「ねぇリヴァイさん。明日のお弁当のおかずは何がいいですか?」
「なんでもいい」
「んもうっ!なんでもいい、が一番悩んじゃうんですよっ!」
「そうなのか?」
「そうですよ。それに適当でいいって思われてるみたいでなんだかヤです…ねぇ、なにがいいですか?」
「…お前がいい」
「え?」
「エレン。お前が…いい。お前を、食いたい」
「リヴァイさん…」

目を見開いたエレンは、しかしすぐさま瞳の奥に決意の色を浮かべると、うっとりとした目でオレを見つめてくる。
オレは思う。今夜はいけるな…と。



翌日。
今日も仕事の合間に美味いメシにありつけると内心うきうきしながら、エレンの手料理且つオレの愛妻弁当である包みに手をかける。
しゅるりと包みを解いて蓋を開ける。
そこには、鋭利な刃物で切り取られたであろうエレンの左手の指が薬指を除いて4本、神経やら血の付いた筋肉やらがこびりついて少し凝縮した、綺麗なべっこう色の眼球が入っていた。
蓋を開けると同時に舞い落ちたメッセージカードを摘まんで裏をめくる。

『愛するリヴァイさんへ。
  お弁当のおかずはオレがいいと言ってくれたのでがんばりました。
  どうぞオレを食べてください(はぁと)』

昨夜のオレの台詞をなにやら履き違えているエレンをこれ以上もなく愛おしく思った。