだ」
「……横綱に 二言はないぞ」

播磨もそう返し、今にも顔がつきそうなほどの間近で睨みあう
その言葉を間近で聞いていた行司も、横綱を賭けて戦おうとする二人の姿に、脇差を握るその手に力がこもる…
0064粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/11(土) 17:06:47.30ID:???
さあ時間いっぱい 注目の大一番を力士達が 理事長が そしてもう一人の横綱太刀風が見ていた
北道が見事播磨を砕き、大相撲を守るか あるいは播磨の暴虐はまだ続くのか
……仕切りの構えを取る播磨は、頭から突っ込むような極端な前傾姿勢での構えになっていた
これを受け、後には引かぬ北道山も同じ構えを取り

そして両者が立ち、互いの頭と頭が轟音を立て激しくぶつかり合う!!
館内割れんばかりの歓声が起こり 両者共に廻しを取り組みあい右四つとなる
両者引きつけ北道の肩にあごを乗せようとする播磨だが その瞬間北道の太い右肘が播磨の喉に喰らい付く!
「死ねや――――」
その太い腕で喉ごと身体を押されのけぞる播磨に、北道の叫びが響く


<第十一話 ぶっ倒す/おわり>
0065粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/12(日) 22:37:36.55ID:7/oagloK
 <第十二話 しめあげる>

北道の肘が播磨のノドにがっちりと決まる これは播磨も苦しい
播磨も右下手を引きつけようとするが、北道が左上手を離してその右下手を引きつける腕に絡みつかせる
その関節を取り播磨の腕を完全に殺した 
さらに播磨の腕を締め上げる自身の腕を右腕に添え、ノドと右下手を同時に攻め立てる

ひじでノドを攻めるその格好から 鉈、と命名されたその技が播磨の右腕と喉を攻め
にやりと笑みを浮かべる北道山に、播磨もその眼を見開く
…じわじわと押され、ついに土俵際まで追い詰められる播磨 

そして北道がとどめとばかりに更に強くその身体を押し込む!
右手が使えず、強靭な足腰だけで踏ん張る播磨 すると播磨は残った右手で北道の廻しを鷲づかみにし
……今にも倒れそうな播磨だが、左下手一本でかろうじてこらえる

(こ このやろ……)
もう一度押し込まんとする北道だが…その体勢のまま播磨が土俵際から北道を押し返す
さらに自身の喉をきめる北道の腕に、播磨は自身のごっつい顎でその腕を挟みこんだ
土俵中央まで押し戻され、北道は播磨の喉を攻める右腕を引き抜くと
播磨の廻しを両手で掴む、両上手を取る体勢になる 播磨も両手で北道の廻しを掴むが
この体勢は北道の得意の型、吊りの型でもあった

「行くぞ播磨―――」
「ぼけ――ッ」

両者腰を下ろし、共にその身体を吊り上げんとする!!
0066粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/12(日) 22:37:53.88ID:???
両者が渾身の力を込め、全身真っ赤での力比べ その光景に館内の観客も固唾を飲む
……渾身の力相撲を繰り広げる土俵の上では、両者の歯軋りの音だけが静かに響く…

(我慢くらべだ 息つぎをした方が吊られる)
その力と、意地の相撲に勝つのは播磨か、北道か…
…そして先に我慢が限界に達したのは、北道だった

「ぼけ――― 吊りは腕やない 腰で吊るんじゃ」

力相撲を播磨が吊り勝ち、館内に悲鳴が溢れ出る
…だが自身の身体が吊り上げられたその瞬間!
北道はその足を播磨の膝裏に絡みつかせる外がけを仕掛ける!!

バランスを崩し、背中から倒れようとする播磨…だが
播磨は左足一本で立ちながらも、どうにかこらえてみせる…!!

<第十二話 しめあげる/おわり>
0067マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/12(日) 22:48:59.42ID:???
ん?なんかこれ北道山の方が主役っぽいぞ
いや播磨灘が悪役なのも確かなんだが
0068マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/12(日) 22:52:46.08ID:???
>…だが自身の身体が吊り上げられたその瞬間!
 北道はその足を播磨の膝裏に絡みつかせる外がけを仕掛ける!!

ここ思わずヒエッって声でた
んでページめくったら片脚一本でこらえるがけっぷちの播磨で一気にテンション最大値よ
作者も魅せ方がわかってるわw
0069粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/13(月) 18:58:08.74ID:JoyC1ZBV
 <第十三話 ひねりたおす>

片脚一本でどうにか残す播磨の姿に
まさに脅威の下半身、と実況も感嘆の声を上げる
北道は右足のつま先が僅かに付いているのみ その全体重を左足一本で支える播磨が笑みを浮かべる
その体勢のまま播磨はやぐら投げを仕掛けるが、北道も廻しを握る手に力を込め
北道も右足一本で土俵に残ってみせる…!

「おんどりゃ……」
「勝つのは俺だ」

互いに足を上げたまま、北道はその長い足を播磨の足に絡み付かせる
何が何でもこの体勢で決めようとするつもりだ 握り締める両上手も引きつける
両者崖っぷちのままで共に一歩もゆずらない、凄まじい力相撲だ

「北道 意地をはるな 足なんかはずしてブン投げろ」
「バカヤロ 足を外したら播磨がそのスキをついてくるわ」「北道 死んでもはずすな」

もはや一分以上はその体勢のままで力を振り絞る両者
引きつける二人の肩が、足が小刻みに震える 両者の身体はすでに限界を越えている…

そして播磨が仕掛け、北道の身体をじわりと押し始める…!
北道の身体が傾き始め…北道も播磨を横に揺さぶらんとするが

そのまま両者倒れこみ、北道の背中が土俵についた・・・!
0070粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/13(月) 18:58:48.91ID:???
播磨の内がけが見事に決まり、大歓声と共に大勝負への絶賛の座布団が館内に舞う
まさにこの一番は名勝負として語り継がれる勝負となるであろう
倒れこんだ北道の指は、廻しを掴んだ状態のまま曲がっているその様子がその戦いの凄まじさを物語る
実況も両者をあっぱれと称える……

だが 次の瞬間 倒れる北道の頭を、播磨が跨いで通った
その光景に会場はまたも驚愕 思わず飛び起きる北道に

「見てみい 起きれるやないけ
 かりそめにも横綱についた男が 土 俵 で 寝 る な 」

倒れる北道を指し、播磨はそう言い放つ
北道は今にも播磨に掴みかからんが形相で、その身を震わせ歯?みしながら睨む…
その光景には実況も播磨はもはや力士ではない、人間でもなく、鬼だと表する
…罵声を浴びせられる相撲の鬼が、ふてぶてしい顔で土俵を後にするのだった…

<第十三話 ひねりたおす/おわり>
0071マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/14(火) 16:12:27.44ID:???
そういや勝昭の表立った暴力事件って聞いたことないなぁ
893の盃受けたり拳銃所持したりハワイでサーフィンとかマンゴーアレルギーで
チンコ腫れたりとかエピが豊富過ぎてで隠れてるだけかも知れないけど
0072粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/14(火) 17:03:44.81ID:BQsapOMa
 <第十四話 どなりつける>

今日もまた播磨灘の暴挙に記者団が殺到
しかし播磨は終始渋い顔で記者たちの問いに何も答えない
控え室に戻った播磨に、相撲取りの髷を結う床山もこがした髷に苦い表情であった
髷を解くと、播磨の髪は逆立つかのようにぶわっと舞い上がった さながら髪の毛まで怒っているようだが
何を怒ってるんだ、と記者団たちもその様子に困惑
さらに敗北した北道山が、横綱を返上すると力士の一人が血相を変えて報告に上がる
その報告に…播磨も怒りが頂点に達したかのように、机を壁に投げつける!?
果たして播磨のその激昂の理由は何なのであろうか…

横綱を返上する、とする北道のほうにも殺到する記者団
その真意を問おうとする記者団達に北道は苦々しい表情で答える
「……横綱の力が ないからだ」
そう答える北道を説得しようとする記者達だが、北道の意志は硬く…

「やれやれ ひとつ負けたら引退だの 横綱返上だのってなにか大変だなぁ」
そこへ横からからかい気味にそんな言葉が聞こえてきた
飄々とした態度でそう語る大関 紫電海(しでんかい) 
北道もひっこんでろとただ一言告げるが、その言葉に紫電は肩をすくめ全勝なんて二の次と言ってのける
苛立つ北道が張り手をぶち込もうとするが、その一撃をひらりとかわしてみせる
さらに頭に血が上り紫電につかみかかろうとする北道を力士達が総出で押さえ込む
その隙にくわばらくわばらと逃げ出す紫電であった

「大関 1敗は1敗といいましたがそれは対戦相手に固執しない
 つまり明日の播磨戦も特別の相手じゃないって事ですか」
「といいたいけど 明日の1勝は最低最低15勝の勝ちはあるだろうな」
0073粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/14(火) 17:04:35.77ID:???
すると紫電、一度記者団達を下がらせると その場で華麗なバック転を披露してみせる!
その見事な身のこなしに記者たちも声を上げる
…播磨が最期に負けたのがこの身軽な身のこなしを誇る紫電海である
紫電戦での一敗がなければ、播磨は今頃40勝を越しているはず

「明日もこいつを決めますよ 懸賞を受け取る前にね」
そういって紫電は笑顔を浮かべながら親指を立てるのだった b

夜の雷光部屋、播磨灘が帰ってくるが …どうやら播磨の不機嫌さはまだ収まらないようで
雷光親方も帰ってきた播磨の姿にため息をつく
「ふー お前が引退する時 わしも廃業すると腹決めたからええものの
 腹くくってなかったら今ごろわしの心臓 きっと発作起こしとるわ
 ほんまに北道の頭をまたぐやなんて 折角横綱同士ええ相撲とってもなんにもなれへん
 客が怒るのも当然やで」

……ええ相撲、と言う言葉に播磨の表情が強張る 
そしてまた怒りに火がついたかのようにその身を震わせていた

晩飯に魚屋からいただいた立派な鯛の刺身を頂く播磨
播磨は一箸で鯛の刺身を端から端まですくって一口 
・・・なんだか不機嫌な様子の播磨に雷光部屋の一行も少々困惑
そこにテレビが今日の播磨対北道戦を写そうとするが、播磨はそれを「見るな!」と叫ぶ
力士一行も慌ててテレビを消し、播磨にお酒をついであげる事に
…播磨の顔面二つ分くらいありそうな巨大なカップに酒をなみなみと注ぎ
播磨はそれを一気に飲み干してみせる
そして酒の入った播磨が、自身のその怒りを吐き出し始める
0074粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/14(火) 17:05:00.58ID:???
「くそったれが 横綱のくせして根性ものう寝そべりくさって
 あんなフヌケ野郎と知っとったら 土俵中央にたたきつけるんやったわ

 あんな奴と重ねもちしたとは 播磨灘一生の不覚や」
怒りに身を震わせながら歯?みする播磨 
皆もあの北道を土俵中央に叩きつけるなんて無理だと言うが…
とりあえずガンガンお酒を注ぐおかみさん 播磨も豪快に酒をかっくらう

一升瓶を10本くらい開けて、だいぶお酒が聞いてきた様子
一斗も飲めばそろそろ、とおかみさんがその様子を伺う

「あ あかんちょっと酒屋走っといで とばっちりくるで」
顔を真っ赤にしながら据わった表情で酒をかっくらう播磨の様子に、おかみさんがそういうのでした

<第十四話 どなりつける/おわり>
0076マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/14(火) 19:34:48.63ID:???
あぁ、何となく作品の構造が見えてきた
「絶対に負けない横綱」のストーリーじゃなくて、「それに挑戦する力士達」のストーリーなんだこれ
破天荒で内面が分からない播磨に対し敵の方がずっとキャラクターが分かり易い
0077マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/14(火) 20:32:18.78ID:???
でも今回で、ある意味播磨の内面の一部は垣間見れた気がする
要するに播磨って自分に対しても相手に対しても、力士の理想が高すぎるんでは無いかなーと
そう感じるってだけだから、うまいこと説明しにくいけど
0078マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/15(水) 08:18:43.72ID:???
確かに主人公播磨灘が、相手の挑戦を受けて立つと言うよりも
ラスボス播磨灘に対しての、それに立ち向かう力士達という構図の方が合ってる気がする
ある意味で魔王対勇者チームみたいな王道物でもあるんだがなw
0079粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/15(水) 17:02:53.06ID:TxqgB/7O
 <第十五話 ふきあげる>

夜も吹け…ボロボロになった雷光部屋の一室と全身傷まみれの力士達
その横ではいいだけ酒をかっくらった播磨がようやく眠りについていたところであった
そろそろ大丈夫じゃないか…と兄弟子に確認を取りつつ、寝入った播磨をそーっと寝室に運ぼうとする一行
…カップをもっていた手がばたっと落ちて一行慌てて逃げ出した

改めて一行が総出で播磨を寝室に運ぶ だが力士の一人が階段を踏み外しかけてあわや大惨事になりかけた
どうにか起きなくて一安心、でそーっと寝室に寝かせて戸を閉めて…とりあえず安堵のため息をつく一同
1時になってどうにか収まり、ひとまず弟子たちもおやすみなさい

…隣のにわとりが鳴き始めた頃、部屋に振動が響く 
この力強い響きは播磨が四股を踏む音だ! あわてて飛び起き、廻しをしめる弟子たち一行
稽古場に入ると、播磨の身体から溢れる汗から凄まじい臭いがする 
播磨が飲んでた一斗分の酒が全て汗になって溢れでていたのだ
播磨は弟子たちを一列に並ばせぶつかり稽古 しかし播磨から溢れる酒のにおいにくらくらきてしまう

「だ 大丈夫やで みんなこれを辛抱したら強うなるからな」
そんな様子におかみさんも苦笑気味にそう呟くのであった
ボストに入った朝刊を見ると、紫電海がトンボ!という記事が目に付いた
こんなん播磨に見せたら収まりかけた火がまたついてまう、と言うが
その背後にすでに播磨が立っていたのだった おかみさんの静止も聞かずひょいと新聞を取る播磨であった
0080粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/15(水) 17:03:17.29ID:???
その頃紫電海の方は記者団達からの取材を受けながら近代的なウェイトトレーニング中
記者団の言葉に、古い人は苦手だなーとへらへらしながら答える紫電
さらに力で力をねじ伏せるなんて前時代の相撲でしかないと言ってのける
しかし記者も相撲の原点は力であり、その考えは短絡的では無いか、と反論するが

「川の魚には流れが変わりかけててもわからない 流れが変わって初めて気がつくってやつですよ
 中国の長い歴史の中でも 国が乱れてくると必ず野盗上がりのまがい物が 俺が新国王だって現れるでしょ
 でもそいつは必ず その後国を興すべき器をもった人物に倒される
 そしてその人物による新しい国家ができる なにか これ今の大相撲をほうふつとさせませんか?」
「そ それじゃなんですか 播磨灘がまがい者で 大関が新時代をつくる国王だと言うんですか
 つまり播磨は大関の 紫電海の露払いだというんですか」

「そこまでいっちゃ 横綱に悪いっすよ」
そういって紫電はからかい気味にウインクして見せるのだった

そうして今日の大相撲が幕を開け
今日の播磨は正統派の竜の仮面で入場 毎度の如く観客からの罵声が飛ぶが
すると播磨の背後から突如天井に届かんばかりのすさまじい火柱が上がる!?
昨日の火傷にも全く懲りてない播磨だが そんな様子にも紫電は不敵な笑みを浮かべていた
土俵では丁度、横綱 大江川が北道山を吊り出しで勝利したところ 
前半の不調を脱した大江川だが、それよりも北道がこうもあっさり負けるとは…
そんな様子に、記者の一人は以前紫電海が言っていた言葉を思い出す

―筋肉疲労は簡単にはとれませんよ ましてやあんな力相撲じゃまず48時間は疲労はぬけませんね
 僕の前に北道さんが取るからよーくみてるとわかりますよ―
0081粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/15(水) 17:03:38.12ID:???
北道が疲労しているなら、播磨も同様である 
紫電は自分が絶対勝てると言う確信があるからこそ、トンボを切るなどという大見得を切ったのであろう
もう一人の横綱、太刀風も上手投げで勝利し…そしていよいよ

「ひが〜〜し〜〜 紫電〜〜海 紫電〜〜海
 に〜〜し〜〜〜 播磨〜〜灘 播磨〜〜灘」

傍若無人の横綱と新時代を標榜する大関との一番が幕を開ける
紫電海の現在の体重は130キロ 
トンボを切れる今の体重がベストとし、200キロの体重をも凌駕すると豪語する紫電海

『播磨に最期に土をつけたのがこの紫電海
 先々場所千秋楽のその1敗で播磨は横綱昇進を見送られた
 播磨灘にとって紫電海との1敗はただの1敗ではなかったのであります
 力士でありながらトンボをきれる紫電海の瞬発力 反射神経 抜群の勝負カン
 そして強烈な出し投げです 右左 上手下手 どこからでも打てる しかも絶品のきれ味の出し投げ
 先々場所も絶好調の播磨をこの出し投げで土俵をわらせた 颯爽 紫電海』

実況が紫電海の紹介を終え、二人は仕切りの構えを取り互いに不敵な笑みを浮かべる

「おんどれいくとこ間違うたの 土俵よりサーカス小屋やったで」
「どっちかといえば 本来のあんたとやりたかったな」

不敵ににらみ合う速さと力 果たして今日の勝負を制するのはどちらか
そして両者立ち上がり、播磨の強烈なぶちかましが紫電の胸に突き刺さり、ふっ飛ばされる紫電だが
上手を取りにそのまま突っ込む播磨に対し、紫電は素早い動きで真横に回り播磨の上手を取り
即座に得意の出し投げを仕掛ける!!
よろめきながらもどうにか残す播磨だが、間髪いれずその身体を押し込み土俵際まで追い込む!

「あんたの筋肉はきのうの力相撲でヘロヘロだ 元気なのはからっぽの頭だけだよ」
紫電の挑発に歯?みしながらも上手をとりに行く播磨だがその瞬間即座に出し投げ!
播磨もかろうじて残すものの、紫電のそのスピードに完全に翻弄されてしまう
0082粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/15(水) 17:04:13.64ID:???
そして紫電がとどめを仕掛けようとするが
播磨は紫電の右膝を掴む事で何とか残し、続けざまに左膝もその怪力で鷲掴みにする
両足を押さえられ、動くに動けずもがく紫電
…息を切らせながら、播磨の口元が僅かに笑みを浮かべ…

「全国のみなさま とくとご覧あれ
 これが大関紫電海の ト ン ボ 返 り や」

そして播磨は紫電の身体を、思い切り宙に放り上げた!!

<第十五話 ふきあげる/おわり>
0083マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/15(水) 21:45:29.06ID:???
250キロを持ち上げるんだからそら130キロならこうなるよなあ
…何か言ってていろんな意味で感覚がおかしくなりそうだが
0084粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/16(木) 17:03:29.50ID:Hto2GsPC
 <第十六話 けしとぶ>

播磨に思い切り放り上げられ、紫電の身体が空中で一回転してしまう
思わぬ形で紫電のトンボを見る事になった観客一同 紫電もどうにか体勢を立て直そうとするが
その着地点は土俵の外側…! そこへ播磨が、落下する紫電の顔面を思い切り張り飛ばした!!

思い切り張り倒されて、西の花道を10メートルはふっ飛ぶ紫電
…筋肉は疲労しきっているはずだと言うのに 紫電も呆然とした表情を浮かべていた
座り込む紫電の前に、支度小屋に戻ろうとするもう一人の横綱、大江川がその前に立つ
……大江側に見据えられ、紫電もどうにか立ち上がる どうにかケガは無いようである
しかしここから東の花道を通って戻る長い道のりは紫電にとっても屈辱だろうと語る実況だが
…その前を播磨が立ちふさがり紫電を土俵に上げて帰そうとしない
そんな播磨に会場内もまた罵声が巻き起こり 紫電も歯?みしながらも何もいえなかった…

今日の相撲を終えて、観客たちも播磨の暴君振りには辟易していた
そこに先ほど姿を見せた横綱の一人、大江川の姿を見かける観客達 
客の一人が大江川に願いを託し、播磨を倒してくれと懇願するものの…

「ま……大江川じゃだめだろうな」
「わかんねぇよそんなの 播磨が土俵であんなに踏ん反り返ってても堂々としてたじゃないか
 あの貫禄は横綱そのものだよ」
「バカ 7勝6敗で なにが横綱だよ」

帰り道の大江川に、彼の親方が声をかけた
ちょっと歩こう、とする親方の言葉に頷く大江川 橋を渡ったあたりで親方が話を始める
0085粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/16(木) 17:04:00.92ID:???
「お前が新弟子の頃 お前は横綱 それも大横綱になれるといったの……おぼえているか?
 あの思いは今も変わってない 膝の故障さえなけりゃ太刀風 播磨の上だと思っている
 この1年膝の故障をだましだまして
 協会から大江川はどうした なにをしている 俺の指導はなまぬるいと非難を受けたが
 しかし今日の北道山との動きでその膝の心配は完全に払拭された 完璧だ
 膝さえ治ゃお前は誰にも負けない 素質の浪費と陰口をたたいた理事達をあっと言わせられる」
親方の言葉に頷きつつ、明日ケジメをつける、と大江川は答える
…ケジメとは即ち… そんな大江川の考えにバカな事は言うなと説得しようとするが

「わしも 横綱です」 
大江川の意志は硬い 親方もそれ以上は何もいえなかった…

自宅に戻った大江川を奥さんが出迎える 
ご飯にするかお風呂にするか、と奥さんが言うとそこに電話がかかるが
主人はまだ帰っていません、と電話を切る奥さん

「後援会からか」
「ううん 間違い電話
 相撲は玄関のドアまで 家に帰ったら田村正蔵さん」
そんな奥さんの言葉に大江川、改め正蔵さんも笑みを浮かべるのだった 
と、どうやらおなかの中の赤ちゃんが動いた様子 
あと二ヶ月で正蔵さんもお父さんです 満面の笑みの正蔵さんでした
0086粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/16(木) 17:05:11.63ID:???
テレビをつけると丁度スポーツ、大相撲の時間 
なんでも大江川の師匠 稲綱親方から重大発言があるそうだが…

≪大江川は私が発掘し育成した 天課の逸材です
 その天稟は歴代の大横綱に比肩すると思っております
 この一年 そして今場所7勝6敗と不調でしたが しかし中盤より本来の動きが出はじめ
 今日の北道山戦では完全に復活したといってもいい動きでした
 大江川が復活すれば播磨灘に負けるはずはありません
 もし明日 大江川が播磨灘に不覚をとれば それはその責は大江川にはありません
 大横綱たるべき大器を指導し損ねた私にあります
 もし大江川が負ければ 私はその日限り相撲界より身を引かせてもらいます≫

親方は、大江川が負ければ自身も引退すると宣言する
その言葉に正蔵さんは横綱 大江川へと戻るようにその表情が険しくなる…

その報告は雷光部屋にも届いていたようで
「横綱もつちゅうのは……こういうことなんやなあ」
雷光親方も溜め息混じりに呟き…そんな言葉に負けたら引退を掲げる播磨灘は
酒をかっくらいながらこう言ってのけるのだった

「そら親方冥利やで」

<第十六話 けしとぶ/おわり>
0087粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/17(金) 17:34:44.67ID:dn2bmJJj
 <第十七話 つきっぱなす>

翌日の稲綱部屋を訪れる理事長(今話で愛宕山(あたごやま)と名前が判明
記者団の追及を無視し稲綱部屋に入る理事長 
部屋に入ると、稲綱部屋の親方は土下座の体勢で愛宕山理事長を出迎えていた
理事長は昨日のテレビでの言葉を問い詰める 大江川へのハッパにしては茶番が過ぎる、という理事長の言葉に
むしろプレッシャーに弱い大江川には逆効果ではないかと指摘するが
大江川自身はそんなプレッシャーに弱い自分から脱しつつあるとしていた

大江川と弟子たちのぶつかり稽古中 
大江川は巨漢力士のぶちかましを真正面から受けながらもビクともしない
その光景に記者団たちも全盛期の大江川が帰ってきたと驚きを露わにする

「重心の低さ 腰の重さ そしてこの巨体 確かに才能は角界一だ」
「大江川が自然体で相撲とればどんな怪力無双の力士でも
 大江川を投げる事も 前に落とす事も 土俵の外に出す事もできません
 大江川は相撲をとるためにだけ生まれてきた男です
 天が授けた大器です」
「大江川は今必死です 播磨に負けたら引退を決意しています
 それに私のあの発言は茶番ではありません 本心です」
「茶番だ 関取が負けていちいち親方が廃業しとって土俵が成り立つか
 大相撲をなんだと思ってるんだ」
愛宕山理事長の怒声が響き渡るが…稲綱親方も引き下がらない
「お 大江川は私が見つけ育てた 大器です
 その大器が命をかけるのを なんで私が この私が指をくわえて見てることができましょう
 大江川が死ぬ時はこの稲綱も生きてはいません」

…そこに大江川も稲綱部屋前にその姿を現す 大江川も記者団の質問は相手にせず
稽古場にて顔を合わせる稲綱と大江川 その顔を見て大江川は無言で頷く
大江川のその様子に…理事長も確かに横綱らしい腹ができてきた、とする
0088粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/17(金) 17:35:42.76ID:???
大江川と稲綱親方が負けたら引退とする件に関して、播磨にもインタビュー
大江川もまた播磨と同じ条件で土俵に上がろうとしていると老記者北条が言いかけるが
…その言葉が播磨灘の逆鱗に触れたか、威圧的な形相で記者団を睨みつけるのだった

そして土俵の前に二人の横綱、大江川と播磨灘が姿を現す
あくまでも横綱らしく、堂々とした面持ちで入場する大江川
播磨の方は昨日と同じ竜の仮面を被り入場 しかしなにやら入り口で立ったままそれ以上進まないが…?
…竜の仮面の、その口に玉をくわえているその様子に… まさか、と花道に立つ人たちが逃げ出すと
その瞬間竜の口から火炎放射が放たれる!! これには客たちも職員も仰天するが
…大江川は動じず、ただ静かにその場に座る あくまでも己を誇示せんとする播磨とは対照的な様相であった

「ひが〜〜〜し 播磨〜〜灘 播磨〜〜灘
 に〜〜し〜〜 大江〜〜川 大江〜〜川」

そして注目の一番、播磨灘対大江川の大戦が幕を開ける
呼び出しがかかりゆっくりと立ち上がる大江川 
播磨も仮面を投げ捨てると、早くも鬼の如き凄まじい形相を浮かべていた

『7勝5敗 しかし 今日の土俵にすべてを賭ける 西正横綱 大江川
 13戦全勝 28連勝 東出張横綱 鬼神播磨灘

 横綱対決です』

互いに土俵入りし、大江川はあくまでも威風堂々、悠然としたたたずまい
「おんどれ程度で横綱やと 角界横綱だらけやで」
播磨の凄みにも眉ひとつ動かさず堂々と受け止める大江川 

「今の大江川を土俵に這わせる者は この地上にいない」

大江川のその立ち振る舞いに、稲綱親方も確信をもって言うのだった

<第十七話 つきっぱなす/おわり>
0089ちょっとミスがあった;
垢版 |
2017/11/17(金) 17:43:14.35ID:???
 <第十七話 つきっぱなす>

翌日の稲綱部屋を訪れる理事長(今話で愛宕山(あたごやま)と名前が判明
記者団の追及を無視し稲綱部屋に入る理事長 
部屋に入ると、稲綱部屋の親方は土下座の体勢で愛宕山理事長を出迎えていた
理事長は昨日のテレビでの言葉を問い詰める 大江川へのハッパにしては茶番が過ぎる、という理事長の言葉に
むしろプレッシャーに弱い大江川には逆効果ではないかと指摘するが
大江川自身はそんなプレッシャーに弱い自分から脱しつつあるとしていた

「大江川は今必死です 播磨に負けたら引退を決意しています
 それに私のあの発言は茶番ではありません 本心です」
「茶番だ 関取が負けていちいち親方が廃業しとって土俵が成り立つか
 大相撲をなんだと思ってるんだ」
愛宕山理事長の怒声が響き渡るが…稲綱親方も引き下がらない
「お 大江川は私が見つけ育てた 大器です
 その大器が命をかけるのを なんで私が この私が指をくわえて見てることができましょう
 大江川が死ぬ時はこの稲綱も生きてはいません」

…そこに大江川も稲綱部屋前にその姿を現す 大江川も記者団の質問は相手にせず
稽古場にて顔を合わせる稲綱と大江川 その顔を見て大江川は無言で頷く
大江川のその様子に…理事長も確かに横綱らしい腹ができてきた、とする

大江川と弟子たちのぶつかり稽古中 
大江川は巨漢力士のぶちかましを真正面から受けながらもビクともしない
その光景に記者団たちも全盛期の大江川が帰ってきたと驚きを露わにする

「重心の低さ 腰の重さ そしてこの巨体 確かに才能は角界一だ」
「大江川が自然体で相撲とればどんな怪力無双の力士でも
 大江川を投げる事も 前に落とす事も 土俵の外に出す事もできません
 大江川は相撲をとるためにだけ生まれてきた男です
 天が授けた大器です」
0090粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/17(金) 17:43:44.40ID:???
大江川と稲綱親方が負けたら引退とする件に関して、播磨にもインタビュー
大江川もまた播磨と同じ条件で土俵に上がろうとしていると老記者北条が言いかけるが
…その言葉が播磨灘の逆鱗に触れたか、威圧的な形相で記者団を睨みつけるのだった

そして土俵の前に二人の横綱、大江川と播磨灘が姿を現す
あくまでも横綱らしく、堂々とした面持ちで入場する大江川
播磨の方は昨日と同じ竜の仮面を被り入場 しかしなにやら入り口で立ったままそれ以上進まないが…?
…竜の仮面の、その口に玉をくわえているその様子に… まさか、と花道に立つ人たちが逃げ出すと
その瞬間竜の口から火炎放射が放たれる!! これには客たちも職員も仰天するが
…大江川は動じず、ただ静かにその場に座る あくまでも己を誇示せんとする播磨とは対照的な様相であった

「ひが〜〜〜し 播磨〜〜灘 播磨〜〜灘
 に〜〜し〜〜 大江〜〜川 大江〜〜川」

そして注目の一番、播磨灘対大江川の大戦が幕を開ける
呼び出しがかかりゆっくりと立ち上がる大江川 
播磨も仮面を投げ捨てると、早くも鬼の如き凄まじい形相を浮かべていた

『7勝5敗 しかし 今日の土俵にすべてを賭ける 西正横綱 大江川
 13戦全勝 28連勝 東出張横綱 鬼神播磨灘

 横綱対決です』

互いに土俵入りし、大江川はあくまでも威風堂々、悠然としたたたずまい
「おんどれ程度で横綱やと 角界横綱だらけやで」
播磨の凄みにも眉ひとつ動かさず堂々と受け止める大江川 

「今の大江川を土俵に這わせる者は この地上にいない」

大江川のその立ち振る舞いに、稲綱親方も確信をもって言うのだった

<第十七話 つきっぱなす/おわり>
0091マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/17(金) 18:12:32.59ID:???
今回の仮面は完全にショー・プロレスのギミックにしか見えない…
大江川はそれにも動じず泰然としていて良いキャラしているが
負けるんだろうなぁ…むしろ負けた後どうなるんだ
0092マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/17(金) 19:41:45.58ID:???
まー播磨が勝つのはわかってる以上、問題はその負け方だろう
仮にも横綱、北道クラスの死力を尽くした力相撲を見せてくれるはず
0093粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/18(土) 17:42:20.22ID:5MO8VWIZ
 <第十八話 たたきつける>
これから始まろうとする横綱同士の激戦に観客の興奮も最高潮
…負けたら引退を掲げる横綱同士の戦いに、二人の親方は何を思うか…
播磨、大江川、ともに左四つ 体格では大江川が有利だが

そして両者立ち、播磨のぶちかましを大江川がその胸で受け止める!!
凄まじい衝撃が館内に響く そして両者がっぷり四つ
その光景に稲綱親方もぐっとガッツポーズ
「播磨といえど 今日の大江川に投げは通じん」
大江川が播磨の上手投げを残し、そう声高に叫ぶ稲綱親方だが
続けざまに播磨は左から大江川の上手を掴む腕ごとその身体をすくい上げ!
播磨の放つ呼び戻しに、大江川の巨体が宙に浮き土俵にたたきつけられた!!

…なすすべない圧倒的力量差を見せ付けられ 稲綱親方も愕然としてしまう…
引退廃業を賭けた親方もこれでは泣くに泣けないであろう

『荒技 呼び戻し 別名 仏壇返し しかも今のは200キロの大仏返しだ
 場内ため息に変わっています 強い播磨 例によって敗者を見おろしています』

…すると播磨は、土俵に座り込む大江川に向け一歩近づく
一歩一歩・・・静かに大江川に近づく播磨の姿に、大江川は手だけで後ずさり
観客たちも大江川をなぶろうとする播磨に、やめてくれと懇願するが
…追い詰められた大江川は、くわっと険しい表情で播磨灘を睨むと…

「フン 一応力士の顔や
 わしゃ悟りくさった坊主を投げたかと思うて 気ィ悪かったで」

そんな大江川の姿に、播磨はため息混じりにそう言い放つのだった
0094粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/18(土) 17:42:41.78ID:???
……決戦が終わり、大江川の自宅
敗北した大江川に記者団達が取材を試みるが 
苦悶の表情で今日はこのへんで、と取材を切り上げるのだった

帰ってきた旦那にまずは水をあげる奥さん 正蔵さんが水に口をつけて、ため息ひとつ…
「播磨灘関って 強いんですね」
奥さんのその言葉に、正蔵さんはただ一言 「強い」 と返した
…そして…正蔵さんのその目から、涙がこぼれ落ちる…
食事の用意をする、と立ち上がる奥さんだがそこに相撲協会か、取材陣からの電話が鳴り響く
主人は留守にしていると奥さんが対応するが
何度も何度も電話が鳴り響くので電話線ひっこぬいた

食事の用意をしてからそろそろ一時間がたとうとするが…
「赤ちゃん やっぱりお母さんのおめがね通り あなたのお父さんはすごい人よ」
おなかの赤ん坊にそう話す奥さん 居間に戻ると…

「正蔵さん やはり引退します?」
正蔵さん…横綱、大江川の瞳から溢れ出る涙はもはやテーブルに涙の溜まりを作るほどになっていた…

<第十八話 たたきつける/おわり>
0095マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/18(土) 21:05:46.68ID:???
奥さん結構たくましいなw
負けはしたけどいい奥さんが支えてくれてるし、大江川も再起してくれるであろう
むしろ再起した後での一番こそが本番かも知れんな
0096マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/19(日) 11:20:57.75ID:???
しかしこれ、親方の見る目が節穴だったってならんかな ここまで圧倒的だと
もちろん大江川も横綱になれてる以上決して弱いわけでは無いのだろうが
0097粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/19(日) 21:09:08.83ID:stKAHdme
 <第十九話 ころがす>
夜のとある住宅前には、凄まじい人の波で溢れていた
彼らが出迎えようとしていたのは、今場所今だ負け無しの4人目の横綱、太刀風であった

帰ってきた太刀風の姿に一斉に駆け寄る人だかり
集まった皆が願うはただ一つ、播磨灘に引導を渡すことである
…太刀風の前に一人の老人が座り込んで、どうか播磨を倒して下され、と懇願する
土下座までする老人を前に、太刀風は静かに老人の手を取る

「お手をおあげ下さい
 あなたのような年長者が若輩の私にこのような事をしてはいけません」

今日の相撲のテレビ中継には、太刀風 対 北道山戦が映し出されていた
仕切りで僅かに立ち遅れる太刀風…いや、これは太刀風が得意とする後の先の立会い
一瞬遅れながらもその後の鋭い踏み込みで北道山の前進を止めてみせる太刀風
北道が上手投げを仕掛けようとするが、太刀風これを残し円を描くような足の動きを見せ
そこから捻りを加え、北道を見事に上手投げ一撃で一回転に投げ飛ばすのだった

こうして14戦全勝の太刀風 明日は同じく全勝の播磨灘との全勝決戦である
太刀風の極意は先ほど見せた円を描く足の動きにある、と語る老記者北条
さらにこれまでの対戦成績では太刀風の13勝、播磨が2勝と成績面で見れば太刀風が圧倒的有利だが…
「大一番に 過去の対戦成績はなんの意味ももちません
 今の播磨は強い おそらく江戸時代の谷風 雷電
 明治の太刀山 昭和の双葉山 その強さです」
静かに太刀風はそう語る… 
0098粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/19(日) 21:09:35.63ID:???
…すると、そこにちいさいおこさんが太刀風とーたんにとことこ寄ってきた あそんで欲しいようです
太刀風もそれに応え、二本の指で息子の太郎相手に相撲をとろうとする 
よたよたよってきてその二本の指を両手で掴む太郎 微笑ましい光景に記者団も笑顔になるが
指二本ながらしっかり相撲の形になっている その光景に北条も語る

「横綱は相撲を それこそ指の先まで相撲を体得しているという証拠だ」

指二本で捻りもくわえて見せて、本当に相撲になってる光景に記者団も驚きの表情
そしてくいっと指を動かすと、太郎の動きが空中で一回転してしまう 
まさにその光景こそ相撲の極地、円の相撲であるとする北条であった

所変わり雷光部屋、そんな話を播磨にも聞かせる記者団達
そんな達人の技を聞いて…播磨はフンと鼻で笑ってみせる
そんな姿に北条も偉そうにしてるのも今のうちだと心の中で吐き捨てる
……そんな北条を播磨が鋭く睨みつけるが…

するとなんだか玄関のほうが騒がしい なんだかおじいさんが播磨に対してくだまいてるようで
出てこい播磨と文句言ってると、仁王の形相の播磨が玄関から現れる!
慌てて逃げ出す老人と息子さんだが その播磨は作りモノの仮面でした
そんな姿に笑い声を上げる本物の播磨 おじいさんがまた文句言おうとすると
播磨は仮面と同じ仁王の形相で睨みつけ、今度こそ逃げ出した
大笑いする播磨に北条も呆れ顔
0099粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/19(日) 21:10:03.99ID:???
「年寄りをからかって面白いですか
 太刀風関の所でも 相撲を愛するお年寄りを見ました
 横綱 あんたのために歯?みしている年寄りが全国に一体何人いると思います
 あんたの破壊的行為は 何万何十万の年寄りの夢を砕いているんですよ
 楽しみの少ない老人の夢をね」
そう訴える北条だが、そんな言葉にも播磨は涼しい顔で

「ええこっちゃ 生活に張りができたがな」

そう返してのけるのであった

<第十九話 ころがす/おわり>
0100粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/20(月) 17:08:08.13ID:tC5UdCE3
 <第二十話 飛び上がる>

朝霧のかかる町並みに立つ、時津洋部屋の入ったビル
太刀風がまだ誰もいない稽古場にその姿を現し、誰もいない土俵に一人礼をする
そして一人四股を踏み、入念な準備運動 
そこへ他の力士たちもぞろぞろと集まり始めるが、稽古場に既にいた太刀風に一行びっくり
太刀風の姿はすでに汗でびっしょり、力士たちも遅れてないはずと少々困惑

太刀風は土俵の中に入り、仕切りの構えを取り立ち上がるが
……何かしっくり来なかったか、仕切りの構えから取り直す太刀風
どうやら型のケイコをしているようだが…その鋭さに力士たちも目を丸くする
「播磨だよ 太刀風にゃ播磨が見えているんだ そこにいるんだよ」
親方も姿を見せ、一人ケイコを取る太刀風を差しそう語る
一旦力士達を休憩させ、今の太刀風をよく見るように言う親方

その身から滝のような汗をあふれ出させながら、何度も何度も、型を取り直す太刀風 
他の力士たちにはどこが悪いのかまるで見当も付かないが…

「勝負に完全はない しかし完全に近い者が 勝ち名のりを受ける」

・・・・・・そして、太刀風はついに渾身の手応えを掴み取る
決まった、と太刀風も僅かに笑みを浮かべていた…

いよいよ嵐のような大相撲、九月場所も千秋楽
今日の千秋楽はまた一段と館内にざわめきたっている 

『大歓声です 一番ごとにボルテージが上がっていきます 異様な熱気です 両国国技館
 まるでその瞬間のために観客全員が自らをのせているようだ
 その瞬間 そうです 三役揃い踏み後の この一番です そしてその時が刻一刻と近づいてきます』
0101粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/20(月) 17:08:49.22ID:???
その一番とは そう、千秋楽の大一番 播磨灘 対 太刀風の決戦である
…それはそうと会場の客席ではなんだか力士達が集まっている様子 
なんだろうと客が声をかけるけど、力士たちは気にせんといて、と苦笑いを浮かべながら返した

『共に14戦0敗 賜杯をかけた全勝横綱決戦 いや賜杯だけではありません
 大相撲三百年の伝統と格式をかけてると言って過言ではありません
 しかも対戦成績が太刀風の13勝に対して播磨の2勝 否が応でも期待がふくらみます』

西方の花道にまずは太刀風が入場 土俵に君臨して7年、優勝回数22回のまさに大横綱である
東方にも、今日も竜の仮面で入場する播磨灘 毎度の如く観客からの大ブーイングが飛ぶが

すると竜の仮面を被った播磨も、突如ふわっと飛び上がる!?
その光景に観客たちも思わず目を奪われてしまう
(そのウラでは先ほどの力士達が、わっせわっせと綱を引いて空飛ぶ播磨を操作していました
…その光景を、表情も変えずただ黙って見上げる太刀風
さらに竜の仮面が空中に向けあたり構わず火を撒き散らす
その光景には雷光親方も、愛宕山理事長も、実況ももはや絶句するしかないのであった

<第二十話 飛び上がる/おわり>
0103マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/20(月) 21:12:29.21ID:???
仮面パフォーマンスも大分行きつくところまでいったなあ…w
しかしこんなに飛ばして、仮面ネタが持つのだろうか
0104粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/21(火) 17:29:03.85ID:urlOCwG+
 <第二十一話 大怒号>

国技館の空中を縦横無尽に飛びまわる播磨 さながら怪獣映画のような光景である
もはやいきつくところまでいってしまったその光景に…
仮面の入場をただ見過ごしたばかりに、この光景を許してしまった愛宕山理事長の心境はいかばかりか…
そしてその暴挙を止める事が出来なかった、播磨に負けた力士たちも唇をかみながら俯くばかり
太刀風ひとりが、ただ敢然と播磨を見据えていた

その裏では空飛ぶ播磨を支える力士達の涙ぐましい努力がありました
しかし流石にそろそろ力士たちもばてて来て… 綱を掴むその手がすべってしまう!?
そして落下しようとする播磨の身体 慌てて綱を支えなおす力士達
地上2mの所でどうにか止まり、なんとか大一番を前にしてその身に何事も無いですむ播磨
そしてそこからそ―――っと下ろし、播磨が地上に帰ってきた
ひょっとしたら今の落下も播磨の演出だったのでは無いか、と実況も少々困惑
裏では一仕事終えてすっかりバテバテの力士達の姿があるのでした

播磨がその仮面を脱ぎ捨てると、威圧的な播磨の素顔が早くも熱気を纏う
素顔を晒した播磨に怒号が飛び交う中東方の三力士(北道山、不動王、播磨灘の三人)が土俵に上がる
千秋楽恒例三役揃い踏みが始まってもその怒号は収まらないが
三力士がその罵声の中両手を叩いて足を上げ四股を取るが …播磨だけは四股の足を上げたまま
三力士の動きを播磨は合わせず…そしてその地をゆるがすような力強い響きの四股を踏む播磨
これには観客たちも思わず感嘆の声がでてしまうほどの迫力であった
0105粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/21(火) 17:29:52.87ID:urlOCwG+
『文句をいうな 黙って俺を見ろといわんばかりの威圧的な四股
 思わずその気迫に館内静まり返ります しかし半端力士ならいざしらず
 これだけ力を秘めた力士が どうして先程のようなバカげた事ができるのか
 仮面の播磨と素顔の播磨と 2人播磨がいるとしか思えません』

続けて西方力士、大江川と紫電海をしたがえ太刀風が土俵に上がる
こちらは正真正銘、見事に揃った四股を合わせる三力士 
これこそが様式美に満ちた国技大相撲 観客も太刀風の姿に大歓声が巻き起こる

三力士揃い踏みも終わり、まずは大関戦 若不動と紫電海の対戦
…土俵に上がる前に、若不動は播磨から力水を受け取るが その動作だけでも若浮動には緊張が走る

『土俵上 紫電海 若不動 しかし大半の目は土俵下のこの2人に注がれています
 西出張横綱 14戦全勝 太刀風
 東出張横綱 14戦全勝 29連勝の播磨灘
 土俵が円なら相撲内容も円 円こそ太刀風の相撲道
 その人格 品格も円 まさに大相撲の風格 その太刀風が静かに しかし悠然と見つめています
 
 かたや先人達の血と汗で築き上げた土俵を破壊する事を
 無上の喜びとするかのよう 播磨灘 これも鋭い目でにらんでおります』

二人の横綱が火花を散らす間で、大関戦が始まる 
土俵上の戦いは若不動が優位に立ち、紫電海を土俵際まで追い詰めるが
そこから紫電は逆転のうっちゃりを仕掛ける! 二人の身体が播磨の真上に落ちようとして
落下する二人の背中を、播磨の張り手が跳ね除けた
ある意味これ以上ないほど播磨らしい回避の仕方である 
二人とも痛がりながらも、勝負は紫電が制したようであった

そして、いよいよ…互いに全勝を賭けた、横綱決戦がはじまる……!!

<第二十一話 大怒号/おわり>
0106粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/22(水) 17:05:41.68ID:H3Q8ehlW
 <第二十二話 大激震>

『懸賞が回ります ともに14戦無敗 無傷の横綱決戦 大歓声です
 かたや暴虐の限りを尽くす 2場所連続優勝 29連勝中の新横綱 播磨灘
 かたや横綱在位7年 優勝22回 円熟の太刀風』

二人の対戦成績では太刀風が圧倒的に有利 否が応にも観客達の期待が高まる
本日はその大歓声を上げる観客達の反応を一つ一つ紹介していきましょう

蝶ネクタイをつけたいいとこそうな親子 息子の方は播磨のほうがかっこいいけどなーと声を上げるが
当然親父さんは猛反発 しかし息子も播磨の方は負ける気しないと返すのだった
その横で丸坊主のおっさんがお経となえながら手太鼓叩いていた

女性たちが揃って太刀風に声援を送っていたが、その横で着物のお姉さんがその様子をにらみ
着物のお姉さんは立ち上がって播磨灘に声援を送る 周りの人たちが白い目でお姉さんにらみ

「なによ ひいき力士応援してどこが悪いの
 播磨はサイコーよ 日本の関取全部敵に回してやっつけてんのよ あーあの目がたまんない」
「すいません この人酔ってますので;」

そんな様子におっさんも苦言を洩らすが、また別のおっさんがお姉さんの応援も一理あるとする
馴れ合いを断ち、全ての力士を敵に回す播磨はある意味でこれ以上男らしい人物もいないとするが
その言葉におっさんも嫌味で返す おっさん同士取っ組み合いの喧嘩になってる横で
太刀風の肌が気合が入っているかのように紅潮しているのに気が付く観客
冷静な太刀風にしては珍しいが これほどの大勝負であれば気合も入って当然であろう
だが播磨のほうも初日に比べ、一回り大きくなっている感じもするが…

手太鼓のおっさんはまだお経となえながらどんつくどんつくやってた うるせえ
0107粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/22(水) 17:06:07.55ID:???
「ゲンさんあんた…… 播磨か太刀風 どっちを応援するね?」
ゲンさんと呼ばれた太目の男にそう問うナイスミドルなおじさん 
…どうやらゲンさんも元相撲取りのようだが…
「確かにわしは角界から追われた身です あの古い習慣には未だに納得できません
 しかし わしは相撲が大好きです なにがなんでも 太刀風に勝ってもらいたい」

おじいさんも太刀風の応援をしようとするが、興奮しすぎて心臓を悪くした
お坊さんも太刀風に声をあげるが、万が一太刀風が不覚をとればわしも腹を切る!
とおじいさんはその場で刀を抜く!別の意味で騒然となる観客達 

また別の所ではおばあちゃんがおしっこ洩らしそうになってた
呼び出しが立ち、時間いっぱいか!と思われたが座りなおしただけだった
苛立つサラリーマン、ついつい咥える煙草も逆になってたり
静かに太刀風の勝利を祈る女性達…
ビールを注ぐ観客も緊張で手が震えてしまい…

土俵上では静かに火花を散らしにらむ合う両横綱 その姿に観客たちの興奮も大盛り上がり
手太鼓のおっちゃんも更にヒートアップするが
「うるせえんだよ」 手太鼓取り上げられた

そしてついに時間いっぱい! 観客たちの歓声がもはや絶叫のように響く
見事全勝を手にするのは大相撲の破壊者か、相撲道を極めようとする求道者か…
0108粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/22(水) 17:06:31.05ID:???
大一番、両者土俵に手を下ろし…播磨が立つと太刀風も僅かに遅れた後の先で立つ!
太刀風は播磨の強烈なぶちかましを、その鋭い踏みこみでとめてみせる
そして太刀風が播磨の上手を取る 太刀風の型、左四つに観客たちも勝利を確信するように沸き立つが
播磨はそこから太刀風の顔面、鼻っ柱に張り手を浴びせる そのまま顔面にぐいぐい押し付け
太刀風の顎が上がったところに播磨が上手投げを仕掛ける!
……だが太刀風も、その上手投げを得意の円の動きで凌いでみせる…!

<第二十二話 大激震/おわり>
0109マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/22(水) 21:39:11.63ID:???
わかりやすいつなぎ回だったw
ギャラリーの反応も三者三様でいいなあ
0110粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/23(木) 17:49:59.22ID:WfXdOfEz
 <第二十三話 大転回>

播磨の強烈な上手投げを、太刀風は得意の円の動きで残す
しかし播磨は即座に太刀風の頭部を掴むと、強引にその頭を抑えつけんとする
太刀風の頭ごとその身体を押さえつけながら土俵の外にひきずきこまんとするが
つんのめながらもこれも残す太刀風 
播磨も渾身の力を込め、押さえ込む太刀風をそのまま押しつぶそうとするも
播磨の鬼の如き腕力をもってしても、それでも太刀風は崩れない…!
播磨も苛立ちながら太刀風を振り回す ぐるぐる回る播磨と太刀風

「ばかめ 我慢できず投げに出おったわ 
 それこそ太刀風得意の円運動だ 墓穴を掘ったわ播磨」

そして太刀風は一瞬の隙を突き、播磨の廻しを掴む! 
さらに播磨が掴む太刀風の上手も切りながら腕を押し上げ
播磨もバンザイのように両腕が上がってしまう
「相手に力を出させず封じきる それが負けぬ相撲だ
 太刀風もだてに22回も賜杯を受けておらん」
播磨も上がった両腕を伸ばし、閂を決めにかからんとするが
(閂(かんぬき):もろ差しになった相手の両腕を外側からかかえこんで絞り上げる技。)
その瞬間太刀風は自身の腕を外し、播磨の閂を空振らせる 
まさに相撲を熟知しきった技の冴えを見せ付ける太刀風
0111粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/23(木) 17:51:23.50ID:???
この展開は播磨が太刀風に負ける際のパターンだとする雷光親方
播磨が前半に攻めてても後半には巻き返され最期には土俵を割られてしまう…

そして播磨が太刀風の上手を掴みにいった瞬間!
捻りを加えた太刀風の動きが、切れ味鋭い上手投げを放つ!!
その投げに播磨もその身体が浮き上がってしまうが

播磨は仁王の如き強靭な足でしっかりと土俵を踏みしめ、太刀風の投げを残してみせる…!
そして踏ん張った体勢のまま太刀風を投げんとする播磨 
さらに太刀風も投げに出る!上手と下手の打ち合いだ!!
共に強引ながらも、互いの金剛力を振り絞り 両者その足を浮かせながらこの技で決めにかからんとする…!!

<第二十三話 大転回/おわり>
0112粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/24(金) 17:32:10.83ID:odnAckwI
 <第二十四話 大怪力>

互いにその身を傾けさせながら、相手を投げんとする横綱両者
だが両者苦悶の表情で汗をあふれ出させながらも、その身は土俵に落ちない…!
両者、全身真っ赤になりながら満身の力を一点に絞り投げを打ち合う!!

……だが二人とも次第にその身体が浮き上がり始め、上がっていた足も土俵に降ろす
体勢を戻し、仕切りなおす両者 太刀風が播磨の廻しに手を伸ばそうとするが
播磨の太い腕が太刀風の左差しを阻む どうにか左を差したい太刀風だが播磨もそれを許さない

「こせこせしくさって これがおんどれの限界やの」

厳しい形相で言い放つ播磨に太刀風も表情を歪める
そして播磨が太刀風の左腕を掴むと
「死にさらせ―――」
そのまま太刀風の腕を引き降ろしその手を土俵につけんとする!
…どうにか残すが、こともあろうにこの大勝負にお手つき狙いの播磨に観客も大ブーイング
しかしその大顰蹙も意に介さず、またもお手つきを狙う播磨
播磨灘の相撲には恥も見得も外聞もなく、ただ勝つのみである
その播磨の手を振り切らんと円相撲を仕掛けんとする太刀風だが
播磨の怪力に押さえつけられ、円を描くことが出来ない太刀風
0113粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/24(金) 17:32:31.40ID:???
そして三度、太刀風の腕を引き降ろす それを苦悶の表情で耐える太刀風
その腕力は先ほどの投げ合いでも十分に証明済み、太刀風とて力では負けてはいないが…
互いに渾身の力を振り絞りその腕を押し合う両者だが
……ついに力尽き、太刀風の手が土俵についた
その決着にどよめく館内 たしかに手つきは相撲の四十八手にもない恥知らずな手だが
両者の全力を一点に集中させた、素晴らしい勝負だったと実況も語る

息を切らせながら膝をつく太刀風だが…
突然播磨がその廻しを掴み、膝をつく太刀風を投げ飛ばす!?
ごろごろ転がされて、睨みつける太刀風に 播磨は敗者を見下ろして言い放つ

「円がどうのこうのいうとったら わしは倒せんで」

その光景に観客も大騒然となり、国技館に座布団と観客の怒号が飛び交うのであった

<第二十四話 大怪力/おわり>
0114粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/25(土) 17:02:32.60ID:iMUHUobz
 <第二十五話 大パレード>

「ヒョー
 ショー
 ジョー」

千秋楽の名物、バーナードさんからの表彰状授与式
しかし播磨の優勝とあり観客もいまいち湧きが悪い様子ではある
咳払いをしつつ、バーナードさんがアドリブ混じりで表彰状を読み上げる

「播磨灘勲殿 オンどれは鬼のような相撲で15日間群がる力士を倒しよった
 ただただ強いオンどれをここに表彰します PN空港日本支配人 J・バーナード」
『おなじみアドリブたっぷりの表彰 しかも実に的を射た表現
 まさに播磨は土俵を蹂躙する鬼です』

バーナードさんがよたよたとしながら播磨にトロフィーを授与しようとすると
播磨がバーナードさんをひょいと抱え上げると
トロフィーだけとってバーナードさんの身体をぽいっと投げ捨てるのだった

播磨の優勝パレードは、凄まじい人だかりを生み出すほどであった
その様子をテレビで見てた記者たちも目を丸くし
記者の一人がその様子にニューヒーローの誕生だと叫び、播磨灘の時代が来たと言うが
その言葉に老記者、北条が真っ向から反論し、播磨はただの破壊者に過ぎないと言う
だがおっさん記者も播磨のパフォーマンスばかりで肝心の相撲を見ていないとする
今までに見たことのない圧倒的な力で相手をねじ伏せる播磨のその力相撲が、これだけの人を集めたのだと主張するが
それでも北条は自分の主張を曲げず、二人は取っ組み合いの言い争いになるのでした
0115粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/25(土) 17:03:18.18ID:???
相撲協会のほうでも、太刀風を持ってしても播磨の暴挙を止められなかった現実に頭を悩ませていた
播磨を廃業させるのは簡単だが、ここまで世間が騒いでいる現状それもできない
…今にして思えば、初日のあの仮面入場のときに廃業させるべきであった
もはや状況は愛宕山理事長が辞任するだけではすむ問題ではなく、どう責任を取るのか問うが

「わしは逃げも隠れもせん 播磨は300年の歴史ある大相撲に汚点を残した
 それを見過ごしたのもわしなら 決着をつけるのもこのわしだ
 次の九州場所 この命に変えても 刺し違えても 播磨を止める!!」

また別の場所の千秋楽打ち上げ会場では、北道山の姿があった
会場に出席した人たちは大関に落ちる北道山に
今からでも格下げを考え直すよう説得しようとするが、北道山の意志は硬く… 
北道が酒樽の蓋をぶち割ると、その1斗樽を抱え込み一息にその酒樽を飲み干すのだった
その光景に皆も、北道こそ天下に一人の横綱だ!と声を上げる

「九州場所 播磨を地獄に落として真の横綱 北道山の誕生だ」
打ち上げ会場に並ぶ人たちの言葉と共に、北道はその目を見開く…!

また場面は変わり、大学病院の待合室では大江川の姿があった
その周囲には記者達もおり、大江川に引退か否かを問うが
するとそこに、分娩室から赤ん坊の泣き声が聞こえ、その泣き声に大江川が立ち上がる
「おめでとうございます 横綱に似たジャンボな男の子です」
どうやら奥さんの子供が無事生まれたようだ 大江川がその子を抱きかかえ…

「わしは泥をかぶります そしりを受けようと 罵声をあびようと
 わしは 土俵に上がります」
新たに生まれたわが子を抱きしめながら、大江川はそう決意を抱くのだった
0116粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/25(土) 17:03:44.14ID:???
…さらに別の場所では、太刀風がどこにもいないと言う
親方も行方を捜していたが部屋にもいないし、めぼしいところは全てさがしたのだが…
はたして、その行方を消した太刀風の真意とは…

雷光部屋に帰ってきた播磨灘とそれを追いかける人たち
播磨がパレードの車から降りると…群衆の中へ播磨は魚屋、と声をかけると
雑踏が避けてくれて、以前播磨の部屋に鯛を上げた魚屋が優勝祝いにでっかい鯛をもって現れた
しかし播磨はその鯛を見て「2匹たらん」とする
実は同じ雷光部屋の紀州灘、日向灘の両名も無事優勝を勝ち取ったそうで
特に日向灘は幕下優勝、来場所は十両間違い無しと言われ、ちょっと照れる両名
まさに破竹の雷光部屋に、ギャラリーも皆で万歳するのでした

「何もなかったら……万々歳やけどな」
「いや 万々歳や」
少しばかり表情が曇るおかみさんとは対照的に、雷光親方は満面の笑みを浮かべていた

部屋の中で巨大な盃に日本酒の一升瓶を15本分もなみなみと注ぎ込む
その1斗半のサイズにもなろう大量の酒が注がれた盃を播磨が抱え込み
一気に飲み干すその姿に、外で見ていたギャラリーも歓声をあげるのであった

<第二十五話 大パレード/おわり>
0117粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/26(日) 17:47:32.26ID:0jUzZXOY
 <第二十六話 ごめん下さい>

夜も更けた雷光部屋の前、のらいぬの遠吠えが響き渡るその通りに
ひたひたと足音を立てる、着物を着た女性の姿があった
のらいぬもその姿に気づき威嚇するように唸り声を上げるが
その女性の異様さにのらいぬも怯み、物影に隠れてしまった

するとその女性は、「ごめん下さいませ」と雷光部屋の入り口を叩く
力士の一人が起きて、尋ねてきた女性に対応しようとする
なんでも尋ねてきた女性は、横綱にお願いがあると言うが…
明日から巡業だし横綱もぐっすり寝ているのだが…ひとまず入り口を開けて追い返そうとするが
入り口を開けて現れた、能面を被ったその女性の姿に力士も飛び上がって驚いてしまう
あわてて親方とおかみさんを起こして、二人にもその女性の対応を願う

能面の女性は横綱、播磨に会いたいとの言葉に…おかみさんが何か察した
播磨が女性になにかしたのではと問うが、そういうわけでもないそうだが
しかし能面の女性は、用件は横綱に直接でないと申し上げる事はできないとする
そこで女性は、横綱が起きるまでここで待たせて欲しいと頼むのだった

しょうが無いのでとりあえず女性を居間に入れることに
話が出来ないなら、せめて仮面だけでもとってほしいとするが…
能面の女性は深々と頭を下げるのみであった
…しょうがないので最初に対応した力士に播磨を起こすようにいう親方
親方のその言葉に、頼まれた力士も心臓が飛び上がってしまう
0118粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/26(日) 17:47:48.29ID:???
…こんな因果に巻き込まれて、ため息をつきながらも
寝ている播磨に声をかけようとするが
…なんだか二階がどたばた騒がしくなり、播磨に追い出された力士は階段を滑り落ちてしまうのだった

「寝入った播磨を起こすいうのはこういうことなんですわ」
「申しわけありません」

仕方ないのでおかみさんが立ち上がり、改めておかみさんが寝ている播磨に声をかける
いびきを立てる播磨に起きてくださいませ、と声をかけるおかみさん
二回ほどそう言うと、播磨のいびきが止まり……

二階からどすどすと降りてくる足音が聞こえ
居間に寝起きで不機嫌そうな播磨灘が入ってきた
おかみさんが能面の女性に用件があることを伝え、播磨がその女性を一瞥する
「フン 女播磨か 用はなんや」と、どかっとその場に胡坐をかくと
能面の女性が三つ指を突いて答える

「横綱…… 私をどうか 横綱の妻にお娶り下さいませ」

その爆弾発言におかみさんも親方も驚愕 メチャクチャ言い出す能面の女性に呆れながら
第一嫁にしてもらおうと頼む側が、面で顔を隠すのはどういう事だともっともな事を告げるが
0119粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/26(日) 17:48:01.15ID:???
「ごもっともです でもこんな話女の私には 素顔ではとても話せません
 今では面の下は火のように赤くなっております」
俯きながらも能面の女性もそう言って…播磨に返答を求める
…播磨はただ一言、能面の女性の気持ちが本心であるかを問う 

女性もその問いに頷く と言うことで播磨の嫁さんに選ばれた能面の女性だが
当然雷光親方も猛反発 事が事だけに、酒が残っていたといってすむような話ではない
が、親方の怒声を播磨は意に介さず能面の女性を側に寄せると
播磨は女性の能面の、その顎を掴みあげる!
しかし仮面の顎を掴んだまま、播磨はその能面の奥にある素顔を無理矢理に覗こうとはせず
震える女性から、播磨がその手を離すと
播磨はさっそく、祝い酒を求めるのであった

<第二十六話 ごめん下さい/おわり>
0120粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/27(月) 17:18:09.57ID:0K77/+u2
 <第二十七話 鬼が出るか蛇が出るか>

朝日が昇り、すずめがちゅんちゅんなきはじめた頃
播磨は婚約祝いにいいだけ酒をかっくらい
また大いびきをかいて寝ている播磨を力士たちが総出で寝室に運んでいた
居間の方はさながら台風が過ぎ去った後の光景が広がっていた 
今日から巡業なのだが…おかみさんもため息まじりにそう洩らす
能面の女性も片づけを手伝うが、そんな彼女におかみさんが先ほどの播磨の言葉に関しては
酒が残ってた上での言葉だとするが

「いえ 横綱は酒が入っていたからといって いいかげんな事をいう人ではありません
 私を嫁にするといわれた横綱の言葉を信じています」

…そういいながらも、能面の女性は僅かに俯き震えた姿を見せる
「ごめんなさい 私……うれしくて」
「そらまあ……ほんまやったらうれしいやろけど」
「そやけど面のままやと泣きにくいやろ とって泣いたらどうや」

二人の言葉に、能面の女性は庭を借りるとその面を外してその顔を両手で覆う
と、お隣さんのおじいちゃんも目覚め朝の準備運動
……だが、隣の雷光部屋のほうからしくしくと泣く声が聞こえる 
何かと思い壁の隙間から隣をのぞくと、顔を覆い泣き声を上げる女性の姿があった 

(若い女が夜明けに泣いている…… 播磨のいる雷光部屋の庭先で……)
「! やったな播磨!」
その姿におじいちゃんも、至極当然の結論に至った
0121粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/27(月) 17:19:01.75ID:0K77/+u2
巡業の準備中の雷光部屋の力士達 
しかしそこに突如記者団が押しかけてきた
なんでも播磨が若い女を暴行したと聞き、我々の目は誤魔化せないと言い放つ記者団達
…勿論部屋の力士は誰も喋っていないのだが
しかししらばっくれてもネタは上がっていると食い下がる
その様子に、能面の女性がでたら向こうの思うつぼ、とおかみさんは二人物影で様子を伺う

「土俵の上でも極悪非道なら私生活も極悪非道
 今日こそ播磨は天のさばきを受ける日だ」
指を差してそう宣言するリポーターだが、そこに播磨がぬうっと姿を現し
記者団は慌てて玄関から逃げ出した 玄関の外で何とか言えとする記者たちだが
播磨はくいくいと外に出た記者たちに指を向けてこっちに来るよう目配せする
…身を強張らせながらも播磨の下へ近づく記者たちに、播磨が告げる

「おいええ事教えたろ わしゃこれから婚約発表する 他の連中にも知らせ!」
播磨の言葉に親方も記者団も仰天 
物陰に隠れていた能面の女性も、播磨の言葉にその場にへたり込んでしまうのだった

そしてその婚約会場、おしよせる記者たちも半信半疑だが 
その会場内にて播磨の隣に座る、能面を被った女性の姿があった 横で雷光親方も少々苦い顔
テレビで見ていた理事長も、播磨のその宣言に怒りを露わにするかのように机を叩く

とあるおばさんも播磨の花嫁になるとのことに、物好きな子もいる者と呟くが
記者団がまずは花嫁の紹介を播磨に求める が
0122粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/27(月) 17:19:24.71ID:0K77/+u2
播磨は能面の女性に「誰や?」と問う その言葉に記者も首をかしげ
これには事情があるとする雷光親方だが、能面の女性が変わりに名乗る
「前田 亜希子でございます」
その自己紹介に、テレビを見ていたおばさんもぴくりと反応を示す
…会場の方は名前も知らない婚約相手にざわめきの声がでてくる 仮面をとって顔を見せて欲しいとするが
「ごかんべん下さいませ 横綱にもまだお見せしておりません
 横綱は面のまま私を受け入れてくれました どうかこのままお続け下さい」
と語る能面の女性、前田亜希子さん だがとうぜん記者たちもそれで済ませはせず矢継ぎ早に質問が飛ぶ
…すると播磨はおもむろに彼女の能面を掴みあげる!
面を掴む指に力を込めると、能面に縦真っ二つに亀裂が走り

真っ二つに割れた面から、美しい女性の素顔が現れた

やはり彼女はおばさんが知る人物のようで、テレビに写るその姿にみかんを落としながら驚愕してしまう
そして素顔の亜希子と、播磨灘が初めてその顔を合わせ…
「日の下開山 横綱 播磨灘の嫁は お前だ」

播磨の言葉に…亜希子はその瞳から大粒の涙を溢れ出させながら、笑顔を浮かべるのだった

「心して嫁いでこい」
「はい」

<第二十七話 鬼が出るか蛇が出るか/おわり>
0123マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/27(月) 18:19:13.13ID:???
対戦相手の家庭環境が人情モノのノリだったのになんだこれ…
どこまでも播磨は共感「できない」キャラとして描くつもりか
0124マロン名無しさん
垢版 |
2017/11/27(月) 19:39:59.61ID:???
これはさすがに播磨が「豪快」では片付けられない問題ではあるわなあ
というか女性読者に(いればの話だが)割と叩かれそうな話でもありそうw
0125粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/28(火) 18:09:40.02ID:plne3Pzc
 <第二十八話 わっしょい>

婚約発表も終わり、雷光部屋に戻ってきた播磨は
さっそく激しいぶつかり稽古に汗を流していた
しかし巡業を一日すっぽかされ協会はおかんむりだが、それは今に始まったことでもないので
そして婚約し妻となった亜希子は居間で一人、荒稽古中の播磨の帰りを待つ
と、そこへ買出しから帰ってきた力士が居間の亜希子を見かけ
ぺこりと一礼すると、亜希子も会釈し返す
台所で今日のちゃんこ作りを始めようとする力士達に、亜希子も何か手伝おうと台所に入る
べっぴんさんな亜希子の姿に、力士たちもちょっと照れ気味

さっそく亜希子は魚の鱗とりの下ごしらえを手際よく行い、上手に三枚におろす
その手際の良さに力士たちも感心したように声を上げていた …が
そこにおかみさんが亜希子に声をかける
「亜希子はん あんさんはまだ雷光部屋の人になったんやおまへん
 お勝手はご遠慮してもらえまへんか」
その言葉に亜希子はおかみさんに謝罪しつつその場を下がるのだった
……おかみさんの厳しい言葉に、ちゃんこの用意をしていた力士たちも困惑

「どういうこっちゃ おカミさん注意すんならハナからしたらええのに
 魚さばいた頃注意しはったで」
「あほ 姐さんがなんぼのものか値踏みしてんのやがな ……女の戦いやがな」
0126粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/28(火) 18:10:20.25ID:???
ぶつかり稽古を終わり一汗流してきた播磨に、おかみさんがその場に座って
横綱は明日から正真正銘巡業に行かなければ行けない
なので明日、おかみさんが亜希子の両親に挨拶に伺おうと言うが
播磨もこれから自分が行ってくるとして、亜希子に住所を確認
まずは亜希子が電話で両親にその旨を報告しようとするが、両親も婚約の件は初耳だったそうで
怒鳴りつける父親に、亜希子はこれから横綱を連れてくると一方的に言って電話切った

亜希子の家のほうでも、横綱がこれから家にくるときいて家中騒然
よりによって極悪非道の歩く火薬庫の如き播磨と婚約するなんて
机を叩いて憤慨する亜希子の父だが、母親の方もこれからご近所にどんな顔をすればいいかと頭を抱える
そこに町内会長を務めるおじいちゃんも押しかけてきた
これから来ると言う播磨に祝い酒を用意しに来たと言う 
冗談じゃないと抗議の声を上げようとする亜希子の父を制止し、ここはわしに任せろとして
あれよあれよと横綱歓迎ムードになってくる さらに今度はこの辺の地域を取り仕切る後藤のおじさんまでやってきて
言い争いになる町内会長の田村のおじさんと後藤のおじさんだが、何かさらにもう一人増えた

そんなこんなで播磨が亜希子の家を訪れる頃には、通りがお祭り騒ぎになっておりました
人だかりでいっぱいの中、子供も播磨を一目みたいと言うので父親がその身を抱き上げると
間近で播磨の眼光ににらまれ、子供がひきつけ起こした 
近所の子供もブイサインで「やったね亜希子ねえちゃん」と笑顔で声をかけるが
亜希子ねえちゃん、涼しい顔でげんこつぶちこんだ
0127粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/28(火) 18:10:36.04ID:???
家の前で播磨を出迎える、この歓迎を取り仕切るおっちゃん三人が揃って名刺を取り出すが
そろって無視された 慌てて追いかけるおっちゃん三人は無視して、播磨は亜希子の父にその顔を合わせ
気が気でなさそうな両親二人だが…娘の亜希子は笑顔でウインクをするのであった
仕切りの三人が播磨にさっそく祝い酒を振る舞うが
今日は亜希子の父も、下戸ながら今日は頂かせていただきますと
どんぶりに酒を注ぎ、それを一気にぐーっと飲み干さんとして
どうにか飲み干しながらも、亜希子の父は涙を浮かべるのであった…

外でのお祭り騒ぎはさらに白熱化し、今度はみこしまでやってきたようでした

<第二十八話 わっしょい/おわり>
0129粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/29(水) 17:08:24.51ID:jHhYMVO+
 <第二十九話 はりつける>

亜希子のお家の前では、播磨灘との婚約祝いに街の人にお酒をふるまっていた
家の中では、亜希子の父が涙を出しながら酔いつぶれてしまっていた
これがほんとの泣き寝入り、であった 
母親も娘、亜希子を睨むがちょっと冷や汗混じりに目そらしする亜希子
…ここでは色々手狭なので新たな宴会場所へ案内しようとするおっちゃん三人
また言い争いになる三人は無視して先に行く播磨

すると播磨は、かなり立派なたたずまいの料亭[吉の]の前で止まる
おっちゃん三人はここは板前もおかみも生意気でぼった来るからダメだと言うが
播磨は構わず吉のに上がる 受付のお姉さんも入ってきた播磨の姿に慌てて逃げ出しておかみを呼ぶ
…播磨灘の迫力を前にしても、おかみは一歩も怯まず平然としながら席案内

厨房でも播磨灘が店に上がったと聞き、板前はおかみもヤキが回ったと鼻を鳴らすが
…播磨灘が直々に板前を呼んでいると聞き、厨房にわずかに緊張が走る…

播磨を上げた部屋に、板前の山野がその姿を見せると
腕を組んだ播磨の姿に、山野の顔に一気に汗が噴き出す…
「料理は任す」との播磨の言葉に頭を下げ、部屋を後にするが 
一人残った山野の表情には緊張が浮かぶ…
山野が厨房に戻ると、ちょうどお通しが出来上がった頃だが
これじゃダメだとお通しを改める山野が選んだのは明日の上客用に用意したものだが
相手は大横綱、下手な物は出せないと鬼気迫る様子で命ずる
真剣な形相で播磨に出す食材を吟味する山野だが、客は播磨だけではない 他の注文も残っているが
すると山野は今日はもう店を閉めてこれ以上客を入れないよう従業員に命ずる
しかしおかみもまだ予約の客も招待しなくてはいけないと異を唱えようとするが

「今日は横綱播磨灘の 貸し切りです」

包丁を持ちそう叫ぶ山野の姿に、おかみも何も言えず
そして今宵、板前山野の真剣勝負が始まる…!
0130粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/29(水) 17:08:51.54ID:???
そして部屋に運ばれた豪勢な料理に皆も声をあげ、播磨もどこかにんまりとした笑みが浮かぶ
播磨は盛り付けられた刺身を一箸で5、6枚はすくい上げ、一口で食べてしまう

厨房ではまさに戦場の如き忙しさで播磨一人に持てる全力を尽くす
…予約の客が訪れたものの、今日はもう店じまいと聞いて怒りを露わにするが 
それはそれとして厨房に視点が戻り、食べ終わった食器を下げに来た人にどうだったかを問うと
きれいに平らげていたお皿が全てを物語っていた 厨房の皆も喜びの声が上がる

どうにか嵐のような忙しさも落ち着き、一息つく厨房のご一行
すると播磨が板前を呼んでいると聞き、山野は気合を入れて横綱の前に赴く
…播磨と対峙し、その鋭い眼光に山野も臆することなく堂々とした面持ちで…
そんな山野に播磨はただ一言 「ごっつぁん」と賛辞の言葉を述べるのだった

美味しいお食事も終わり…問題は会計 100万くらいはふっかけてくるであろうと見るが
そこで三人のおっちゃんは、3人折半という結論で落ち着くが
おかみさんは、横綱におあがりいただいたのだから、と播磨に直接領収書を手渡す

【播磨灘 殿   金[   ]也  料亭 吉の】

しかしその領収書は金額の部分が白紙になっていた …これはおかみが横綱を試しているのだ
安く払えば物笑いにし高く払えばベロをだす魂胆だが…その白紙に対し、播磨の出した答えは
その領収書を札から取り、ぽいっと宙に投げると
柱に横綱の強烈な張り手をぶち込む!! 柱には横綱の張り手の跡に、その領収書が貼り付けられていた

「こいつはすげえ おカミさん こんなすげえ約束手形
 古今東西見たことござんせえぜ」
「ほ……ほんとうに…… こ……この手形は『吉の』の家宝とさせていただきましょう」

文字通りの豪快な約束「手形」に、二人もそう声を上げる
こうして播磨灘は美味しい料理に大満足なのでありました

<第二十九話 はりつめる/おわり>
0131粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/30(木) 17:04:58.83ID:x0U8JJ3v
 <第三十話 ぶったてる>

とあるお寺の広い本堂にて、一人布団を敷いて寝息を立てる播磨灘の姿と
そんな寝ている播磨の様子を伺う子供たちの姿があった
よせばいいのに子供たちは寝てる播磨にそーっと近づこうとするが
寝てる播磨が僅かに目を開けて、子供たちは慌てて逃げ出した

どうも播磨、稽古相手がいなくその身体を持て余しているようであった
しかし相撲界に弓を引く播磨灘、横綱とはいえなかなか他所の協力を得るのは難しいようで…
雷光部屋の稽古相手は一番上でも十両の日向灘程度、横綱相手には力不足は否めず
もうここはプロレスラーあたりに協力を頼むしかない、と言おうとする親方だが
播磨の鋭い眼光にそれ以上言えず、結局冗談で済ませるものの
実際問題、稽古相手がいないと言う問題をどう解決すべきか…
親方もやけくそ気味になんとかせえと言うと…播磨はその首を鳴らすと
外の竹林から太い竹を一本、それとシーツとでかい筆を用意するように言って
播磨が広げたシーツの前に立ち、しばしその白紙のシーツを睨み…
くわっとその目を見開き、おもむろにバケツに溜めた墨に筆を突っ込み
そのシーツに荒々しく文字を描いていく 
気合の込めて字を書く播磨が、渾身の手応えを感じたかのように笑みを浮かべていた
0132粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/11/30(木) 17:05:33.91ID:x0U8JJ3v
 無 天
 双 下
  播
  磨
  灘

播磨灘一行はそう書かれた旗を高々と掲げ
その姿に町の人たちも興味しんしんでその後をついていく

出羽ヶ岳部屋にて、播磨が出稽古に来たときいてその部屋の親方と思わしきおじさんが追い返せと命ずるが
困惑した様子を浮かべるばかりの弟子力士
怒鳴り声を上げながら親方は塩でもまいてやれと門前に現れるが
外に出た親方が目にしたのは、播磨灘と門前を覆いつくすほどの大勢のギャラリーたちの姿であった
親方が姿を荒らした瞬間、播磨灘も声高に叫び声を上げる

「この部屋に己は強いと思う力士はおるか―――」

<第三十話 ぶったてる/おわり>
0133粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/12/01(金) 17:40:57.11ID:NI1KsCjL
 <第三十一話 はじきとばす>

「この部屋に力士と呼べる者はおるか―――っ」
出羽ヶ岳部屋の門前でそう声高に叫ぶ播磨灘 
その姿に親方も歯?みしながらも、安っぽい挑発には乗らないと返すのだが
その後ろから部屋の力士達がぞろぞろとその姿を現す 
彼らの姿に播磨も気合を込めるかのようにその場で着物を脱ぎ捨て廻し一丁になる
そして播磨が門前の階段に足を踏み入れる それでも親方は止めようとするが
そんな親方を邪魔だとばかりにギャラリーたちが押しのけてしまう
それでも食い下がる親方だが、そんな様子を鼻で慣らしながら
土俵に座り込みその相手を待とうとする播磨……
……そこに一人の力士、幕内の安芸ノ国(あきのくに)が播磨の挑戦を受けて立とうとする
「フン 力士のはしくれがおったのう」 その挑戦に鼻を鳴らし不敵な笑みを浮かべる播磨

……そして安芸ノ国が仕掛け、張り手をぶちこまんとその腕を振り上げるが
播磨も張り手を返し、仕掛けた安芸ノ国が逆に吹き飛ばされてしまう
さらにもう一人、獅子王の勝ち上げをぶちかましで跳ね返すなど
並み居る力士達を次々に下す播磨、幕内が束になってもまるでかなわない播磨の強さにギャラリーも感嘆の声を上げる
……するとその後ろにあるテントの方でも激しくぶつかる音が響く
後ろの方はどんな感じが、ギャラリーのひとりがテントの隙間から覗こうとすると

そこで目にしたのは、相手力士の頭を後頭部まで鷲づかみにしようとする巨大な手だった
0134粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/12/01(金) 17:41:16.93ID:NI1KsCjL
次の瞬間、頭を捕まれた相手力士はテントの外までごろごろ転がって投げ飛ばされる
…まるでグローブの如き巨大な手に、それを目にしたギャラリーの一人も目を丸くする
(試しに自分の手を顔に当ててみるが、顔面を覆う程度
……そして、テントの中からその姿を現したのは、ウマ面の巨漢 怪物と称された男、天山である
彼は初土俵から連続全勝、十両に上がっても負け知らずという凄まじい代物

・・・・・・播磨と天山、二人の怪物が鋭い眼光で対峙する……
播磨灘が名乗ると、天山は天下無双の旗を横目で見やりつつ天山も名乗る
…横綱、播磨灘をも見下ろすその凄まじい巨漢の天山にギャラリーも目を丸くし
その対決が始まるかとわくわくするギャラリーだが
「横綱 本場所の土俵で会う日を楽しみにしております」
ここでは勝負しないかのような天山の言葉にギャラリーも少々ガッカリ
だが天山は幕じり、全勝でもしなければ播磨に当たらないが…
……つまり天山は次の場所でも全勝すると宣言しているのだ…!

「お前 親は?」
「残っていた母も 去年亡くなりました」
「ほうか 死んでも嘆く者はおらんな」「はい」

笑みを浮かべた鋭い眼光を宿す播磨に向け、天山も物怖じせず堂々と睨み返すのだった…

<第三十一話 はじきとばす/おわり>
0135マロン名無しさん
垢版 |
2017/12/01(金) 20:52:33.92ID:???
ライバル登場かな なかなか強そうな出で立ちだが
初土俵から全勝街道というのは、ちょっとアレだ 場所が始まってしばらくして

あの怪物天山が負けた!?一体相手は…!?

的なかませ展開もありそうでちょっと心配だ
0136粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/12/02(土) 17:54:55.61ID:DxNIIqjf
 <第三十二話 ぎっしり>

「天山 1番で十分だ」
にらみ合う播磨と天山、播磨が「来い」と座り込み天山を待ち構える
その言葉に天山も動き、ギャラリーも一気に沸き立つ!
怪物と鬼神の対決が、今幕を開けようとする…
……互いににらみ合い、仕切りの構えを取る両者
二人のその一挙動、ひとつひとつが放つ凄まじい圧力にギャラリーたちも息を飲み……

「待ってくれ――っ」 だが突如一人の男がその対決に割って入る
二人の対決を止めたのは天山の師匠、元横綱の三輪山(みつわやま)の山藤親方
しかし天山も山藤親方の言葉に、横綱に胸を借りるだけだとするが
胸を借りるのにそんな殺気を放つ奴があるかと叫ぶ山藤親方
命を張った勝負を認めるわけにはいかないと、播磨にも天山の無礼を詫び、引いてもらうよう頼むが
播磨も天山も動こうとしない… さらに二人の対決を楽しみにしていたギャラリーからも大顰蹙
しかしその罵声に…山藤親方の目がちょっと赤く滲んできた

「横綱 勝負は本場所の土俵でお願いします 大観衆のもとで死のうが大ケガしようが
 それはそれで力士の本懐!名が残ります
 しかし稽古場で 本場所を十分勤められない身体になるとなると
 "泣きの三輪山"というような情けない名しか残りません」

そう叫び涙ぐむ山藤親方の姿に、ギャラリーも何もいえなかった…
(そうだ この山藤親方は力を持ちながらケガで泣いた
 弱い横綱じゃない 不運の横綱という人もいる)
0137粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/12/02(土) 17:55:55.91ID:DxNIIqjf
しかしそれでも、両者は動かず……
仕方なく山藤親方は、回りの力士にも天山を引っ立てるように指示を出す
だが力士二人がかりでも天山の身体はビクともせず、さらに大挙する力士達
…その光景に、播磨のほうの弟子たちも帰りましょうと播磨に言うが
播磨はそんな力士達を軽く払いのけてしまう それでもめげずに播磨をとめようとし
…そうこうしているうちに、気付けば播磨と天山の間にはその勝負を止める力士達でごった返しになるが

「ええい道を開けい」
播磨の怒声が響き、播磨の眼前の力士達がばっと二つに分かれその道を開ける
「親方と二人三脚の 天下取りか」
そう吐き捨てながらも、ここは播磨のほうが折れ
次の稽古に向かう播磨灘一行なのであった

<第三十二話 ぎっしり/おわり>
0138粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/12/03(日) 21:13:35.73ID:vTEcymyn
 <第三十三話 かちわる>

ずんずんと胸を張って進むごとにその目を吊り上げる播磨灘
さながら道場破りのようだと、播磨の雰囲気に声を上げるギャラリー
…そして播磨が足を止めたのは 愛宕山部屋、現理事長の指導する場所であった

稽古の真っ最中の愛宕山部屋に乗り込んでくる播磨灘
両者暫しにらみ合い、なにしに来たと問う愛宕山理事長に、自らの着物を脱ぎ捨てて答える播磨
「稽古の仕上げは 愛宕山部屋やで」
…その答えに、愛宕山理事長も不敵な笑みを浮かべる

「よかろう ただしいっとくが
 この部屋には お前を殺す鬼しか棲んでおらんぞ」

竹刀を振るい、自らが育てた鬼を播磨にぶつけんとする愛宕山
一人がやられても次々に播磨の相手をするよう、竹刀を振るいながら指示を出す
…播磨もそれらを次々に返り討ちにするその光景に外の窓から覗いていたギャラリーも声を上げる
さながら愛宕山部屋を潰しにきたかのような荒々しさである

「相撲は立ち合いで80%決まるというが播磨のこの踏みこみはどうじゃ
 まるで押し相撲のようじゃ しかも四つ(*組む相撲)になりゃあの磐石の足腰
 こんな強か力士は見た事なか 正真正銘天下無双たい」

その播磨の強さに触発されたか、気合を入れて柱に張り手を打ち込む一人の力士がいた
今場所からの新入幕、大朝日である その張りの強さは天山に匹敵するとされるほど
そして理事長が大朝日、改め大仏にも参戦するよう命ずる
その声に振り向いた顔は、額の部分に大きなほくろが浮かぶ、まさに大仏のような姿であった
0139粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/12/03(日) 21:14:16.44ID:???
播磨灘対大朝日、鬼神と大仏の戦いが始まる
両者仕切りの構えを取り、大朝日が雄叫びを上げながらその強烈な張り手を浴びせんとするが
次の瞬間、播磨の強烈な頭突きが大朝日の胸に突き刺さる!
そのぶちかましにふっ飛ばされる大朝日 自慢の突っ張りも播磨の踏み込みにはまるで通じない
「大仏 頭からいけ!」
もう一戦、構えを取る両者 互いの頭がぶつかるが
大朝日の方は当たり所が悪かったか、自慢の大仏ほくろが播磨の頭突きに潰れてしまう
息を切らす大朝日に、播磨がその頭に手を掛けて

「大仏 頭からのぶちかましはの ここで当てるんじゃ」

大朝日の額と、頭頂部の間にある部分を思い切り土俵に押し当てる!!
「ホクロもとれて仏面におさらばや
 地獄めぐりでもして来いや」
そう言い放つ播磨に、大朝日も息を切らしながら
「ご……ごっつあんです」そう返すしか出来ないのだった

<第三十三話 かちわる/おわり>
0140マロン名無しさん
垢版 |
2017/12/04(月) 11:30:35.04ID:???
力士としての矜持を貫き、もはや角界の伝説となった
平成の大横綱・貴乃花親方が>>8get!!

         ,r'^⌒⌒ヽ,r''⌒`ヽ、
       /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;ゝ
      /;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノノ~~~~`ヽ;;;;;;;;;;;;i
      !;;;;;;;;;;;;イ::. /~~~\ ヽ;;;ノ
      ゝ;;;;;;;|:::: (●) ,(●) |シ
      从从/: \  、_!  / ノ       
       从从  i 'ー三-' i l    
        ノ从ヽ._!___!_/

>>1 非常にすがすがしいスレであります。
>>3 >>2getには心の底から納得しております。
>>4 >>2getに不惜身命を貫く所存でございます。
>>5 集英社は昔、ジャンプで連載されていて若花田、貴花田の半生を描いたまさに幻かつ伝説の作品で
小畑健大先生が作画を担当し、あの和月伸宏先生もアシスタント時代に手掛けていた
『力人伝説』を今こそアニメ化、そして完全版で出すべきであります!!
>6 ・・・・・・・・・(マスゴミ共め俺の事を色々嗅ぎ回りやがって・・・!
うぜーんだよマスゴミ共の分際で!!俺様の謎の圧力をかけてぶっ潰すぞテメーら!!)
>7 この一連の日馬富士暴行事件は元はといえば白鵬が一番悪いのであります!!
0141粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/12/04(月) 17:12:11.63ID:qwOgv5lm
 <第三十四話 食いたおす>

愛宕山部屋前の通りに、出稽古からのっしのっし帰ってきた部屋頭の竜雲(りゅううん)
その姿にギャラリーも道を開けつつ…入り口の前に立ってある播磨灘の旗に竜雲は首をかしげる
稽古部屋に入ると、幾多の力士達が何者かにのされて倒れてしまっていた
愛宕山理事長に何があったのかを問うが、理事長は怒りに震えながら何も答えない…

播磨の旗が立ててあったことから、播磨が殴りこみをかけてきた事は容易に想像できるが
関取が5人もいて全員のされるとはだらしねえと吐き捨てる竜雲
そんな苦言に竜雲の付き人も流石に失礼だし
だいいちその5人は竜雲の兄弟子だしいろいろまずいとその言葉を諌めるが
相撲界は番付が下がれば兄弟子もただの関取、と叫びながら竜雲が部屋に入ると
愛宕山部屋の力士達が、丁度風呂上りの播磨の身体を拭いておりました 
その光景に竜雲とその付き人も目を丸くしつつ、播磨の身体を拭く力士を怒りの形相で張り倒す

「てめえ俺の付き人のくせして 天下無双大横綱の身体をふこうなんてふてえ野郎だ」

改めて竜雲が申し訳ありませんと頭を下げるが
そんな彼に播磨も腹にも無い事をと、じと目で吐き捨てつつ竜雲には何枚目まで上がったかを問う
「西の 小結です」
「小結か わしと当たるのは初日か2日目やの」
「楽しみで 夜も寝られません」
そう答えながら、竜雲は不敵な笑みを浮かべていた
0142粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/12/04(月) 17:12:41.20ID:qwOgv5lm
風呂上りで汗を流した身体を拭かれた播磨もずんずん勇ましく部屋を出る 前隠してください
そしてどっかり座ると、メシまで要求するずうずうしさを発揮する横綱
そんな播磨に台所の力士達も呆れ顔だが、
丁度差し入れの牛ヒレ肉があったのでそれに決めるちゃんこ番

「ええっ 正気ですか淡田さん 相手は播磨ですよ横綱の敵ですよ
 なんでそんな上等な肉を親方の許しもなしに」
「相手が誰でもどの部屋の者であっても横綱が一番いいものを食う
 それが300年続いたこの大相撲の鉄則だ」
ちゃんこ番の淡田もそう返し、魚ももう一度改めると指示を出す

……丁度ご飯食べてる播磨の姿に竜雲達も気がつく その姿に…
御相伴させて下さい、と横綱の前に座る竜雲 播磨も無言で頷き
二人の前に鯛の一匹丸ごと刺身、野菜のてんぷら、肉じゃがに大きなちゃんこ鍋と
豪勢な食事が床に並ぶ 一口食し、播磨もうんと満足げに頷く
そして播磨と竜雲、二人は凄まじい食欲を見せる 
無言でどんどんかっ込んでいく両者に、周りの力士たちも目を丸くしてその様子を見ていた
…しかし、不意に竜雲が顔をしかめる どうやら魚の骨が口に刺さったようだ
怒りの竜雲がちゃんこ番の淡田に当たり散らすが、そんな様子を播磨が見やりながら
口から魚の骨を軽く吐き出した 勢いよく骨が床に刺さる
0143粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/12/04(月) 17:13:09.19ID:???
淡田も申し訳ありませんと土下座で謝罪するが
「お前の料理はこいつらにゃもったいない 明日からわしんとこへ来い」
ちゃんこ番の淡田にそう告げる播磨灘 その言葉に竜雲も苦笑交じりの表情を浮かべていたが

「竜雲 お前を土俵中央でカエルのようにつぶしてやる
 その時はこのチャンコ番は俺のもんや ええな」
播磨は眼光を鋭くさせてそう言い放つ、その言葉に私の一存でそんな賭けは、という竜雲だが
「でも俺はつぶれませんぜ 死んでもね」
そう返しながら、竜雲も不敵な笑みを返してみせる…

そして両者食事再開、二人はちゃんこをまだまだかっこむ
……夜も大分更けてきたが、まだ食っているそうで愛宕山理事長も呆れ顔
二人とも箸を置かないもんで、周りの力士たちも止めるに止められない様であった

<第三十四話 食いたおす/おわり>
0144粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/12/05(火) 17:00:09.60ID:7DYVo4lI
 <第三十五話 ふきまくる>

朝の雷光部屋に宅急便が届きました なんでも横綱に来た荷物のようだが
しかし聞き覚えの無い差出人 山形勲(やまがたいさお)の名に受け取った力士も首をかしげる
播磨灘の本名のことだが、忘れ物でも頼んだのだろうか…?
するとそこに雷光親方もその場に顔を見せ、その荷物はわしの部屋に運ぶよう言う

…ワレモノ注意の札を貼られた荷物を前に、雷光親方も少々難しい顔
暫しにらみ合うと、意を決してその荷物を開け…現れた中身に、雷光親方の顔色が青ざめる…

その頃播磨灘の方は手形色紙の作成中 
色紙に手形を貼り付けてると、手伝いの力士がこれにもお願いしますと板を取り出した
「いつもの八百屋のおばさんに頼まれまして
 へへ なんで色紙じゃなく板やと思います これ玄関に吊って魔よけにしたいそうですわ」
笑っちゃいますよね、なんて笑顔で言うけど播磨灘はその言葉にじと目で睨んでました スイマセン;
そこに親方が顔を見せ、一旦皆には席をはずしてほしいと、横綱と二人向き合う親方
……どう切り出すか少々迷いつつ、たばこに火をつけて一服すると雷光親方が本題に入る

「播磨……お前 今場所も仮面被るつもりか それも目を覆いとうなる仮面を」
その言葉に播磨の眉が僅かにつりあがるが親方も慌てて謝り、話を続ける
「前にも言うたけど お前が1敗して引退 廃業する時はわしも辞める
 こんな話をするんもわし個人の説得やない 相撲関係者 いや 相撲を愛する人間の意志や
 ええか播磨 大相撲はな 日本人が日本人の心で300年育て築き上げた格式と様式美や
 これは日本の文化や! 先人たちの血と汗で作った大いなる遺産や
 それだけやない お前の相撲は仮面なんか被らんでも客を興奮させる相撲や
 これこそ大相撲 これが大相撲 まさに今のお前の力は横綱も横綱 大横綱や」
そう語りながら親方はその拳を握り締めるが、播磨はその言葉に表情ひとつかえない…
そして雷光親方は、床に手を突き涙を浮かべて横綱に懇願する…

「播磨 雷光一生の頼みや この通りや 仮面だけはやめてくれ」
0145粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/12/05(火) 17:01:03.47ID:7DYVo4lI
そして11月の九州場所が幕を開ける 初日から場内は既に超満員
場内も11月とは思えぬ、汗ばむ熱気がつつみこんでいた まずは理事長の挨拶から
理事長が土俵に上がり、その背後には播磨灘、太刀風、大江川の三横綱と
紫電海、玉嵐、若不動は名を改め不動王、富嶽、そして自ら格下げとなった北道山の五大関
その堂々たる威容が並び立つ中、理事長が挨拶を読み上げる

「本日はかくもにぎにぎしきご来場 厚く御礼申し上げます
 さて今場所はキップ入手も困難な程の大人気で 九州の皆様にはご迷惑をおかけしております
 力士たちも 自ら大関格下げとなった北道山をはじめ どの力士もこの場所は決死の覚悟でのぞんでおります
 この私も今場所は日本300年の伝統と格式を誇る大相撲を 進退をかけて守り抜く所存です」
挨拶の文を握り締め、理事長はそう宣言するのであった

播磨がその腰に綱を巻き、入場準備も整うと 近くの力士になにやら目配せする播磨
そしてそこに現れた何かに、控え室に同席していた回りの力士たちはなにやら驚愕の表情を浮かべていた

丁度太刀風の土俵入りが終わったところで、次は播磨の入場になるが…
するとなにやら3階のほうから、南国チックな男たちが小気味良い音を奏でて木を叩いていた
まるで南国のポリネシアンショーのような光景に…雷光親方、猛烈に嫌な予感……

そして東の花道にスポットライトが当たり、やはり仮面を身につけた播磨灘がその姿を現す
まるで南国の祭りに出てくるどこかの部族のような文様を刻んだ縦長の仮面の姿に
観客たちも罵声を浴びせ、雷光親方も思わずよろっと立ちくらみしちゃう
そんな罵声もどこ吹く風で播磨は土俵に上がり仮面を取ると
初日に当たり横綱から挨拶を申し上げると言う

「天下に横綱はこの播磨灘ひとり
 来場所は1横綱 7大関じゃ!」

その拳を握り締め、播磨灘はそう叫ぶのだった

<第三十五話 ふきまくる/おわり>>
0146粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/12/06(水) 17:13:31.81ID:???
「もう一度言う 天下に横綱は播磨灘ひとりや」
高々とそう叫ぶ播磨灘の姿に歯噛みする理事長
雷光親方はもう悲鳴を上げながらその場にへたり込むしかないのでした

 <第三十六話 いい放つ>

また今回もとんでも無い事を言い出したと実況も驚愕を露わにしていた
太刀風、大江川の二人は横綱にあらずと、大観衆の前で宣言してみせる播磨に観客からも大ひんしゅく
そして播磨の前にはその爆弾発言の真意を問うべく記者団が殺到
記者の一人は、つまりは興行のみ考えて横綱を作りすぎだと
また別の一人は、ボクシングのように統一チャンピオンを作るべきだと
播磨の言葉をそう解釈するが、播磨は記者の問いに答えず…
ようするに9勝、10勝しかできない看板だけの横綱に腹を立ててるのだろうと問うが
……もろにその言に該当する大江川がすぐ側にいた 記者団もさすがに冷や汗気味
そして播磨はごろ寝のお時間 だがそんな播磨に向け、老記者北条が嫌味気味に声をかける

「2ヶ月ぶりに聞く大ボラ いよいよ播磨灘場所が始まったって感じですなあ
 天に唾する最強力士 横綱播磨灘の代名詞です せいぜいふいて下さいよ」
それよりも今日の相手、竜雲の件に関して問う北条 その言葉に播磨ものっそり頬杖つき
「聞くところによれば 竜雲と食べくらべしたあげく
 言語道断にも本場所の勝負にチャンコ番の力士を賭けたそうですね
 竜雲を土俵中央でカエルのようにつぶしてチャンコ番をもらうと
 その自信…… 当然どの技でしとめるか決めてますよね 一体どんな技ですか」

…北条の問いに、播磨は頬杖をつきながら答えた
「ふん 食うしか能の無い奴は 二枚蹴りで腹から落としてくれるわ」
0147粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/12/06(水) 17:14:12.83ID:???
太刀風のほうにも播磨の言にコメントを求める記者団だが、太刀風も黙して答えず…
するとテレビでまた播磨が飛んでもない事を言い出した、という記者が映されていた
今日の対戦相手、竜雲を二枚蹴りで腹から落すと宣言した件である
…しかし二枚蹴りは背中から落す技 それを腹から落とすとはどういう意味であろうかと解説席も困惑
それを聞いていた竜雲は、僅かにその身が武者震いをするかのように震えていた

「いやあやっぱり自ら天下無双を豪語するだけあって すごいですね横綱
 思わずブルっちゃいましたよ
 でも二枚蹴りで腹から落とす……ってのはどうでしょうか
 愛宕山部屋では腹から落ちる稽古はしてませんからねえ
 
 万一私が腹から落ちたら その時は横綱に脱帽して土下座しますよ
 反対に予告が外れたら 横綱に土下座してもらいましょうか」
不敵な笑みを浮かべてそうコメントを残す竜雲であった

客席でも、竜雲のそのコメントには観客も播磨に逆王手をかけたと沸き立つ
そして土俵上の、次々に巻き起こる迫力の取り組み内容に観客の歓声が上がる 

関脇白鳳の見事なやぐら投げに始まり
250キロの富嶽の豪快なぶちかましが相手を吹き飛ばし
紫電海の切れ味鋭い出し投げが決まる
名誉大関、北道山は強烈なもろ手突きの一撃で相手を土俵外まで弾き飛ばす
大江川も危なげなく、寄り切りで安定した勝利を掴み
そして太刀風が荒技、呼び戻しを見事に決めるのだった
0148粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/12/06(水) 17:14:55.03ID:???
「ひが〜〜〜し〜〜 播磨灘 播磨灘〜〜
 に〜〜〜し〜〜〜 竜〜〜雲 竜〜〜雲」
そして大一番、播磨灘と竜雲の対決が幕を開ける
播磨灘に不敵にも豪胆な挑戦状を叩き付けた竜雲 播磨を前にその眼つきが鋭くなり…
塩を握りながら気合が入ったようにその顔を紅潮させる

「見れば見る程 カエルに見えてくるで」

両者仕切りの構えを取り…そう呟き笑みを浮かべる播磨灘
その言葉に竜雲も僅かに反応を示し… それに気付いたか愛宕山理事長も僅かに目端が吊りあがる

…そして竜雲は一回目の仕切りで立ち上がり、播磨も合わせ両者の身体が激しくぶつかる!
これには実況も驚き、会場の観客も声をあげる 互いに右四つの体勢となり
先手は竜雲が仕掛けるが、播磨は竜雲の上手投げにビクともしない
今度は播磨が出し投げで竜雲を崩しにかかるが
竜雲もその足腰の強靭さは播磨に引けをとらない、彼もまた動かず堪えてみせる…!

<第三十六話 いい放つ/おわり>
0149粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/12/07(木) 17:05:18.91ID:K7P/3w6l
 <第三十七話 ふるえあがる>

横綱、播磨灘の出し投げを見事に残してみせる竜雲
すると播磨は竜雲の頭をつかみ上から押さえつけ押しつぶさんとするが
竜雲これも強靭な足腰で踏ん張るが、播磨はそこからさらに追撃に竜雲を引きずり回す
これもなんとか残しながら竜雲は頭を抑えつける播磨の手を振り外し
播磨の猛攻を凌ぎ、両者がっぷり四つで廻しを掴む 
その猛攻に晒され竜雲の身体からは、滝のような汗が溢れ出ていた

「ふん これくらいで大汗かきおって 家賃が高かったのう竜雲」
大汗をかく竜雲とは対照的に、播磨はまだまだ涼しい顔であった
(* 家賃:相撲用語で自分の入る番付の位置の事。 竜雲の場合は小結)
…その言葉に竜雲はその顔を紅潮させて気合を込めると、播磨の上手を切ろうと抵抗するが
しかし播磨の腕は竜雲の廻しにがっちり食い込み、その指を切ることができない

そして播磨は再度仕掛け、上手投げ、下手投げ、上手投げと竜雲を揺さぶる
竜雲も必死で残すが、息を切らせその身体から湯気を立たせながら
くわっと声を上げると、播磨の胸に頭をつけその身体を潜らせ
勝機と見た竜雲は一気に播磨の身体を土俵際まで押し込む!!

(そうだ 愛宕山部屋には引き技はない 前に出るだけだ)
竜雲のその勇姿に理事長も僅かに笑みを浮かべるが…
そして土俵際まで押し込む竜雲 しかし追い詰められながら播磨灘の表情にはまだ余裕がある

「食うのは横綱級でも 身体の力は小結以下やのう」
軽いため息混じりにそう呟きながら、播磨がぬんと力を込めると
押し込む竜雲を容易く土俵際まで押し戻してみせる
…もはや息切れしバテバテの顔が上がる竜雲 その姿に理事長も僅かに額に青筋が浮かぶ
0150粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/12/07(木) 17:06:10.37ID:K7P/3w6l
そしてもはや力尽きるかのように、竜雲の身体が次第にずり落ちていく…
もはや竜雲の足腰の粘りも、その心も折れかけようとしていた
(そうだ竜雲…… お前はよくがんばった
 ここまでやりゃ十分だ 播磨は来場所倒しゃいい
 それにここでヒザをつきゃ播磨の予告は外れる そうだ 俺はがんばったんだ)
がくんと竜雲のヒザが折れ、土俵に突こうとするが
…播磨はそんな竜雲の身体を、廻しを掴んで無理矢理に持ち上げる!?

「ふぬけがっ」
播磨の形相は、竜雲のその醜態に仁王の如き怒りの形相を浮かべていた
その姿に、竜雲は悲鳴のごとき叫び声を上げながら播磨の喉を両手で掴む
……愛宕山理事長も、もはや竜雲の醜態には言葉もなく、苦々しい表情で目をそむけてしまう

そして播磨、思い切り竜雲の身体を吊り上げ!
「己からまわしはなしおって」予告の二枚蹴りを竜雲にぶち込む!!
強烈な二枚蹴りに宙に浮く竜雲の身体を、播磨はその廻しを思い切りひっぱり
無理矢理にその腹を、下を向かせ
「それでも力士か!」
竜雲を腹から土俵に押しつぶした!!

その壮絶な決着に観客たちも歓声を上げる
まさにカエルのように潰された竜雲 足腰は震え立つことができない竜雲は
両手を突いて播磨を見上げる さながら竜雲が言った土下座の予告どおりの光景に
まさにこれからおこる今場所の戦慄を予感させる、九州場所の幕開けと実況も語るのであった

<第三十七話 ふるえあがる/おわり>
0151粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/12/08(金) 18:07:25.41ID:FTGgfmjF
 <第三十八話 怒りまくる>

今日の取り組みも終わり、迫力ある大相撲に観客たちも満足げに声を上げていた
播磨の明日の相手は、前場所と同じ富嶽との大関決戦だと言う
前場所では播磨のあの爆弾発言で、急きょ取り組みを変えられ富嶽を当てられていたが
今場所では始めから富嶽に当たるように取り組みが決められている

富嶽は前場所、播磨に吊り落とされて負けた際にケガをしてしまい途中休場
前場所の無念を晴らさんと富嶽の闘志は燃えているであろう、と語る観客達
理事長の思惑もわかると言うものとするが……その会話に老記者、北条も混ざる

「理事長が気にしているのは明日の事じゃない 今日の土俵だ
 愛宕山のホープ 愛弟子と言われる竜雲があのざまだ あの激しい理事長がただでおさまるはずがない」

北条の懸念どおり、竜雲は理事長の前で土下座の体勢で謝罪していたが
理事長はなぜ途中で自分からヒザを折り、自ら負けるような醜態を晒したかを、表情を変えずに問う
その問いに竜雲の顔から緊張の汗が浮かぶが…竜雲はあれが自らの限界だと答えた
その言葉で理事長の怒りが頂点に達したか怒声を上げる 
竜雲も何度も頭を下げ、来場所こそは必ず、親方の仇を弟子の私が、と何度も頭を下げて言うが…

「竜雲 2つの道をやる 心して答えろ
 その脂ののった舌を切るか この愛宕山部屋を出るか 2つに1つだ」

怒りに振るわせる身を押さえて、激昂した形相でそう告げる愛宕山理事長
もはや竜雲が何を言おうと、理事長の怒りの炎に油を注ぐものでしかなかった…
0152粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/12/08(金) 18:08:01.68ID:FTGgfmjF
場面は変わり雷光部屋にて、親方と顔を合わせる播磨
……あれだけ仮面はやめてくれと言ったのに、それを平然と破られしょぼくれる親方
「お お前はこの雷光の一生の頼みもきけんのか
 おっ お前は わ わしは一体お前のなんや 言うてみい」
その言葉に播磨灘は僅かに目端を鋭くさせ…播磨はただ一言「親方や」と答えるのみ
するとそこに、愛宕山部屋から人が来ていると言う 竜雲の賭けの件で頂いたチャンコ番である
流石に勝手に力士を移籍できるわけないと声を上げる親方だが
チャンコ番の淡田も廃業届けを出してきたとの事で…(横綱の肩もみしつつ

「そや 肩こりやったり親方や 何せ親方業ちゅうのは気苦労もたえんさかいな」

播磨の言葉に、淡田もちょっと困惑しながらも親方の肩もみ
親方の方ももう何も言えないのでした

さらに場面は、富嶽の所属する真砂(まさご)部屋に変わる 
そこに愛宕山理事長からの電話がかかってくる 親方もその電話に対応し
富嶽の方は自分の部屋で、家族が写っていると思われる写真と
真砂親方の「人間至るところ 青山あり」との言葉を残した色紙を見てかすかに笑顔を浮かべていた

(* 人間至るところ青山あり:郷里にこわららず、広く世の中に出て大いに活躍すべきだ、の意)
0153粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/12/08(金) 18:08:49.07ID:???
そこへ真砂親方が富嶽の部屋に入ってくる 先ほどの理事長からかかって来た電話の件だ
明日の試合には理事長の全てがかかっているといっても過言ではない、というのが理事長自信の言葉である

「わしはお前をハワイから見つけ出し この日本に骨を埋めるよう教えて来た
 相撲も突き押しのプッシュ戦法だけを教えて来た
 その身体 そのパワーからしてそれが最善だと思ったからだ
 しかし明日は ひきつけろ」
「えっ でも親方それは……」
「そうだ お前の引きつけてのさば折りはわしが唯一お前に命じた禁じ手だ
 お前の怪力でさば折りをすれば相手力士は背骨を痛める 再起不能どころかへたすりゃ死ぬ事すらありうる
 外人力士のお前が日本人力士の背骨を折る
 もしそういう事があればお前はただの悪役力士だ 横綱への道も閉ざされこの日本では永久に花が咲かぬ
 だからわしはお前にプッシュしか教えなかった
 だが……明日の一番は違う 播磨はもはや日本人ではない 300年の伝統を破りに現れた異邦人だ
 播磨の背骨を砕いてもなげき悲しむ日本人はひとりもおらん
 それどころかお前は日本国技を救った英雄になるのだ」

真砂親方の言葉に、富嶽はその眼を見開き
立ち上がって自らの着物をまくると猛々しく吠えるのだった

「理事長自らの GOサインだ
 富嶽 お前の本当の力を播磨に見せつけてやれ」

<第三十八話 怒りまくる/おわり>
0154粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/12/09(土) 18:02:01.75ID:YWSwZyy0
 <第三十九話 ひきつける>

会場前に姿を現した、山の如き堂々たる威容の富嶽の姿に観客たちも声が上がる
観客たちも伝統をなんとも思わない播磨よりも富嶽を応援するぞとエールを送る プッシュだ富嶽

で、今日の播磨の入場は今回もまた凄まじいものが出てきた
三角ポールのようなものを被り、正面には舌を出した悪い笑みを浮かべるヒヒを模したような仮面
そして今回も中南米チックな木太鼓のリズムに合わせて、ステップを踏みながら歩く播磨
もはや観客たちも何も言えず、涙ぐむ老人の姿も見える
…しかしその中南米な木太鼓のリズムには、富嶽もついついリズムを合わせておりました

その光景には雷光親方もその場にへたり込んでしまい…
するとそこに協会の職員が、理事長が呼んでいると声をかけるが…
…部屋に入ると、丁度テレビで播磨灘の入場が終わったところ 雷光親方凄く気まずいが…
愛宕山理事長は、雷光親方に今の力士で一番の怪力は誰だと思うかと問う
怪力なら北道山か播磨灘あたりではないかと雷光親方も答えるが

「フム…… お前富嶽が入門したての頃
 稽古中に先輩の幕下力士をさば折りで腰の骨を折って廃業させたのを覚えているか」
その言とともに、腕力でいえば間違いなく富岳がトップだとする理事長
同じ部屋に居合わせた真砂親方も、本人のためを思いさば折りを禁じ手としたが
今日だけはその封印をとかせてもらう、と雷光親方に告げる
その言葉には雷光親方の脳裏に、その強烈なさば折に悶え苦しむ播磨の姿が浮かび、その表情が曇る…

「この一番だけは お前と一緒に見たくてな」
0155粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/12/09(土) 18:02:46.29ID:YWSwZyy0
そして土俵に播磨灘と富嶽があがり、観客から大歓声と富嶽へのプッシュコールが巻き起こる

『さあ注目の大一番です
 現在31連勝 自ら天下に横綱はおのれ一人と豪語する播磨灘
 かたや角界ナンバー1の体重とパワーの富嶽
 先場所は富嶽の巨体をもろ差しか 吊り上げ投げ落とした播磨 今場所はどうか
 富嶽もあの屈辱は忘れてないでしょう おびただしい懸賞が回ります』

両者仕切りの構えを取り睨み合う
「フン あいかわらずしんどそうに仕切りよるのう
 その骨組みにその肉は多すぎるで」
吐き捨てるかのような播磨の言葉に、富嶽はその眼を見開いて睨みつける

早くも時間いっぱい 気合十分の富嶽がまさに赤鬼の如き形相を浮かべていた
それを青白い眼光で睨み返す鬼神播磨灘 はたしてどちらの鬼が勝負を制するか…

両者立ち上がり、富嶽は身体全体で体当たりをぶち込む!
播磨も頭から突っ込むが富嶽のプッシュを止められず、一気に土俵際まで追い込まれる
どうにか播磨も富嶽のプッシュを止めて廻しを掴まんとする
雷光親方もテレビに映るその光景に、二本差しはやめろと叫ぶが既に播磨は富嶽の廻しを掴んでしまっていた
廻しを掴まれ、そのプッシュを止められてしまった事で観客たちも落胆の声が上がるが…
…それを受け、富嶽も播磨の両上手を掴みあげる 
がっぷり胸が合い、肉の重圧をかける富岳 播磨もこれには投げにいきにくい
0156粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/12/09(土) 18:03:37.72ID:YWSwZyy0
…両者組み合い、不意に富嶽が播磨にむけて告げる
「俺は横綱になる あんたをつぶしてナンバー1になる
 綱をしめてハワイで土俵入りだ」
そして富嶽がその腰を沈め…!

「 死 ね 播 磨 !」

播磨に向けて、その殺人サバ折を極めにかかる!!
富嶽の強烈な腕力で締め上げられ、播磨の腰が鈍い音を立てる…!

<第三十九話 ひきつける/おわり>
0157粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/12/10(日) 21:20:02.27ID:ut9z8SXU
 <第四十話 転げ落とす>

富嶽の強烈な締め上げに、館内に骨が折れるような激しい音が響く…!
しかし両者4つで組み合うまま崩れない 
今の音から播磨か富嶽か、どちらかがその背骨を痛めているのは確実だが…
二人とも苦悶の表情を浮かべて息を切らせながらも、播磨が富岳に問う

「おんどりゃこんだけの力もっとって 何で今まで使わんかった」
「廃人は作りたくない これは神が俺に課した 禁じ手だ」

……組み合ったまま両者微動だにしない
上から富嶽が、下から播磨が、両者渾身の力を込める
まさに両者必死の形相で、しかもどちらかはその背骨を痛めたままで死力の勝負を繰り広げる…

「き 禁じ手やと ぼけが さば折りは相撲の決まり手の1つじゃ
 ちょっとばかり腕力があると思うて う ぬ ぼ れ る な 」

憤怒の形相でその目を見開く播磨 
するとそれと同時に富嶽が苦悶の表情となり、富嶽の身体がずるずると落ち始める
どうやら傷めていたのは富嶽のようだ 
が、富嶽はその状態で右腕を播磨の首に巻き捨て身の首投げを仕掛ける!
播磨も残すが、富嶽はそのまま250キロの巨体をのしかからせる!
だがそれでも播磨は落ちない そして富嶽は首から手を離して廻しを掴みにいくが
播磨も左下手を離し右四つで富嶽の廻しを掴む 
その瞬間富嶽の顔から脂汗が浮き上がり驚愕の表情を浮かべていた
0158粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/12/10(日) 21:20:21.63ID:ut9z8SXU
その折れた腰であの首投げ 富嶽 ひとかどの大関やで」
そして播磨がそのまま開いた左手を富嶽の首に巻きつけ
「横綱の情けや 転がって土俵から消えい!」

播磨の放つ首投げが、富嶽の巨体を浮き上がらせ思いきり投げ飛ばす!!
そしてその巨体が土俵を転がり、土俵下まで転がり落ちた
その凄まじい決着に、会場1万の観衆も言葉もない 行司ですら呆気にとられるように硬直してしまい…

「行司 勝ち名乗りや」

そんな行司に播磨が叫び、あわてて我に返る行司であった

<第四十話 転げ落とす/おわり>
0159粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/12/11(月) 17:50:31.68ID:N73thYjC
 <第四十一話 歩く歩く>
壮絶な敗北に、立つこともできない富嶽が若い力士達に抱えられて土俵を下がる
一方播磨の方はなんともふてぶてしい態度で…
その様子を見ていた親方二人も愛宕山理事長の前を後にし…
一人残された理事長が難しい顔で腕を組んでいた

富嶽の元へ駆けつけた真砂親方 とりあえず富嶽は入院させる事に
……敗北した富嶽だがその胸中には無念も悔しさも無く、ただただ「……強え」と驚嘆の声しかでなかった
どうすれば播磨のようにあんなに強くなれるのか…その問いに親方も答える事ができなかった
するともう一つ、富嶽が親方に何かを伝えていた様子だが・・・?

会場の裏道と思わしき通りを歩く雷光親方に、真砂親方が声をかける
雷光親方が富嶽の様子を問うが、真砂親方は黙って首を横に振るのみであった
最悪の場合の事も考えないといけないと言う 最悪、との言葉に…雷光親方の脳裏には引退の文字が浮かぶ
これには雷光親方も申し訳なさげに謝罪するものの
その辺りは播磨を潰すつもりで禁じ手を解いたこちらもお互い様、と返してくれた

「さっき富嶽にどうすりゃ播磨のように 強くなれるかって聞かれてな
 返答に詰まったよ 雷光さん あんたよくあんな凄い横綱を育てたね

 しかし雷光さん さっき富嶽がぽつっともらしたんだが
 富嶽も播磨の骨が鳴るのを聞いたそうだ」

真砂親方の言葉に、雷光親方もその眼を見開き青ざめたような表情を浮かべる…!
血相を変えて播磨の元へ駆けつける雷光親方だが、播磨は自分で歩いて帰ったそうで
なんでも夜風に当たりたいと風呂にも入らず帰ったとの言葉に、雷光親方もほっとため息をつき
「あのバカが心配ばっかりかけよって」 急に怒りがこみ上げてきた雷光親方でした
0160粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/12/11(月) 17:50:46.58ID:N73thYjC
そのころ播磨は弟子たちを引き連れ、浴衣一枚を肩に引っ掛けただけの姿で大通りを歩く
そんな姿に興味を引かれた人たちもその後をついていく
…不意に、播磨が足を止め夜空を見上げていた と、今度は川のほうに目を向けた
何を考えてるのかよくわからない播磨の姿に、ついてく人達も少々困惑

すると通り道のベンチに座ってお団子食べてるおばあちゃんが
播磨にどうね、とお団子を1つ差し出してあげた 
そんなおばあさんに播磨は「ごっつあん」とありがたく頂くことに
…全部もってかれておばあちゃんもちょっと唖然としてしまう
さらにそんな人だかりに、祭りと勘違いした人達も集まってきて…

雷光親方が部屋に戻る頃には、門前は播磨についてきた人たちでごった返していた
親方も少々目を丸くする 播磨の方は今は稽古場にて、ゆっくり、静かに四股を踏んでいた
まるで太極拳の如きゆったりした四股踏みにギャラリーたちも声を上げる
しかし帰ってくるなりその四股踏みを、既に1時間はやっているそうで
いつもは屋根に響くほどの力強い四股を踏む播磨なのだが、弟子も首をかしげると

―播磨の骨が鳴るのを聞いたそうだ―

真砂親方の言葉がその脳裏によぎり、雷光親方は血相を変えた様子で・・・
0161粗筋部屋の親方
垢版 |
2017/12/11(月) 17:50:56.02ID:N73thYjC
それからしばらくして、部屋で播磨を横にさせると一度整体の先生に見てもらう事に

「あいかわらず気苦労がたえまへんな」
「あほっ 強がりもええかげんにせえ 何ものうて骨が鳴るか」

その言葉に播磨は寝ながらギロッと雷光親方をにらみつけた
とりあえず先生が播磨の背中に乗りその具合を見る事にするが…
先生の診断に寄れば、背骨が軽い炎症を起こしているようだ
骨が鳴った、ということは一度外れたのだろうと言う先生 
その言葉に雷光親方も少々怪訝そうな表情を浮かべるがしっかり骨は戻っているそうで

「1時間歩いてその後ゆっくりした四股を踏んだそうですね
 おそらくずれた骨をその四股が強引に元に戻したんでしょう 炎症もそのせいですよ」
その言葉に雷光親方たちも一安心 しかしこんな無茶な治しかたをする播磨に先生も少々呆れた声をあげる
まるで自分の傷口をなめて治すクマのようだ、との言葉に…
気付けば播磨グマはすっかり寝息を立てて冬眠に入るのでした

<第四十一話 歩く歩く/おわり>>
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

ニューススポーツなんでも実況