だが、なかでもとくに注目すべきは、山口氏が「週刊文春」に寄せた"韓国軍ベトナム人慰安所
スクープ"に、安倍政権の策略がからんでいたのでないかという点だ。

 詳しくは発売中の「週刊新潮」を読んでもらいたいが、驚くことに、少なくとも山口氏は記事の
載った「週刊文春」発売の前後、山田重夫駐米公使(当時)ら政府の外交官に、記事のゲラや公文
書のコピーをメールで送るなどのやりとりをしていたというのだ。「週刊新潮」が報じる山口氏と
日本政府要人とのやりとりによれば、菅官房長官の会見や米国務省の広報官会見においてこの記事
についての質問が出る手はずを整えていたことなどがわかる。

「週刊新潮」は〈安倍外交を援護したかったが故の共同作業〉と書いているが、つまり山口氏は、
韓国の慰安婦問題に対抗したい安倍官邸の意向を汲んで記事をつくり、さらに記事を材料とした外
交戦略についても政府とすり合わせていたとみられるのである。

 とすれば、こうした山口氏と安倍官邸とのベッタリの関係は、やはり詩織さんの事件にも少なか
らず影響していると考えるのが自然だろう。周知の通り、「週刊新潮」による詩織さんレイプ事件
の取材の過程で、山口氏がメールで事件の対応を「北村さま」なる人物に相談していたことが明ら
かになっている。本人たちは否定しているが、この「北村さま」は、"官邸のアイヒマン"の異名を
もつ北村滋内閣情報官のことと言われている。