「リヴァイさん、また実験ですか?」
「ああ。明日は人前でやらなきゃならねぇからな。その前に練習だ」
「ははっ!リヴァイさんでも緊張することがあるんですね」
「馬鹿言え。オレはもともと結構緊張する」
「またまた…それにしても相変わらず素晴らしいメス捌きですね。もうぱっくり開いちゃってますよ。カエルってすごい生命力…腹切って拡げても生きてるってすごいです」
「おい、エレン。助手のくせにあんまりくっちゃべってんじゃねぇ。少しでも手元が狂えばちっせえ内臓に刃先が触れて切れちまうだろうが」
「リヴァイさんに限ってそんなことあるわけないですよ。あっほら!心臓と一緒に胃袋がドクって動きましたよ!さっき餌の蠅食ったばかりだから消化運動してるんですかね?」
「だろうな。元気な内臓でなによりだ。これだと縫合して暫くすれば、また実験に使い回せる。またどぶ川の汚ねぇ原っ葉からカエルを捕まえてくる手間が省けて助かる」
「ですね。じゃあ、リヴァイさんの役に立つようにしっかり運動して筋肉も付けますから、大事に扱ってくださいね」



 そう言ってエレンは微笑んだ。
 腹を仰向けにして大の字に手足を広げた態勢のまま手足を針で固定され、リヴァイに腹を捌かれている。
 ピンク色をした自分の内臓が暴かれてどくんどくんと脈打つ様をリヴァイの鋭い目が真っ直ぐに見つめていると思うと、こじんまりと密集した腸や胃袋が興奮で熱を持ちそうだ。
 カエルに生まれてなければエレンは人間のリヴァイと出会うことなど一生なかった。
 カエルに生まれて本当によかったと、エレンは心の底から神様に感謝した。